第113回
(話題)  橋のアーバン・デザイン
(要旨)
“美”とは無関係と思われている土木構造物も、かつては「用・強・美」の3要素の機能が重視されていた。なかでも都市につくられ、人目につく橋は、橋梁美に注意がはらわれた。近代になって橋の材料が、木や石から鉄やコンクリートにかわると、多様な造形表現が可能になった。
日本の橋梁史をながめると、帝都復興事業のときに橋梁デザイン思想が体系化されたことがわかる。一橋一橋のデザインはもちろん、橋梁群としてのデザイン、都市や河川のゲイトとしの橋のデザインなどが考えられた。地域性にあわせて橋のタイプやデザインを決めることも行われた。例えば、皇居を中心にした橋のデザイン・ヒエラルキーや、隅田川の右岸と左岸で橋のタイプを変えたことなどがある。
フォーラムでは、上記のことを江戸時代にまでさかのぼって概説された。そして、帝都復興橋梁を中心に、最新の成果である橋のディテール分析をふまえて展開された。