第48回
(話題)  鍬形寫ヨの江戸一目図屏風
(要旨)
鍬形寫ヨは、浮世絵師としては初めて津山藩江戸屋敷に召し抱えられ、従来の風俗絵や歴博本「江戸図」等に見られる「組込絵」の延長線上ではなく、全く新しく、優れた構成と真写でランドスケープを描き、かつ職人尽絵のようにリアルタイムな姿をもした人物である。新たに掘り起こした津山松平藩文書の新参御取立・江戸日記・勤書などから推せば、「津山藩作陽誌」編纂の仕事に携わり、それが描写の細かな真写「一目図」の元になっていたのではないか、と多くの資料とスライドを駆使して論じられた。
情報基地としての江戸津山藩や藩主の松平康哉・康又との関係、大目付配下の小従組という地位、老中松平定信との関係、寫ヨの交際範囲の多彩さ広さ、北尾工房の様子など多面にわたった。