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リノベーションコンペ結果発表

市ヶ谷加賀町アパートリノベーションコンペ

市ヶ谷加賀町アパートリノベーションコンペには、短い応募期間にもかかわらず、6件のご応募をいただきました。本当にありがとうございました。以下の3件を選考いたしましたので発表いたします。

優秀賞

市ヶ谷加賀町アパートリノベーションプラン「時が経っても愛される空間」

「時が経っても愛される空間」

山本陽子

優秀賞

市ヶ谷加賀町アパートリノベーションプラン「Come on-a ”our HOME” うちにおいでよ」

「Come on-a ”our HOME” うちにおいでよ」

茅原愛弓

特別賞

市ヶ谷加賀町アパートリノベーションプラン「THE USEFUL BASE〜生活をつくる 環境をつくる つくるを生きる」

「THE USEFUL BASE〜生活をつくる 環境をつくる つくるを生きる」

織戸龍也

審査評

三浦 展(社会デザイン研究者)

私はリノベーション関係のコンペを他でもしているが、今回の6人からの応募は、20代、30代、40代と幅広く、応募者のパートナーは60歳近いというところに大きな特徴があった。若い世代の提案は力に満ちていて、やりたいことがたくさんあり、それをすべて詰め込んだものが多かった。
他方、今回203号室に住むことが決まった40代女性と50代男性の提案は、それらとは対照的に、肩の力の抜けたものであり、私は同世代として大いに共感できた。二人は商品企画、店舗企画関係の仕事をされており、みずからもこれまではモノを消費することに関心が強かったようである。
しかし十分大人になり、ある程度自分の人生の先を見通す年齢になり、もはやモノを消費するのではなく、むしろモノから離れて、じっくり、安らかに生活を楽しむ場所としてのリノベーションをお二人は提案された。
将来人口推計を見ると、このお二人のように45歳から64歳までの未婚者は2010年の387万人から2040年は764万人に倍増する。つまり、中高年になってから結婚する人も増え、そこから新居を求める人々も増えるものと予測されるのだ。
様々な人生経験、美的体験などを重ねてきた二人が、その体験を踏まえて、夢と現実を見極めながら行うリノベーションとは、なんと美しいものだろう。われわれ審査員は、そこに新しい時代の新しい感覚を感じることが出来たのである。
おそらく今後は、中高年の未婚者によるリノベーション、離別した人によるリノベーションなども増えるであろう。中高年のシェア的な住まい方も増えるものと思われる。若い独身者や子育て期の家族を前提に供給されてきた住宅が、これからはもっと多様になるべきだということを、今回のコンペであらためて実感することが出来たと言えるであろう。

青木 純(メゾン青樹 代表)

市ヶ谷加賀町アパート入居者募集リノベーションコンペにご応募いただいた皆様、素晴らしいプランの提案をありがとうございました。今回の6組の提案はいずれも応募者の個性や想いが反映されていて、それぞれの暮らしのイメージが鮮明に想像できました。単なるリノベーションプランのコンペというか、暮らし方のコンペというほうが適切だったかもしれません。二次審査のプレゼンテーション当日も6本のオムニバスムービーを観ているような、有意義で楽しい時間でした。その半面、嬉しい悲鳴ですが、選考が非常に難しかったです。

  • 山本陽子さん
    今回の対象案件そのものの素材を大事にしていることと、「住み継ぐ」という考え方を高く評価しました。応募者自身がいままでの知識・経験を活かし、いまの自分たちだからできる無理のない等身大の暮らし方を実現して楽しみ、それを次の住み手たちに、贈り届けたいという想いを聞いたときに、その場にいた審査員のぼくたちはもちろん、空間そのものが喜んでいるような印象を受けました。
  • 茅原愛弓さん
    パートナーと一緒にふたりのプロフィールや空間のイメージパースをすべて手づくりのフリップボードを使ってプレゼンテーションしてくれたことにものすごく感銘しました。イラストもかわいく、ワクワクが詰まっていました。【「私たち自身」を表現したふたりの「家」が周囲とのつながりを糧に日々成長していく】というコンセプトは、超職住近接の暮らし方や若いふたりならでは可能性を感じて、とても好印象。ふたりが手がけるお部屋にとどまらず、アパート全体に波及するような可能性も感じてこれからをとても楽しみにしています。
  • 織戸龍也さん
    あの空間にシェアを提案してきたことには驚きましたが、まず人ありきであったことがとてもリアリティあって良かったです。プレゼンテーションをしてくれた三人とも個性豊かで、キャスティングに合わせた空間の提案は日常の暮らし方そのものを大きく変えていく可能性に溢れていました。シェアならではですが、ひとりひとりの卒業と共にコミュニティが広がっていくことも楽しみです。

道江紳一(一般財団法人住総研 専務理事)

  • 山本陽子氏
    テーマは「時が経っても愛される空間」−40代のファッション関連の会社に勤める女性で、現在は実家住まいだが50代の男性とのペア。「古き良きものへのリスペクトと新しいものをなじませて、時と共に深さや味わいが増していく空間」「次に住む人がまた暮らしたくなる空間」「この物件に新しい輝きを与えられたら」を目指したいとの事。「もの」の氾濫に抵抗し、ものへのこだわりが感じられるお二人でした。一部を土間にし、フローリング主体の床で、鉄サッシを生かし部屋の縁どりは黒を基調としたいなど、現在の古き味わいを生かし、自ら変化しながらも次世代に繋げていきたいという思想に感銘し、また予算も現実的であり、満場一致で優秀案とし一緒に住んで頂くことになりました。
  • 茅原愛弓氏+吉田清人氏
    テーマは「Come on−a “our HOME”!!(“うち”においでよ!!」−20代の男女のペアでともに建築設計者。「家」は「私たち自身」、つくるプロセスまでもシェアしたい、社会・近所・自然などの周囲とのいろんな”つながり“を糧に日々成長していく”家“でありたい、とのこと。大歓迎のコンセプトでした。また全体の半分の面積を土間にし、アトリエにも使い、空間や生活がリアルに想起される案でした。計画案は完成度が高いのですが、リノベーションの典型的なパターンであり、この加賀町アパートという場所でなければ成立しない案か?という意見もありました。それでもぜひ一緒に住んで頂きたく、土間が多い計画案なので下階への音の問題がクリヤ―しやすい一階の別の部屋を紹介し、ご検討頂く事になりました。
  • 織戸龍也氏+2名
    テーマは「THE USEFUL BASE−生活をつくる、環境をつくる、つくるを生きる−」−20代の男性3人組。美大卒の2人が革鞄職人とアスリート建築家、残る1人は工学系出身で鉄道オタクの建築家。現在はシェア賃貸と実家住まい。デザイナーの3人が住み、日々進化し、良質な秘密基地をつくる。各室が狭いのですがNゲージが個室からリビングに走って登場したり、夢があって「ワクワク」するアイデア満載、説明を聞いていると楽しくなってきました。進化・成長していく姿を是非見てみたいと思ったのですが、面積が狭く納まりに多少の無理が生じている事もあり、もっと広さにゆとりのある審査員の青木純さんの賃貸住宅に挑戦して頂こうということになりました。

○井本圭志郎氏
テーマは「自分で作る、質素で穏やかな暮らし」−40代の男性で「ひとりもしくはカップル」で住む予定。所持する本が多く本棚を多く設置し、ゆったりとした音楽を聴きながら読書をしたい、あまりお金をかけず現状を生かしながら気持ちよく住みたい、床は畳ではなくオークのフローリング主体、家具などは出来るだけ自分で作成するとのこと。DIY的志向も強く、雰囲気もよろしく、やる気満々。「超カッコイイ」レトロを受け継ぐ感じもすごく良かったのですが、プランニング、提案内容が他案に比べ魅力不足でした。やや大人しかったのかも知れません。

○横山史氏
テーマは「つながる暮らし」−20代の単身女性。美大卒で現在ランドスケープのデザインの仕事。時間を有意義に使いたい、緑や坂道の多い良質な環境で勤務地まで徒歩か自転車で通いたい(ウォーカブル、バイカブルシティーの実践)、皇居ジョギングの休憩地にも使いたい、とのこと。現在は多摩NTのマンションの実家に親と同居中。「ここ(加賀町)で地域の人との関係を創っていきたい、自分の会社もその関係性の中に入れ繋いでいきたい」のは大家としては大歓迎。可動式家具、パーティー可能なキッチンなどの提案も良かったが、予算との乖離が大きく、今後の伸び代に期待しつつも現実の所で次点にさせていただきました。

○山上英子氏
テーマは「土間のある部屋」−30代のSEの単身女性。現在下町のUR賃貸に居住していて、それはリノベされているのだが壁紙ひとつ変更できない、余白がなく息苦しい、リメークするのが趣味なので「自分の分身である家」は自分で手をかけて住みたい、とのこと。土間の部屋に2台の自転車とベッドがあるのも面白いが、地域・周辺環境との関係性への言及が少なく、また予算が少なく計画案は1から8までのできる所からやっていくとしているが、現実の所で多少の無理がありそうでした。

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