2017実践研究報告集統合版
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5.実験結果照明実験期間中に中⼼市街地の避難経路認識調査を、同⼀調査者により再度⾏った。図5-1に結果を⽰す。図2-2と図5-1との⽐較より、新たに光源を取りつけたエリアまたその周辺において、避難路認識範囲は⼤きく拡⼤する結果になった。⾼台へ続く坂道や階段に照明を設置したり、交差点に光を追加したりしたことで夜間においても避難光を追加したりしたことで、夜間においても避難経路や⾼台⽅向を近接する地域からも認識しやすくなり、誘導効果が⾼められることとなったといえる。またこの地域の⾵景の象徴の⼀つである五⼗鈴神社については、昼間は内湾に沿って1kmほど離れた位置からも神社が認識できるが、夜間通常時は神社周辺の200mほどの距離からしかはっきり認識できていない。⼀⽅実験時は、沿岸部の認識範囲は昼間と同等で、対岸からもはっきりと神社の位置が認識できている。五⼗鈴神社の樹⽊を投光したり沿岸部に光を連続配置したりした様⼦が直接⾒えるだけでなく光が海⾯に映り込むことでより場所が分か図5-1夜間実験時の避難路認識調査結果なく、光が海⾯に映り込むことでより場所が分かりやすくなっている。地域の特徴的なランドマークを光によって可視化することは、⾃分の位置を確認する機能を与えることになり、夜間の災害時において有効なサインとなる。また、海の⽅向が認識できることは、反対側に⾼台があるという地形的な⽅向感覚を与えることにも役⽴つだろう。6活動を踏まえた今後の課題図6-1実践活動を踏まえた照明計画の⽅向性アンケート調査から、夜の景観としても概ね好ましい評価が得られ、気仙沼らしさが出されており、街を散策したくなると回答している。課題点としては、「もう少し明るい⽅が良い」「⼈の少ない時間帯まで点灯する必要はない」などの意⾒が挙げられた。6.活動を踏まえた今後の課題今後の常設の照明へ取り⼊れる上で考慮しなければならない点がある(図6-1)。避難経路と⾼台への避難経路⼊⼝の認識を向上させることは急務の課題である。ただしこうした景観照明が常に点灯していることが良いのかについては賛否の声がある。終夜点灯させる必要があいては賛否の声がある。終夜点灯させる必要があるからである。津波が来た場合などの緊急時には、照明を点滅させるなど視認性の⾼い光を使って、⼈々に異常な状況を認識させて避難を誘導するなどの⼯夫も考えられる。実験結果を踏まえて気仙沼市にプレゼンテーションした(写真6-1)。住⺠側が主体となって計画を推進することが求められるため引き続き計画を推進することが求められるため、引き続き地域住⺠と連携しながら活動する予定である。写真6-1照明実験を踏まえた新しい夜の景観計画について気仙沼市⻑へのプレゼンテーション(2017年4⽉)住総研 実践研究報告集 No.44, 2017年版 普及版 38

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