第117回
(話題)  江戸城から宮城へ−皇居を中心とする都市空間の変容−
(要旨)
明治元年(1868)から明治23年(1890)までの皇居を中心に皇宮地付属地、郭内御門、諸官庁の具体的な変化を取り上げる。
江戸城は明治元年東京城と名称を変え、明治2年(1869)東京遷都に伴い皇城となる。さらに明治5年(1872)には旧江戸城内郭を皇居と定める。しかし、明治6年(1873)5月5日出火のため皇居は焼失する。それで、明治22年(1889)まで赤坂離宮が仮皇居とされた。皇居再建は旧西の丸において明治17年(1884)から開始され、明治22年に竣工した。同年10月27日皇城から宮城に名称が変わり、以後宮城は昭和23年(1948)7月1日にその名称が廃止されるまで、わが国にとって象徴的存在となる。
これらの変容過程を3期(第1期:明治1年〜6年(1868〜1873)、第2期:明治6年〜15年(1873〜1882)、第3期:明治15年〜23年(1882〜1890))に区分し、それぞれの特徴が考察され、東京の都市空間の変容の一端が語られた。
史料として用いられたのは、「太政類典」「公文録」「公文類聚」(国立公文書館蔵)、補足史料としては『東京市史稿』皇城編4・5『明治天皇紀』『千代田区史』が援用された。