第98回すまいろんシンポジウム 2022年10月21日(金)14:00~17:00
コモンズと住まい 終了しました。
住まいという生活の場=〈私〉と、公共の空間や制度=〈公〉の中間にあらわれる領域は、〈共〉と呼ばれます。本特集では、この〈共〉的な領域に焦点を合わせます。その際に手がかりとするのは「コモンズ」の概念です。
I・イリイチは、住まいがホーム(家のしきいの内側)とコモンズ(しきいの外にある共同の空間)の双方から構成されていると指摘したうえで、近代のハウジングが、そのことを忘れてコモンズの破壊に加担してきたと批判しました*1。いかにコモンズを組み込むかは、現代の住空間の計画にとって、避けて通ることのできない課題となっています。
社会科学の分野では、コモンズというテーマは、自然資源の管理の分析にはじまり、しだいに対象を拡張してきました。近年では、具体的なもの(場所、空間、知識、情報、アイディアなど)を介した柔軟な共同性が、コモンズの名のもとに論じられています*2。
コモンズが、人とものとの関係にもともと備わった性質ではなく、コモン化(commoning)というダイナミックな実践を通じて生成するという見方を提示したのは、都市地理学者のD・ハーヴェイです*3。この考察に触発された都市コモンズ論では、住まいとその運営形態が重要なテーマとして浮上しています。
この特集では、コモンズと住まいの接点を多方面から探り、いまだ掘りつくされていないコモンズ概念のポテンシャルを引き出せればと思います。
*1 イバン・イリイチ(桜井直文監訳)『生きる思想』藤原書店、1991年
*2 待鳥聡史・宇野重規編『社会のなかのコモンズ』白水社、2019年
*3 デヴィッド・ハーヴェイ(森田成也ほか訳)『反乱する都市』作品社、2013年
企画:祐成 保志(東京大学大学院 准教授/すまいろん編集委員会委員)
主催:一般財団法人 住総研
第98回すまいろんシンポジウム コモンズと住まい
14:00~17:00
「コモンズの住まいとの接点」
「コモンズを育むアクティビティ-建築計画の視点から」
前山総一郎(福山市立大学 教授)
「コモンズとしてのハウジングオーソリティ-非営利組織による社会サービス」
松村淳(関西学院大学 准教授)
「建築家の解体とコモンズの再生―commoningにおける建築家の役割」
※講演者等は変更になる場合がございます。
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(定員100名:先着順)
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〒103-0027 東京都中央区日本橋3-12-2 朝日ビルヂング2階
TEL:03-3275-3078/FAX:03-3275-3079
このシンポジウムの内容は、2023年2月発行予定の『すまいろん』(No.112)に掲載予定です。
会場
一般財団法人住総研会議室