第166回
(話題)  江戸の養生所
(要旨)
『テレビドラマや小説では、「赤ひげ」医師が、江戸小石川養生所で献身的に患者と向き合う姿が描かれている。しかし、史料をみると、実態とかけ離れていることがわかる』と、安藤優一郎氏(江戸都市史研究家)は『江戸の養生所』で著している。その安藤氏を講師に迎えた。講演は、江戸小石川養生所の開設経緯、医学館・江戸町会所との関係、養生所の腐敗と廃止についての発表があった。続いて、コメンテータの勝木祐仁氏(文化女子大学非常勤講師)から、近代東京の公的医療施設において、その福祉概念がどのように展開していって、現代につながっているのかが示された。討論では、江戸から東京への一貫した視座で、医療・福祉問題や医療施設の設計について、参加者とともに意見交換をした。