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「住総研 清水康雄賞」  概ね3年に1度表彰しています。

一般財団法人 住総研は、創立60年を機に、顕彰制度を設立しました。
「住まい」に関して優れた研究成果をあげた研究者を表彰するとともに、研究者の研究意欲の向上を図り、住研究の発展に資することを目的としています。
対象者は、「住まい」に関して優れた研究成果をあげるとともに、(1)新たな時代へのつながりや新分野を切り開くことが期待できる研究活動を行っている研究者、及び(2)社会的・実践的活動につなげて研究活動を行っている研究者とし、受賞者には、贈呈式・記念講演会にて賞状・正賞・副賞(200万円)を贈呈いたします。

清水康雄賞について

住総研 清水康雄賞 選考委員会(委員五十音順)2022年4月現在

委員長 佐藤 滋(早稲田大学 名誉教授/早稲田大学 総合研究機構 教授)
委員 在塚 礼子(埼玉大学 名誉教授)
小林 秀樹(千葉大学 名誉教授)
村田 真(住宅・建築ジャーナリスト)
若林 幹夫(早稲田大学 教授)
道江 紳一((一財)住総研 専務理事)

第7回 住総研 清水康雄賞 受賞者

小野田 泰明氏

小野田 泰明氏

<贈呈式及び記念講演会>
※コロナの状況により一般の参加受付は致しません。
日時 2022年11月14日(月)14:00〜15:10
場所 第一ホテル東京(新橋)(東京都港区新橋1-2-6)
講演 小野田泰明氏
復興を実装する―東日本大震災からの建築・地域再生
※贈呈式及び記念講演の様子は、後日公開致します。

贈呈式
記念講演 小野田 泰明(東北大学大学院 都市・建築学専攻 教授)

小野田泰明氏は建築設計を科学として支えてきた建築計画学を飛躍・発展させ、特に集合住宅の研究と実践で見事な成果を上げました。単純な南面日照、北アクセスと言う集合住宅の機能主義を超えて、リビングアクセスという考え方を提示し、近隣関係を再生させる、しかも地形や場所の条件にこれを適合させることにより、変化に富んだ楽しい暮らしの場を生み出しています。コミュニティの再生が切実な課題であった東日本大震災の被災地では、発注者の自治体に協力し、設計者とともに質の高い復興公営住宅を生み出しました。しかもこうした実践に加え、設計の前段、すなわち企画から設計者選定、発注段階で自らの役割を果たし、これを方法として理論化し、成果に結びつけました。こうして、自ら「プレ・デザイン」と呼ぶ、建築計画学の概念を拡張し、建築を生み出すプロセスの進歩を先導しています。
特に、東日本大震災の復興事業での活躍はめざましく、地元大学人として期待された役割を見事に果たしました。さらには外部からの参入する設計者たちと共同し、数々のモデルとなる実践を重ね、しかもそれを優れた学術的成果に纏め上げています。
こうした一連の業績は、清水康雄賞が顕彰すべき「住まいに関する研究並びに実践における特に優れた成果」にふさわしい顕著な成果として、高く評価されました。

<受賞者プロフィール>
小野田 泰明(おのだ やすあき)

1986年 東北大学工学部建築学科卒業
1994年 東北大学大学院工学研究科にて博士(工学)取得
1998年 カリフォルニア大学建築都市デザイン学科客員研究員(文部省在外研究員)(〜1999年)
2007年 東北大学大学院工学研究科・工学部都市・建築学専攻 都市・建築計画学講座 建築空間学分野 教授
2012年 東北大学大学院都市・建築学専攻長
2012年 同災害科学国際研究所 教授
2015-16年 香港大学建築学科 客員教授
2022年 カリフォルニア大学建築都市デザイン学科 客員教授

これまでの受賞プロフィールは当時のものです

第6回 住総研 清水康雄賞 受賞者

後藤 治氏

後藤 治氏

<贈呈式及び記念講演会> 終了しました。
日時 2019年11月12日(火)14:00〜15:10
場所 第一ホテル東京(新橋)(東京都港区新橋1-2-6)
講演 後藤治氏 歴史的建造物の価値−発見と創造

贈呈式
記念講演 後藤 治(工学院大学 理事長・教授)

後藤治氏は、歴史的建造物に関わる分野を中心に活躍され、とりわけ、失われつつある近代建築や町並みの保存活用に向けて、その基盤となる法制度の整備と研究に取り組まれました。その成果は、全国の近代建築はもとより民家等の保存活用に力を与えるもので、住まいに関する優れた業績として評価されます。
後藤氏の業績は、文化庁在籍時代に尽力された「登録文化財」制度の創設(1996年)に始まります。これは、取壊しの危機にある近代建築や民家等を文化財として幅広く登録する方法に道を開くものでした。その後、工学院大学に転身されてからも、数十件もの登録推薦書を担当されるとともに、その保存活用の担い手であるヘリテージマネージャーの養成について、全国協議会の運営委員長や各地での講座講師を長年務められ、本制度の普及・推進に尽力されました。
さらに、特筆すべきは、伝統的建造物への建築基準法の適用除外に関する研究と実践です。科研費を得て欧州・米国等の実態を調査するとともに、日本での実現のあり方を検討されました。とくに、自治体条例によって適用除外が可能になることに着目し、日本建築士会連合会や自治体職員に協力して条例制定を推進されました。現在10を越える自治体で条例が制定されるまでに発展しています。
一方、甲州市塩山の上条集落、横手市の増田町その他では、地元関係者と連携して、伝統的建造物群保存地区による歴史まちづくりや古民家等の再生を実践され、それを地域の活性化に展開すべく努力されておられます。また、茅葺き屋根の延焼防止のための消防技術の共同開発や、木造密集地における防災との両立への関心など、名もなき歴史的建造物をいかに残すかという立場から、精力的に活動を展開しておられます。
以上、後藤治氏による、歴史的建造物及び民家等の保存活用に向けた法制度の整備、その基礎となる調査研究、そして普及・実践活動という一連の業績は、清水康雄賞が顕彰すべき「住まいに関する研究並びに実践における特に優れた成果」にふさわしい顕著な成果として、高く評価されました。

<受賞者プロフィール>
後藤 治氏(ごとう おさむ)

1984年 東京大学工学部建築学科卒業
1986年 東京大学大学院工学研究科修士課程修了
1988年 同博士課程中退
1988年 文化庁文化財保護部建造物課文部技官
1999年 工学院大学工学部建築都市デザイン学科助教授
2005年 同教授
2011年 工学院大学建築学部建築デザイン学科教授、常務理事
2017年 同理事長  
2018年 工学院大学総合研究所教授、理事長  現在に至る

第5回 住総研 清水康雄賞 受賞者

北原 啓司氏

北原 啓司氏

<贈呈式及び記念講演会>
日時 2016年11月2日(水)14:00〜15:10
場所 第一ホテル東京(新橋)(東京都港区新橋1-2-6)
講演 北原啓司氏 「空間」を「場所」に変えるまち育て

贈呈式
記念講演 北原啓司(弘前大学大学院 地域社会研究科長)

第5回受賞者は、北原啓司氏(弘前大学大学院地域社会研究科 研究科長・教育学部教授)に決定しました。
北原啓司氏は、地元東北を中心に住まい・まちづくりの実践はもとより、その担い手を育てることに積極的に取り組まれました。とりわけ「まち育て」のキーワードのもとに、住民・行政・専門家・学生等が、まちづくりに主体的かつ協働して取り組むことの意義を示し、その具体化と理論化に尽力されました。
その成果は、ワークショップを通して多様な担い手が協働して実現した「相馬村安田団地集会場-すばる103」や「黒石こみせ通り松の湯再生計画」として具体化し、さらに、まちなか居住に商店主が取り組んだ弘前の「土手住専科(まちづくり勉強会)」の支援活動に凝縮されています。土手住専科では、東北初めての借上げ公営住宅や、活動に共感した新聞社が地域の居場所を提供した「上土手スクエア」が実現しています。さらに、東北大震災からの復興においては、市民参画を重視して後方支援する「きたかみ震災復興ステーション」の実現と運営に尽力されました。これら実践活動において、北原氏は、優れたコーディネート力を発揮しつつも、自らは応援団に徹し、住民や行政が主人公であるというまち育ての神髄を体現しています。この点も素晴らしいことだと思います。もちろん、東北での実践に加えて、それを研究者として理論化し、「まち育て」や「まちなか居住」に関する執筆を通して、全国的に注目される業績へと発展させています。
一方、地元ラジオ局で毎週土曜日に放送される番組「まち育てないと」を15年の長きにわたり制作・運営していることも特筆されます。北原氏と住居学研究室のゼミ生が出演し、まち育てを楽しく語る場として地元に根付いています。
以上、北原啓司氏による、「まち育て」を主題とした住まい・まちづくりの実践と、それを研究・理論化した一連の業績は、清水康雄賞が顕彰すべき「住まいに関する研究並びに実践における特に優れた成果」にふさわしい顕著な成果として、高く評価されました。

<受賞者プロフィール>
北原 啓司氏(きたはらけいじ)

1979年 東北大学工学部建築学科卒業
1985年 東北大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学
1985年 東北大学工学部建築学科助手(〜1996年)
1996年 弘前大学教育学部助教授
2003年 東北大学にて博士(工学)取得
2003年 弘前大学教育学部教授
2004年 弘前大学教育学部副学部長(〜2014年)
2014年 同 大学院地域社会研究科長

第4回 住総研 清水康雄賞 受賞者  

佐藤 滋氏

佐藤 滋氏

<贈呈式及び記念講演会>
日時 2013年11月8日(金)14:00〜15:30
場所 第一ホテル東京(新橋)

第4回受賞者は、佐藤滋氏(早稲田大学理工学術院教授、同都市・地域研究所所長)に決定しました。
佐藤滋氏は、密集市街地研究をはじめとして、研究と実践を融合しつつ全国各地の住まい・まちづくり活動に携わり、それを通して、住民が主体的に取り組む“まちづくり”の理念と実践方法の確立、その普及に尽力されました。
その成果は、「鶴岡市城下町のまちづくり」や「二本松市竹田根崎地区住民参加型まちづくり」のプロジェクトなどに凝縮され具体化、「まちづくりデザインゲーム」や「まちづくり市民事業―新しい公共による地域再生」等の書籍を通して社会に展開されました。加えて、自治体や市民組織などと共同した取り組みによって多くの有能な“まちづくり人”を発掘・育成し、地元主体のまちづくり活動のネットワーク化を支援してきました。
住宅個別の取り組みでは居住環境の改善が困難になっている現在、“まちづくり”を通して居住環境を改善する取り組みは、住総研 清水康雄賞が顕彰すべき「住まいに関する研究並びに実践における特に優れた成果」に照らし、その研究と実践並びにその活動を理論化し社会に普及・展開した一連の業績は、本賞の主旨にふさわしい顕著な成果として、高く評価されました。

<受賞者プロフィール>
佐藤 滋氏(さとうしげる)

昭和24年(1949年) 千葉県出身
昭和48年(1973年) 早稲田大学 理工学部建築学科卒
昭和53年(1978年) 早稲田大学大学院博士課程修了
昭和57年(1982年) 早稲田大学理工学部専任講師
昭和59年(1984年) 早稲田大学理工学部助教授
平成 2年(1990年) 現職

第3回 住総研 清水康雄賞 受賞者

安藤邦廣氏

安藤 邦廣氏

<講演会及び受賞式>
日時 2010年10月15日(金)14:00〜15:30
場所 學士会館 202号室(東京都千代田区神田錦町3-28)
講演 安藤邦廣氏(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授・建築家)
「民家構法の変遷とこれからの木の住まい―民家の歴史に森林資源の利用の知恵を探り、これからの木の家づくりについて考える―」

第3回受賞者は安藤邦廣氏(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授・建築家)に決定しました。
安藤邦廣氏は、伝統的な建築技術の研究者であるとともに、それらの成果を住宅等に実現し構法の普及に努める建築家でもあります。特に、現代の木造住宅における板倉構法の提案と実践活動が、今後の住宅生産分野においても広がりが期待できると、選考委員会にて高く評価されました。

<受賞者プロフィール>
安藤 邦廣氏(あんどう・くにひろ)

国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科教授・建築家
1948年 宮城県に生まれる
1973年 九州芸術工科大学芸術工学部環境設計学科卒業
1973年 東京大学工学部助手
1982年 筑波大学芸術学系講師
1983年 東京大学にて工学博士取得
1998年 現職

第2回 住総研 清水康雄賞 受賞者
谷 直樹氏

谷 直樹氏

<講演会及び受賞式>
日時 2009年10月22日(木)14:00〜15:30
場所 大阪市立住まい情報センター3階ホール(大阪府大阪市北区天神橋6-4-20)
講演 谷直樹氏(大阪市立大学教授)
「歴史に学び、現代を考え、未来を創る―都市居住史とミュージアムを通じた住教育活動」

第2回受賞者は谷直樹(大阪市立大学教授)氏に決定しました。
谷直樹氏は、大阪を中心に都市居住の歴史を学術的に明らかにし、さらにその成果を、「大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)」に発展させるなど、市民社会に向けた熱心な「住まいの文化の伝達」や「住まい学習」活動の展開が高く評価されました。

<受賞者プロフィール>
谷 直樹氏(たに・なおき)

大阪市立大学大学院生活科学研究科 教授 1948年生まれ
1972年 京都大学建築学科 卒業
1979年 同大学 博士課程単位取得退学 工学博士
1979年 堺市博物館主任研究員
1982年 大阪市立大学 生活科学部 講師、助教授を経て、
1996年より現職に至る

第1回 住総研 清水康雄賞 受賞者
小林秀樹氏

小林 秀樹氏

小谷部育子

小谷部 育子氏

<講演会及び受賞式>
日時 2008年10月6日(月)14:00〜16:00
場所 建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20)
講演 小林秀樹氏(千葉大学大学院教授)
「研究から実践へ、実践から研究へ」
小谷部育子氏(日本女子大学教授)
「コレクティブハウジングの研究と社会活動の20年
―旅と人の出会い―」

第1回受賞者は小林秀樹氏(千葉大学大学院教授)、小谷部育子氏(日本女子大学教授)と決定しました。
小林秀樹氏は、スケルトン定期借地権方式「つくば方式」の立案と実現による新しい住宅供給方式の確立が、小谷部育子氏は、「コレクティブハウスかんかん森」に代表される新しい家族像を模索するコレクティブハウジングの先駆的研究と実践が、評価されました。

<受賞者プロフィール>
小林 秀樹氏(こばやし・ひでき)

千葉大学大学院 教授 1954年生まれ
1985年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 修了(工学博士)
1987年 建設省建築研究所入所
2001年 国土交通省国土技術政策総合研究所入所
2002年 千葉大学工学部都市環境システム学科助教授
2004年 教授 現職に至る


小谷部 育子氏(こやべ・いくこ)
日本女子大学 教授 1944年生まれ
1966年 日本女子大学家政学部住居学科卒業
1966〜1985年 一級建築士事務所 第一工房勤務
1982年 コーネル大学大学院修士課程修了 M.Arch
1985年 日本女子大学家政学部講師、助教授を経て
1997年 教授 現職に至る


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