第102回
(話題)  同潤会柳島アパートの生活
(要旨)
同潤会柳島アパートの住環境の歴史は、1.戦前期(大正15〜昭和20年−中流層向け賃貸住宅として機能した時期)、2.戦後混乱期(昭和20〜26年−昭和20年に空襲により躯体を残し全焼、居住者は自力で徐々に住める状態にしていった時期)、3.発展期(昭和26〜48年−昭和26年に土地・建物が分譲払い下げされ、定住者は住空間の拡大をはかり増築をしていった時期)、4.再開発準備期(昭和48年〜−住宅難解決の兆しが見えはじめて転出者が増え、定住者の複数戸使用が一挙に多くなり且つ増築部の建替や新規増築が急増するが、広くなった住戸に高齢者が残るようになっていく時期)、に分けられる。一般の集合住宅では実現の難しい増築・複数戸使用によって住空間を獲得し、40数年にわたる定住を実現している柳島アパートの住まい方の変遷は、都市型集合住宅に定住していくための一つの可能性を示唆している。