活動-イベントアーカイブ

第97回すまいろんシンポジウム 2022年3月15日(火)14:00~17:00

『「70年代住宅」との向き合い方』  終了しました。

1972年生まれの「中銀カプセルタワービル」は、ちょうど50年目の2022年に解体される。1978年生まれの私は、中銀カプセルタワービルB棟9階のカプセルB908を借りて2013年から1年ほど住み、その後から2019年までは事務所・シェアオフィスとして使った。2017年から2021年までA棟6階にあるカプセルA606も借りてシェアオフィスを企画運営し、当時の機器類を使えるようにしてレストアしながら自身も事務所として使った。使用していたカプセルへ国内外の多くの方々をご案内することで、カプセルを体感してもらう機会もつくってきた。

2021年8月には協力者の先生方と、状態の良い複数のカプセルの実測も行った。自身では防護服・防護マスクを付けてアスベスト対策をした上で天井や壁が崩れてアスベストがむき出しの老朽化した複数のカプセル内の調査も行っている。

「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」代表として、シェアオフィスで使用してきたカプセルユニットA606を最終的な所有企業から譲り受け、移築保存ではなく「モバイルカプセル」として牽引化をして、動きながら多くの人とシェア保存していく。アスベスト関連作業を自らするのに必要な3つの講座を受講・修了することで、除去工事並の機材・作業態勢でオリジナルの棚を取り外し保管する予定だ。解体時に「看取り」をするつもりだったカプセルを、延命するチャンスを創り、少なくとも私自身の体が動かなくなるまでの数十年間を「ともに生きる」覚悟を持って取り組んでいる。

同潤会アパートメントなどの「戦前建築」が好きな私からすると、1970年代の建築はあまりにも新しく、「中銀カプセルタワービル」に入居した当初はまだ「自身の時間と情熱を傾ける」対象では無かった。

ところが、8年半使い過ごすうちに、いつしか「中銀カプセルタワービル」と「カプセル」は「家族」のような存在になっていた。良いところも悪いところも全て受け入れて付き合っていくしかない。「ともに生きる」ということは、「介護」も行えば「看取り」も行うということだ。

「70年代住宅」は、大量生産の生産能力・施工性能だけではなく、個性と多様性を併せ持ち、移動や増殖の考え方、さらに個の時代の到来を見据えた熱い未来のビジョンを持っていたのではないだろうか。ところが、メンテナンス性や耐久性など50年後の未来さえ具体的に考えていなかったように感じることが多々ある。当時の未来感・コンセプトに憧れ尊敬しつつも、不出来なところも多い大量の「70年代住宅」をどうしたらいいのだろうかと向き合う機会が増えている。

「自分がやるしかない」といった追い詰められた状況や、「仕方なく」といったあきらめの気持ちも含め、そして、必ずしも住宅そのものがそのまま生き続けることだけではなく、未来のために「70年代住宅とともに生きる」ヒト、コトを見たい。


企画:いしまるあきこ(一級建築士事務所ねこのいえ設計室 主宰/すまいろん編集委員会委員)

主催:一般財団法人 住総研

第97回すまいろんシンポジウム 『「70年代住宅」との向き合い方』

主催
2022年3月15日(火)
14:00~17:00
日時
ZOOMによるオンライン開催・参加費無料
参加費
100名
定員
いしまるあきこ(一級建築士事務所ねこのいえ設計室)
注意事項
志岐祐一(株式会社日東設計事務所)70年代集合住宅の魅力と課題
藤村龍至(東京藝術大学・准教授) ニュータウンと建築家の仕事
谷繁玲央(東京大学・権藤智之研究室 博士課程)70年代プレファブ住宅の再考

※講演者等は変更になる場合がございます。
申し込み 定員に達しましたので申し込みを締め切らせて頂きます。
本シンポジウムは、「Zoom」を用いたオンライン配信で開催します。(参加無料)
下記の申込フォームからご登録いただいた方に、オンライン参加用のリンクを後日お送りいたします。(定員60名:先着順)
問合せ
一般財団法人 住総研
e-mail sumairon★jusoken.or.jp (★は@(半角)に変えて下さい。)
〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目12番2号朝日ビルヂング2階
TEL:03-3275-3078

このシンポジウムの内容は、2022年8月発行予定の『すまいろん』(No.111)に掲載予定です。

会場

一般財団法人住総研会議室

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