第49回
(話題)  見立絵というもの
(要旨)
見立絵とは題材や史実や故事・物語・戯曲・名数などにとりながら、時代を超えて当世の衣装・風俗とした浮世絵で、それは、原題とそれに加えた趣向(意外性)を楽しんだ文芸意識であるとし、単なる形の類似から内容にまでおよぶ見立絵の様々を、多くのスライドを用いて解説された。更にこれらの見立絵は版元がなく、仲間内(サロン)で俳諧の「兼題」のようにして趣向を競い作成された。仲間内での交換や贈答用にされたものであるとし、加えて、判じ絵・謎解きとは違い原題と当世風俗の両方に通じる素養があって鑑賞できたが、その素地は明治の近代教育で断絶してしまったと論じられた。
「二重見立て」や見立絵の市販、サロンの数、幕府の統制との関係、天変火災を逃れての保存など多岐にわたった