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世界のすまい方フォーラム

■フォーラム開催のお知らせ

第25回世界のすまい方フォーラム 終了しました。
開催日時 2010年4月19日(月)17:00〜19:00
会場 建築会館3F、301会議室(港区芝5-26-20)
・都営地下鉄三田線・浅草線三田駅A3出口より徒歩3分
・JR山手線・京浜東北線田町駅三田口(西口)より徒歩3分
講師 石井 敏 氏(東北工業大学教授)
テーマ 集まって住む形〜認知症高齢者グループホームにみる可能性と課題
講演主旨 認知症という病を患う人々が暮らす居住の場として普及してきたグループホーム。集まって暮らすことの価値や可能性、またそれを支える居住環境のあり方など、そこにはこれからの超高齢社会における居住のヒントが多くある。グループホームを通して、これからの暮らしのあり方とその居住環境のあり方について考えていきたい。
講師略歴 1969年 静岡県浜松市出身
1993年 東北大学工学部卒業
1995年 東北大学大学院工学研究科博士前期課程修了
1997年 ヘルシンキ工科大学大学院に留学
2001年 東京大学大学院工学系研究科博士後期課程修了、東北工業大学工学部講師、日本建築学会奨励賞受賞
2004年 東北工業大学工学部助教授(2007年〜准教授)
2010年 東北工業大学工学部教授
専門分野:建築計画・環境デザイン
募集人数 50名(申込順受付)
参加費 無料
申込方法 こちらからまたは、FAX(03-3484-5794)でお申込みください。
(1)氏名、(2)所属、(3)住所または所属所在地、(4)電話番号、(5)メールアドレスをご記入ください。

*なお、お申込いただきました時の個人情報は、当財団のシンポジウム、フォーラム、出版物、その他当財団事業の公募等の案内に利用させていただくことがございます。ご案内を希望されない方は、申込フォームの通信欄等でお知らせください。
お問合せ 一般財団法人住総研 世界のすまい方フォーラム事務局
〒156-0055 世田谷区船橋4-29-8
TEL 03-3484-5381 FAX 03-3484-5794

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■フォーラムについて

世界のすまい方フォーラムは、前身の「アジア住宅交流フォーラム」を世界に広げ、欧米のすまいを含め、特に、住まい手に焦点を当て、建築にとどまらず、社会学・民俗学等幅広い分野で討議を深め、住まい手の顔が見えるような企画・運営を以下のメンバーで推進しています。

世界のすまい方フォーラム委員会

委員長 槻橋 修(神戸大学 准教授)
委員 篠崎 正彦(東洋大学 准教授)
  清水 郁郎(芝浦工業大学 准教授)
  瀬山 真樹夫(カームデザインスタジオ)
  千田 有紀(武蔵大学 教授)
  横手 義洋(東京大学 助教)

World Habitation Forum

World habitation forum committee plans to analyze world habitation or life styles from the point of not only architecture but also sociology and ethnography. To issue results of studies, it holds forums open to the public and discusses with researchers who have interests for world habitation. Forums are organized so that participants are able to feel world habitants' breath.

World Habitation Forum Committee

Chairperson: Mr. Osamu Tsukihashi (Assistant Professor, Kobe University)
  Dr. Masahiko Shinozaki (Assistant Professor, Toyo University)
  Dr. Ikuro Shimizu (Assistant Professor, Shibaura Institute of Technology)
  Mr. Makio Seyama (Calm Design Studio)
  Dr. Yuki Senda (Professor, Musashi University)
  Dr.Yoshihiro Yokote(Assistant,Tokyo University)

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■世界のすまい方フォーラム開催記録  ※講師の所属・地位は講演当時のものです

2010年度

2009年度

2008年度

2007年度

2006年度

2005年度

2004年度

2003年度

2002年度

2001年度

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<第25回 フォーラム>

講師:石井 敏(東北工業大学教授)
テーマ:集まって住む形〜認知症高齢者グループホームにみる可能性と課題
開催日時:2010年4月19日
会場:建築会館
司会:篠崎 正彦委員

今回のフォーラムのタイトル「集まって住む」には、自発的な意味合いを込めている。しかし現実は、老人ホーム等に代表されるように認知症の高齢者が“集められて”暮らし、入居者たちが一斉に食事をし、入浴するといったように、効率的に介護をすることしか考えられておらず、住む場所であるという認識はほとんどされていない。プライバシーが確保されず、身体的介護をされるだけの収容施設的である。認知症高齢者への対応策として、介護のみが注目され、施設の運営者、設計者、介護スタッフも居住環境についてほとんど認識していないのが現状である。
認知症高齢者にとって必要な環境は、自宅での生活と施設での生活との間のギャップをいかに埋めるかということである。従来の大規模な認知症高齢者施設では、画一的な生活が強要され、地域からも孤立していた。これらの問題に対応するために、介護重視から生活重視を目指すべく、グループホームが登場した。小規模で、家庭的な雰囲気の中、さらに地域と交流を持つことが可能であり、入居者の孤独感を軽減させることが期待された。しかし現実には、日本では疑似家族的な生活を理想とし、入居者が一斉に食事をし、入浴し、レクリエーションをするといった画一的な生活様式を重視しており、多くは従来の高齢者施設と変わらない生活環境である。一方、グループホーム発祥の北欧では、個人の集まりであると捉えられ、疑似家族としては考えられていない。
グループホームの空間は、従来の高齢者施設とは異なり、個別の空間は小さいながらも存在する。一人になることができる空間と食堂のような入居者が集まる空間もある。北欧のような個人の集合体としての住まい方が日本では受け入れられにくいので、個室(一人の空間)と共用空間(集まる空間)との中間的な空間が必要と述べた。つまり、一人でいるわけでもないが、みんなで集まっているわけでもない。他の入居者やスタッフの気配を感じつつ、何となく過ごす“場の共有”という概念である。住宅等のバリアフリーでは解決できない、心理的な安心が不可欠である。さらに、グループホームの外(地域等)とつながることができる可能性を持つことも重要であると述べた。グループホームは、このような暮らしをサポートするソフトの部分に可能性を秘めていると締めくくった。
今後の課題としては、(1)集まって住むという生活形態は歴史が浅く、今後模索する必要があること、(2)施設である一方で住まいでもあるという両方の性格を持つゆえに両者のバランスが難しいこと、(3)グループホーム設置にあたり、日本では建物に重きを置き、家具や照明といった生活に必要な設備を軽視する傾向があること、である。

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<第24回 フォーラム>

講師:丸山 剛史(dxb.lab)
テーマ:ドバイを通じて見るアラブ
開催日時:2009年11月27日
会場:津田ホール
司会:横手 義洋委員

初めに、奇想天外なプロジェクトで有名なドバイの最新建築事情について紹介した。
UAEには、二つの民族性が存在し、一つは海洋民族であるペルシアから移住した民族、もう一つはベドウィンと呼ばれる砂漠の遊牧民を起源とする。ドバイには地元民は少数で、多くはインドやフィリピン等から来た出稼ぎ労働者であり、他のアラブ諸国と比較してイスラムの戒律に寛容な土地である。しかし、週一度親元に集合して団欒し、身内でも男女一緒に食事を交えないといった伝統文化は近代化した今でも守られている。高層ビル群に代表されるように建物が近代化されても、マジリスと呼ばれる応接間のような空間は住宅をはじめ、ホテル等にも設置されており、伝統建築様式が今でも生活に根付いている。このマジリスはアラブ人達の社交場となり、絨毯を敷いて床に座る。伝統的な建築様式は窓が少なく、回廊を設けた中庭様式は、日差しを避け通気性が高く気候に合っており、サステイナブルや環境に配慮されていると述べた。

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<第23回 フォーラム>

講師:陳 天璽(国立民族学博物館准教授)
テーマ:無国籍の人々のすまいとくらし
開催日時:2009年7月9日
会場:建築会館
司会:清水 郁郎委員

無国籍者とは、法的にどの国の国籍も持たない人、どこの国にも国民または市民として認められていない人を指し、日本国内で約1500人、世界中で約1200〜1500万人いるといわれる。無国籍になる理由は、国籍法の相違、領土権や主権問題等国際紛争に絡む問題、手続き上の不備に起因する場合等多様である。日本ではインドシナ難民や在日朝鮮人等の在留資格がある人とオーバーステイ等の非正規滞在者等在留資格のない人がいる。海外では、タイの山岳民族やバルト三国内のロシア人、フィリピン残留日本人等が挙げられる。
無国籍者であった講師の体験談では、住民票や選挙権はないが国民年金保険に加入しているという国のシステムに対する矛盾を感じたという。無国籍は国籍に縛られない自由な側面とどこにも居場所がないという両面を持つ。人権が果たして国籍に左右されてよいのか、人の帰る場所や故郷、自分の居場所が国籍によって決められてよいのかと強調した。

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<第22回 フォーラム>

講師:山田 昌弘(中央大学教授)
テーマ:リスク化、二極化する家族と住宅
開催日時:2009年3月12日
会場:津田ホール
司会:千田 有紀委員

1980年位までの工業社会においては、日本をはじめとする先進国では、終身雇用が当たり前であったため雇用が安定していた。ほとんどの人は能力に応じた昇進が可能で、収入も安定して増加した。そのため、大半が結婚し、離婚もせず、子供を持ち、住宅取得が可能であった。しかし、1990年代以降のポスト工業社会では社会のグローバル化が進展し、リスク化と二極化が進んだ。著書『希望格差社会』でも述べているように、自分が選択した人生を送れる人とそうでない人の二極化が進み、仕事と家族関係が不安定になった。つまり、従来ほとんどの人にとって当たり前であった、結婚し、子供を持ち、住宅を取得することが、若者の間では難しくなってきた。雇用の不安定化および二極化により、収入が不安定になり、結婚をして家族を築くことが難しくなる。未婚者は親元で暮らすパラサイト・シングルになり、結婚しても子供のいないDINKsを選択し、子育て回避をすることによって豊かな生活を送るケースが増えている。収入の不安定化や離婚増加でライフコースの設計がしにくくなったため、若者の住宅取得もままならなくなった。そのため、住宅需要は減少している。現在の住宅政策は経済が安定していた戦後の工業社会における住宅取得を前提としており、不安定な経済状況に対応できなくなっている。今後は、新たな社会的政策を取らなければ30代以下の世代で階層分解が起こりうると述べた。

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<第21回 フォーラム>

講師:アニリール・セルカン(東京大学助教)
テーマ:21世紀の3種の神器−インフラフリーに基づく未来のライフスタイル−
開催日時:2008年12月8日
会場:津田ホール
司会:瀬山 真樹夫委員

1 どのような過酷な環境においても、インフラに頼らずに快適な住環境を整えられる技術
2 環境にかかる負担の低減。特に経済発展地域や人口爆発地域に必要な対策をとられる技術
3 砂漠や海上など、一般に居住できないとされていた地域への新たな居住地の選択
4 環境や状況に適した「インフラフリー」居住空間の、形態や構造、建設などのデザイン及び維持、管理に関わるマネージメントを開発する構想など話題満載、質疑応答時間を設けて講話を聞きます。
*講演要旨

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<第20回 フォーラム>

講師:多田 麻美(フリーライター・翻訳家)
テーマ:胡同(フートン)に住むということ−北京の伝統住宅の現在(いま)−
開催日時:2008年9月4日
会場:建築会館
司会:槻橋 修委員長

北京の胡同(フートン)(旧城内に点在する細い路地)、四合院(しごういん)(中国の伝統的家屋建築)の片隅に住み続け、取材および趣味であちこちの胡同を歩き回った講師が、自らの体験に基づき、いくつかの対照的な住まい方を比較しつつ、現在の北京の胡同の四合院住宅の現状を報告し、その現代社会にもつ積極的意味を探る。*講演要旨

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<第19回 フォーラム>

講師:眞嶋 亜有(ICUアジア文化研究所・研究員)
テーマ:なぜ日本は水虫大国となったのか−水虫をめぐる日米間の比較生活文化史的観点から−
開催日時:2008年5月24日
会場:鉄鋼会館
司会:瀬山 真樹夫委員

水虫が日本の国民病になったのは戦後になってからのことである。江戸時代の文献にも登場するが、現在言うところの白癬菌が足に感染してできる「水虫」とは異なり、体部に感染するものを指した。大正時代までは主に水仕事をする人が罹る職業病とされ、1930年代には靴を履くようになった軍人の足に白癬菌が感染しやすくなり流行するが、現在のような「水虫」が日本中に、蔓延するようになったのはナイロン靴下が広まった戦後になってからである。
一方、海外に目を向けると、水虫は治癒が容易な病であるという認識がされている。1920年代アメリカでスポーツを楽しむ上流階級の人々の間で流行したため水虫が「athlete's foot」と呼ばれるようになったことに象徴されるように、水虫はスポーツ選手等に特有の病であり、一般人には無縁の病という認識がされている。
日本で水虫が蔓延している理由は、靴を脱ぐという文化と深い関係がある。明治以降西洋化が進んでも「土足」を受け入れず、靴を脱ぎ、絨毯や畳を敷いた家で素足の生活をするという日本人特有の清潔志向が逆に水虫を蔓延させ国民病となったと述べた。

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<第18回 フォーラム>

講師:矢部 恒彦(法政大学・准教授)
テーマ:スケートボーディングが見つけた新しい都市
開催日時:2007年8月24日
会場:津田ホール
司会:篠崎 正彦委員

都市空間を利用したボーディングは身体、ボード、都市空間との三位一体の関係を瞬時に成立させることである。
スケートボーディングは、都市空間の流用に始まり1970年代の映画によって流行しスケボー専用のパークが作られ、滑る技術を競うようになるが、1980年代には再び街中でのボーディングが流行した。
日本には1990年代に入って来たが、欧米の場合とは逆に、街中でのボーディングから始まった。しかし、近隣から苦情を受け、スケーターは広場等の管理者の説得や管理・維持のための活動を行い、継続的にボーディングを楽しむ空間を手に入れた。パークでの利用配分は、ボーディング技術や維持管理への貢献度に比例して行われている。今後、スケートボーディングは、スキルが高度化してスポーツ化していくか、一時代の「カッコよさ」を示す一つの基準となって衰退する運命を辿るのではないかと述べた。

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<第17回 フォーラム>

講師:五十嵐 太郎(東北大学・助教授)
テーマ:恐怖の住宅空間
開催日時:2007年3月3日
会場:建築会館
司会:千田 有紀委員

日本の治安が悪化していると言われるなか、警視庁の犯罪マップの発表等に代表される犯罪の可視化や雑誌やTV等のメディアで相次いで報道される防犯特集、ホームセキュリティや防犯仕様住宅の発売等防犯関連マーケットの活性化が顕著である。これらのことが、人々の犯罪に対する不安感を増幅させた。住宅や学校が要塞化し、街中には監視カメラが設置された。さらに、安心・安全の街づくりのために地域が結束するという状況も産み出されている一方で防犯活動がサークル活動化し娯楽化している。メディアの犯罪報道も社会的背景から捉えるのではなく、興味本位の取り上げ方をして犯罪被害者個人に焦点を当てエンタテイメントとして扱われている。かつて犯罪が多発し悪所と呼ばれる闇の空間が存在したが、現在は悪所がなくなり、どんな場所も安全になった反面、どこにおいても犯罪が起こりうる状況になったことが我々の不安を増幅させていると述べた。

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<第16回 フォーラム>

講師:今 一生((有)Create Media・代表取締役)
テーマ:ゲストハウス 〜脱・血縁と非・定住のライフスタイル
開催日時:2006年11月11日
会場:建築会館
司会:清水 郁郎委員

日本でゲストハウスが登場した背景は、バブル崩壊後、利用されなくなった大都市の社宅等を業者が借り上げ、管理人を置かず、格安旅行者や外国人等に1ヶ月単位で部屋を貸したことがある。1990年代後半にインターネットの普及により若者を中心に主として首都圏で急速に広まった。
居住のメリットとして、(1)住居費が安価、(2)保証人不要のため、フリーターや外国人の入居が容易、(3)外国人もいるため、異文化交流のチャンスがあること、(4)家族に縛られない脱血縁的交流が可能なこと、である。
さらに、ゲストハウスでは管理人不在なので住人の自己責任となる。そこで、住人相互のコミュニケーションが必須であるため引きこもりやDV被害者の社会復帰の第一歩となる可能性も述べた。

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<第15回 フォーラム>

講師:森川 嘉一郎(桑沢デザイン研究所特別任用教授、早稲田大学客員研究員)
テーマ:趣味の問題
開催日時:2006年8月25日
会場:建築会館
司会:槻橋 修委員長

かつて秋葉原は家電販売店のTVコマーシャルに代表されるように若い家族が冷蔵庫や洗濯機等の家電を買いに行く場所というイメージであったが、現在は「おたく」が集まる街としてすっかり有名になった。
1997年頃、都内のガレージキットの店が秋葉原に相次いで移転したことがきっかけとなり、漫画専門の書店やゲームソフト店等が進出しアニメ好きの人たちが集まる場所になった。駅やビルにはアニメ系の宣伝ポスター等が溢れる等、個人の趣味が公の場に表出し、個人の趣味が街をも変えたことで従来の公共空間の前提を大きく覆すことになった。

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<第14回 フォーラム>

講師:牧 紀男(京都大学・助教授)
テーマ:移動する人々−災害後の住居誌−
開催日時:2006年5月26日
会場:キャンパスイノベーションセンター
司会:篠崎 正彦委員

災害による被害は、各地域の環境および文化の影響を大いに受ける。災害後の再建・復興のプロセスや災害後の住まい方も同様に地域性が関係する。
震災後に避難所となるシェルターは、ほぼ世界共通の傾向があるが、仮設住宅や復興住宅には地域性が表れている。
災害で住居を失った人々は強制的に移動させられる。阪神大震災では西神ニュータウンなどの郊外、パプアニューギニアの津波災害では海側から内陸へ移動した。住んでいた地域が復興された後、再び元の場所へ戻る方法もそれぞれ異なる。また、大災害は約100年以上の長い周期で発生するため、災害の教訓は継承されない傾向がある。
最後に、災害や防災について考える際には、近代世界的視点からの防災の観点だけではなく、災害人類学(地域の生活文化)などの視点も視野に入れる必要があると述べた。

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<第13回 フォーラム>

講師:島村 恭則(秋田大学・助教授)
テーマ:バラック・団地・寄せ場−福岡市在住朝鮮半島系住民の生きる方法と住まい
開催日時:2006年3月2日
会場:建築会館
司会:清水 郁郎委員

戦後の混乱期に、朝鮮半島に帰れなくなった人々が河川敷や港等にバラックを建てて暮らし始め、廃品回収や養豚等で生活を営んでいた。その後、福岡県と福岡市がバラックから人々を立退きさせ、狭小な公営団地へ移住させたが、立退き条件として人々は増築を認めることを掲げ、行政も黙認した。立退き後、住民は公営団地を増改築し、港湾施設等が近いこともあり、日雇労働者対象の労働下宿の営業や間貸しをして生計をたてている。
従来の在日朝鮮半島系の人々を対象とした研究は、実生活に触れずに文学や映画、アンケート調査等から「在日」のアイデンティティを研究する傾向があるが、かれらの生活戦術をはじめとした「日常世界」の実態をフィールドワークによって明らかにすべきだと述べた。

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<第12回 フォーラム>

講師:畑 聰一(芝浦工業大学・教授)
テーマ:プレ・モダンの住まい方と住まいのかたち−ポスト・モダンの住まい方を探る−
開催日時:2005年10月15日
会場:建築会館
司会:瀬山 真樹夫委員

講演では欧米の中庭型住居の例としてチュニジアの農村集落テゥルキーの集落、アジアの外庭型住居の例として、ラオス北部山地のアカ族の集落、マレーシアサラワク州イバン族のロングハウス、三重県鳥羽市答志島の答志集落について紹介した。
日本の住まいおよび住まい方は欧米の中庭型住居における場合と異なる。答志島の漁村集落にも見られるように、外庭型の住居や血縁や義理に基づいた互助関係で支えられた生活はむしろアジアの住まいおよび住まい方と共通している。欧米の近代合理主義に立つ現代の家づくりを考え直し、家づくりを人づくりとして捉え、住まい手自らが家づくりに関わるというアジア的な視点が今こそ必要なのではないかと述べた。

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<第11回 フォーラム>

講師:植田 実(建築評論家・編集者)
テーマ:すまいはいつも建築からあふれ出る
開催日時:2004年9月25日
会場:建築会館
司会:畑 聰一元委員長

今回は、畑委員長のもとで企画する最後のフォーラムということで、過去10回の総括として、長年世界の住宅の変遷を見てきた、植田氏を講師に招いて開かれた。
講演は、今年の夏に取材された、滋賀県近江八幡のヴォーリズの住宅を中心に進められた。正統的なアメリカの西洋館であるヴォーリズ住宅に、日本的な住まいの特徴が組み込まれていること、日本人の住まいとは何か、日本的な住まいの特徴について話をした。
質疑応答では、今後の日本の住まいは、多様化する社会や家族の中で住まいあるいは住まい方をどう捉えるかが重要であると述べられた。最後に、当フォーラムの役割として植田氏は住まい方の普遍と変容について重要な証言を地道に紹介して欲しいと締めくくった。

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<第10回 フォーラム>

講師:平田 オリザ(演出家・劇作家)
テーマ:出会いの場としての劇場
開催日時:2004年8月3日
会場:建築会館
司会:槻橋 修委員

演劇は劇場でフィクションを作り出し、作り手が観客とイメージを共有できるようにすることである。そのためには、劇作家と演出家と俳優がコンテクストを共有することが必要となる。価値観を統一するためのコミュニケーションから個を尊重したコミュニケーションに変化しつつある現代では、短期間の稽古で他人同士が家族や恋人のように振舞うというような演劇が蓄積したコンテクストを共有するためのノウハウが日本社会において重要であると述べた。
地方でも消費社会が発達した現在は、経済効率が優先され、かつて年代を超え地域住民が集まっていた場が失われた。若者や弱者の居場所が消え、犯罪が地方で多発するようになった。これからの地域コミュニティは従来のムラ社会のような閉鎖的なコミュニティから、開かれたネットワーク型コミュニティに変わっていく必要がある。後者では、個性の異なる人々が集まり一つの作品を作りあげるという演劇のノウハウが重要になる。また、ホールや劇場などが、若者や弱者を含めた新たな出会いの場として役割を果たすべきだと述べた。また、日本における公共ホールの多くは稼働率が低く、地域の人々が芸術を楽しむ場として機能していない。ホールの建設計画の際、行政は委員会を設置するが、参加メンバーに社会的弱者が加わっておらず、社会的弱者の意見が行政に届かないという問題がある。

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<第9回 フォーラム>

講師:三浦 展(カルチャースタディーズ・主宰)
テーマ:ファスト風土化する日本−地方の郊外化、若者の脱郊外志向、都市の再生−
開催日時:2004年4月17日
会場:建築会館
司会:篠崎 正彦委員

地方の郊外では、車が生活必需品となり車社会が進展した。そして高速道路や国道沿いには大型店の出店が著しい。近年増加傾向にある地方における犯罪の発生地と大型店の立地は不思議と一致している。大型店は集客力が高いため、出店により地方郊外における人の流動性が高くなった。その結果、地域における匿名性が高くなり、犯罪が増加している。
病院や学校などの施設も郊外へ移転したため、地方の中心市街地は衰退し、人口が減り、車を運転できない高齢者が住みにくくなり、コミュニティも崩壊している。大型店の進出や幹線道路の整備により、地方でもモノが入手しやすくなった。一方、地方は個性を失い、均一化された「ファスト風土」化された地域になり、寂れて、消滅する問題があると述べた。

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<第8回 フォーラム>

講師:米沢 慧(評論家)
テーマ:住居の現在−その視線と位相−
開催日時:2004年1月12日
会場:建築会館
司会:土屋 葉元委員

最初に戦後の住居と家族の変遷について触れた。「団地族」に代表される戦後の住まいおよび家族のあり方は1950年に設立された旧日本住宅公団によって誕生した。核家族化の進展により、子育て期にある往きの家族と子育て後の還りの家族が分離し、病院で生まれ病院で死ぬことが一般化され、生や死が家族から切り離される状況になった。血縁を前提とした従来の日本の家族が崩壊しつつあり、少子化や非婚家族の登場で家族のあり方は多様化した。
これからの家族のあり方として、ボランティアのように家族ではないが家族をつなぐ第三の役割を含めた「ファミリィ・トライアングル」が重要であると述べた。
質疑応答では、往きの家族と還りの家族との関係に関する質問があがり、米沢氏は従来のように還りの家族を往きの家族が支えるのではなく、両者のコミュニケーションのとり方が重要であると述べた。

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<第7回 フォーラム>

講師:川田 順造(神奈川大学・教授)
テーマ:身体感覚とすまい
開催日時:2003年10月18日
会場:建築会館
司会:清水 郁郎委員

西アフリカ、フランスでの長年にわたるフィールドワークに基づき、相互に文化的影響の少ない日本、西アフリカ、フランスにおける身体技法の比較について言及された。日本人は床に座る低座位であり、フランスのそれは高座位である。西アフリカでは地面に尻をつけ膝を曲げない投げ足と作業での立居深前屈姿勢に特徴がある。
次に、それら3国の住様式について、居住空間と床面、人体に対する床面の区別の方法についてお話された。日本はウチとソトの区別が明確であるが、フランスでは明確でない。西アフリカではウチとソトが連続しており、身体技法と住様式との間に関連があることを多くの写真を用いて述べられた。
質疑応答では、身体技法は時代の変化の影響を受けるのかという質問があがり、川田氏は政治、経済、文化面での変化と比べ、大変持続性が高いと説明された。詳しくは雑誌「CONFORT」No.27を参照頂きたい。*当財団図書室で所蔵しております。

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<第6回 フォーラム>

講師:中島 明子(和洋女子大学・教授)
テーマ:「ホームレス」の人々への地域資源を活用した居住支援−イギリス・アメリカをながめつつ−
開催日時:2003年7月9日
会場:建築会館
司会:篠崎 正彦委員

東京の山谷は、寄せ場型地域と呼ばれ、ホームレスが多くいるところとして、よく知られている。山谷には、日雇い労働者のための簡易宿泊所がたくさんあるが、それらは、寄せ場型地域における物的資源となる。しかし、物的資源だけではホームレスへの支援とはならない。人的資源も必要であり、例として、行政、ボランティア、NPO、商店街などが存在するが、中島氏はホームレスへの生活支援には、それらが相互に連携していくことが不可欠であると主張した。最近では、日雇い労働者の数が減少し、簡易宿泊所から、学生やビジネスマンなどを相手にした格安の宿に転身するケースも見られ、山谷地域に一般の人々が来るようになってきている。それらの人々が、地元商店街で買い物をするようになるなど、山谷地域の活性化となりうると中島氏は述べた。
アメリカの事例として、サンフランシスコ市のテンダーロイン地域を採り上げた。非営利組織のテンダーロイン近隣開発公社が、21の1室居住型ホテルを改築・改装し、ホームレスおよび低所得層の人々向けに住宅を提供し、低所得でも安心して住めるよう地域再生を行った。イギリスに関しては、ホームレスの人々の住宅支援において、高層住宅では人的コミュニティが形成されにくいと指摘した19世紀のオクタヴィア・ヒルの主張が紹介された。
最後に中島氏は、人間にとって住宅の意味とは、
1.外敵から身を守る、
2.安心できる場、
3.社会へのアクセスの場

であり、ホームレス対策に必要なのは、それら居住権の保証であることを強調した。ホームレス状態の発生を防ぎ、万が一ホームレスになっても、短期間で住むべき家を取り戻すようにするのが不可欠である。

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<第5回 フォーラム>

講師:稲葉 佳子((有)ジオプランニング・取締役)
テーマ:外国人とともに暮らす街「大久保」−多様なすまい方を探る−
開催日時:2003年5月15日
会場:下北沢タウンホール
司会:土屋 葉元委員

1990年から約10年、「大久保地区の外国人居住」について定期的に調査研究を行い、NPO活動など「外国人居住問題」に詳しい稲葉氏をお招きした。数回に及ぶ定点調査の結果、10年間で
1.外国人住民の属性が多様化し、
2.外国人が住む住宅が木賃アパートから賃貸マンションへ、
3.不動産業者等の対応が入居差別から入居歓迎に、
4.家主の対応が柔軟に対応する、
といった変化が明らかになったと述べた。その変化の背景として、以下の要因が考えられる。10年前は、大久保在住の外国人の多くが留学生であったが、現在は就労者が多くなっていること。現在は外国人向けの情報メディアも発達し、情報不足であった10年前とは異なり、様々な在日目的を持った外国人が居住するようになった。また、不況で空室が増加する中、不動産業者および家主にとって、外国人は主要な顧客層になったためである。地域に外国人居住者が増えていく中で、住民の考え方も変化し、家主も一方的に日本の習慣を強要するだけでなく、互いの文化や立場を理解することが大切であることを学んだということである。そのような意識によって、家主は外国人の実情に合わせて契約において柔軟に対応するようになってきた。さらに、外国人の側も日本の生活習慣に合わせるようになってきている。  
興味深い最近の現象として、大久保では、住宅が必ずしも住むために使用されていない事例が増えている。マンションの一室を「台湾廟」やコロンビアの人達に夕食とコミュニケーションの場を提供する「コロンビアレストラン」、中には一軒家を「民泊」という韓国式民宿として利用している例があった。

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<第4回 フォーラム>

講師:佐藤 浩司(国立民族学博物館・助教授)
テーマ:住まい−モノ−人間−「ソウルスタイル」の視線−
開催日時:2003年1月15日
会場:建築会館
司会:清水 郁郎委員

2002年、大阪・国立民族学博物館で開催された「ソウルスタイル−李さん一家のくらし」は、ソウルのアパートに住む李さん一家の家財道具をすべて収集し、展示するという内容であった。佐藤氏は、同じ空間に住んでいる人たち(家族など)が価値を共有しなければならないことに疑問を抱き、また、住まい自体意味はなく、住まいから人間を理解することは出来ないと主張してきた。生活財(モノ)一つ一つの意味を追求することにより、それらに込められた社会関係や家族関係を明らかにし、豊かな人間を描くことを目的に李さん一家の生活財(モノ)を収集する調査を実施した。その結果、モノを集めてみても、李さん一家の生活を捉えることは不可能であり、個人を語るにとどまったと話された。後日談では、他人にとって普通のありふれたモノにも、李さん一家にとっては価値があることを見出すようになったという話が興味深かった。

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<第3回 フォーラム>

講師:井上 耕一(桑沢デザイン研究所・教授)
テーマ:アジアのあの坐り方と低い腰掛
開催日時:2002年10月24日
会場:建築会館
司会:畑 聰一元委員長

著書『アジアに見るあの坐り方と低い腰掛け』(丸善ブックス)と同じ題目でスライドを駆使してご講演いただいた。
「あの坐り方」はアジアの各地域で、宗教から労働・食事に至る種々の場面で見られる姿勢で、聞いた時に想像する「あの」場面だけに見られるものではなく、楽な姿勢のひとつであり、欧米でも、体の柔らかい子供に見ることがある。「低い腰掛」は「あの坐り方」で長時間作業する時などに、体の安定のために使われだした道具で、高さは5〜8cmが多く、材質は木が多いが、石なども使われている。日本では、浴室で体を洗う時に使用するイスが唯一名残を留めているが、それも最近は随分高くなってきていることを述べられた。

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<第2回 フォーラム>

講師:沢田 知子(文化女子大学・教授)
テーマ:欧米のイス坐と日本の起居様式−日欧のすまい方最新事情−
開催日時:2002年9月26日
会場:下北沢タウンホール
司会:篠崎 正彦委員

ヨーロッパからの帰国を待ってお招きし、持ち帰られた最新の現地情報を交え、欧米のイス坐と日本のユカ坐でのすまい方を伺った。
1.住宅の内外と都市の界隈、
2.空間・家具・人・服装・履物、
3.人間の行動と場面、
に焦点を当てて、日本の大正時代の一戸建から最近の集合住宅までの洋風化・住まい方をたどり、欧米特にドイツの郊外から旧市街、新市街の住宅における「イス坐」の振る舞いが紹介された。質疑でのウチとソトの境界領域における行動の違い・共通点についての議論がなされた。

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<第1回 フォーラム>

講師:都築 響一(アートディレクター)
テーマ:賃貸宇宙 −『TOKYO STYLE』を中心に−
開催日時:2001年11月21日
会場:下北沢タウンホール
司会:槻橋 修委員

自著の『TOKYO STYLE』の発刊までの経緯を語りながら、さまざまに演出されたラブホテル、風俗店などの時間貸しの空間(賃貸宇宙)を、上下左右360度のパノラマ画像で紹介しながら、空間構成・空間利用の方法に種々の選択肢のあることを提示した。また、トラック、オートバイ、自転車のデコレーションによる自己主張の例を挙げ、個人の価値観で成り立っていることを説き、建築にも同じように固定観念からの脱却が必要ではないかと語られた。

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