2017実践研究報告集統合版
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(4)⺠間主体による空きストックの利活⽤実態調査空きストックを活⽤して事業所等を開設した⺠間主体に対してインタビュー調査を⾏った(事例の位置は、後述する社会実験の実施場所と合わせて図2に記載)。aおだかぷらっとほーむc.おだかのひるごはん①開設の経緯2014年12⽉8⽇、⼩⾼区まちなかの出⾝でUターン起業者の⽅(40代)が経営者となり、地元主婦の⽅々とともに開設したランチ営業の飲⾷店が開設された。避難指⽰解除前から、⽉に⼀度、「芋こじ会」という地域の情報交換の場がつくられており、その中で「ボランティアや作業員の⽅に温かい味噌汁を提供したい」という話が出たことを契機に、開設することとなった。駅から程近い双葉⾷堂の建物を借⽤し、芋こじ会の仲間で内部に合板ボードの取り付け、机・椅⼦の組み⽴て等の改修作業を⾏った。避難指⽰解除まで家賃は要らないとの持ち主の⽅のご厚意により、ガス・電気代のみ⽀払運営地主婦名替a.おだかぷらっとほーむ①開設の経緯2015年10⽉1⽇に新規開設した、誰でも⽴ち寄ることのできるコミュニティスペースである。平⽇⽇中、地域に開放され、⽇常的に地域住⺠や外部⽀援者らが集まり、お茶飲みや会議の場として利⽤されている。開設者は、以前から、同市内にある仮設住宅において地域の菜園づ⽰解除前から、⽉に度、「芋こじ会」という地域の払って運営していた。地元主婦4名で⽇替わりランチを作り、50⼈分程の材料を仕⼊れていた。当時の客層は、除染作業員が全体の3分の1から半分程度、その他が地元の⽅や⼩⾼で働く⽅であったが、コンビニや飲⾷店が再開していなかった当時の⼩⾼では、温かい⾷材が提供される唯⼀の店舗として有難がられていた。⾷材の中には、芋こじ会メンバーである地元農家の⽅の有機野菜で、検査済みのもの等も使われており、⼩さな地産地消が⽣まくりや、⼩⾼駅前広場にてイベント開催など、地域再⽣に向け先陣を切って活躍されてきた。②現在の状況開設当初は駅前から200m程の元個⼈商店において、2017年3⽉末までの借⽤という形で運営されたが、使⽤できなくなり、2017年4⽉より、駅前から400m程の元学習塾の建物を⼀棟買いして移転開設するに⾄った。外からガラス窓越しに内部の様⼦が窺えることは移転前と査済みのもの等も使われており、⼩さな地産地消が⽣まれていた。②現在の状況2016年5⽉より、建物貸主の双葉⾷堂が、同市内の仮設店舗から戻って再開することが決まり、2016年3⽉11⽇に役⽬を終えて閉店した。現在の双葉⾷堂は、⽇々⾏列のできるラーメン屋として親しまれている。からガラス窓越しに内部の様⼦が窺えることは移転前と共通しているが、移転後は床部分にカーペットを敷き、靴を脱いで上がる家のような空間に様変わりした。外壁に⽊材を張り、⼿作りだった看板を固定の看板として前⾯に出し、クラウドファンディングによって壊れた屋根部分を修復するなど、賃貸時にはできなかった建物のリニューアルが⾒られる。⽇替わりでヨガやパソコン等の教室を開き、キーボードやオセロ・将棋等の娯楽備品を置き、宅配の受取も⾏い、毎⽉⼀度定例会議を開催して地域住⺠や⽀援者らが集まって情報交換をしている。市の補助⾦を活⽤して、⽉刊の広報紙「おだかだより」を発⾏し、市内公共施設や店舗等に広く配布されている。活動が定着するにつれ、継続して関わり続ける⼈も増え、現在では常勤や週2⽇のスタッフが確保されているいる。4.3まちなか部会での協議中⼼市街地の復興に向けた協議会として、南相⾺市役所の建築住宅課や都市計画課、まちなかで活動する⼈々、外部の研究者、中⼼部の⾏政区⻑などを招き、「まちなか部会」を全4回開催した。このうち、2016年度の第3回と第4回では「空きストックの活⽤」に関して重点的に話し合いが⾏われた。第3回では災害公営住宅内の空きスペスでの菜園第3回では、災害公営住宅内の空きスペースでの菜園づくり(実験B)と空き家の宿泊利⽤を議論した。後者に関して参加者から空き家への移住者の紹介があり、実験Cへと展開した。第4回では、事例eや実験Bのような空地利⽤を他に展開するため、⾏政の施策として制度化する⽅法を議論した。また、実験Bの実績を受け、参加者から空地のゲートボール場利⽤に関して依頼された。住総研 実践研究報告集 No.44, 2017年版 普及版 26

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