第172回
(話題)  日本の町家−京町家と卯建の意味−
(要旨)
日本における近世近代の町家は、(1)「京町家」、(2)「京都型町家」、(3)「在地型町家」に分けられる。(1)は、京都にみられ、構造は通柱型で、家屋形式は平入、卯建がある。(2)は主に旧城下町にあり、京町家と同じように、通柱型で平入である。卯建はあるが、卯建は次第に消えていき、土蔵造りにかわっていく。江戸の町家に、この形態がみられる。(3)は在郷地にあり、構造は大梁型で卯建はない。平入りであるが、一部、妻入りのものもある。以上の類型について、90枚の図と写真を示して講演があった。
討論では、町家の地域性、妻入と平入が混合している町のとらえ方、海外の妻入と平入の事例、さらに、卯建は防火壁や家格の象徴といわれるが、卯建のある町とない町の違い、また、片側だけのものと両側にあるもの等、近世近代の町家をめぐって、意見交換があった。
この発表は講師の25年に及ぶ町家研究からのものである。