第57回
(話題)  アジアのスラムと居住へのたたかい
(要旨)
日本では兎小屋脱出を謳ったが「国際居住年」の真の対象は第三世界の居住問題であるとし、その人口の急増と農村の疲弊・都市への集中を解説した。スラバヤ・ジャカルタ・ボンベイ・カラチ・ホーチーミン・マニラ・ホンコン・ソウルなどのスラムの現状を豊富なスライドで例示しつつ、いまや発展途上国の大都市のスラム住民は都市住民のマジョリティとなっていると説いた。またNGO(非政府系団体)やCBO(草の根の住民組織)などの活動や各国行政当局の対策も紹介して、単に物的な環境整備だけでは不十分で、コミュニティ開発こそが求められるとし、自助努力・相互扶助・適正技術導入の実態・女性の環境改善活動など具体的な映像でその重要性を論じた。更に、日本の求める住生活が大量の資源・エネルギー浪費と環境破壊につながることを直視し、日本のまちづくり運動でも自助努力などをもっと評価し、第三世界には単に区画整理手法のような手法を伝えるのではなく、失敗を含めた施策や運動・経験を提供したと言及された。
東京は第三世界の大都市のモデルたり得るか、モデルではなくひとつのタイプとしてみられるのか、幕の内弁当都市論とヤミナベ都市論、宗教とコミュニティづくりなどの議論が続いた。