第168回
(話題)  水上から江戸東京をみる−品川の水辺と宿場
(要旨)
中世、品川は舟運の拠点で、江戸時代には港の機能を持っていた。現在、東京の南玄関として注目され、再開発も活発である。
フォーラムでは、まず、旧東海道の品川宿を歩いた。山側は聖なる空間として社寺が点在し、海側は漁師町の名残をとどめている。路地からはかつての敷地割が見え、御輿が受け継がれていて、地域コミュニティが存続している。
つぎに、目黒川河口から、釣船に乗船し、関東大震災後につくられた運河を通り、東京湾をめぐった。倉庫が並ぶ水辺景観は今も見られるが、巨大マンション、商業施設に目が奪われる。水の側から地域の都市空間の成り立ち、開発による景観の変化を観察し、親水性の視点が少ないことを知った。
品川宿もベイエリアも、東京オリンピックによって変貌した。それから約400年、船上フォーラムでは、この地域の多様で豊かな水辺の資産を再発見した。