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第93回すまいろんシンポジウム 2020年4月6日(月)14:00~17:00 ZOOM(非公開)による開催

『高層住宅「地」』 (新型コロナウィルス感染拡大のため非公開で実施しました)

平成の都市計画は容積率緩和と民活を主軸とした土地の高度利用政策を行い、都心居住の流れを生みだした。特に平成14年の都市再生特別措置法の制定は、駅を中心とした再開発に拍車を掛け、タワーマンションを含む高層住宅の増加を全国にもたらしている。容積緩和によって都心居住を実現しようとする傾向は、「コンパクト+ネットワーク」を目標とする平成26年の都市再生特別措置法改正により、今後も強まっていくことが予想される。

しかしながら、実際に高層住宅が林立する開発地区を訪れてみると、日照の少なさ、隣棟間隔の狭さ、店舗やコミュニティ施設の不足など、住環境としての条件の悪さに驚かされる。一部の地区では住宅の足元がすべて駐車場で埋まってしまい、子どもの遊び場や安全な遊歩道がないなど、住環境として問題があると言わざるをえない状況もある。この状況は、高層住宅が計画住宅地ではなく、高容積の商業地域に建てられていることにも起因しており、都市計画で想定した空間利用と実情の間に乖離が生じていると言うこともできる。

タワーマンションの是非論など、これまで高層住宅については、単体の建築としての住み心地や維持管理などが議論されてきた。しかし、これらの建築が増加し面的影響を見せている現在、高層住宅ではなく、高層住宅「地」として、地区として居住を捉える視点が必要ではないだろうか。

本特集は、平成後期に実現した高層住宅「地」の類型化と課題整理を行い、今後の都市再生における都心居住がどうあるべきかを考察するものである。ドミノ状の高層マンションによる眺望侵害、タワーマンション林立による都市インフラの容量超過、高容積商業地区の居住利用による公共施設不足、都心居住でも減らない自家用車利用の実態など、高層住宅「地」のさまざま課題を、東京圏、関西圏のフィールドワークを通して明らかにする。建築計画、住宅地計画、都市計画、ランドスケープなど、さまざまな視点からの考察により、今後の高層住宅「地」のあるべき姿を見出していきたい。


企画:太田浩史(ヌーブ、建築計画、すまいろん編集委員会委員)+桑田仁(芝浦工業大学教授(都市計画))

主催:一般財団法人 住総研

第93回すまいろんシンポジウム 『高層住宅「地」』

主催
2020年4月6日(月)
14:00~17:00 ZOOM(非公開)による開催
主旨説明+フィールドワークの速報
太田浩史((株)一級建築士事務所ヌーブ 代表取締役)
論点整理
桑田仁(芝浦工業大学 教授)
講演1
岡絵理子(関西大学 教授)「超高層マンションと都市計画~関西圏」
藤井さやか(筑波大学准教授)「高層住宅と都市計画~東京圏」
武田史朗(立命館大学 教授)「新興住宅地の公共空間と「ホストのある風景」の創出に向けて-JR南草津エリアを中心に」

このシンポジウムの内容は、2020年8月発行予定の『すまいろん』(No.107)に掲載しています。
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