2017実践研究報告集統合版
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1.2活動の概要と経過本委員会では、地域の⽅々と連携・協働し、葉⼭町や神奈川県といった⾏政の理解を得て、「歴史的建造物における建築基準法令等の規定の適⽤を除外することができる条例/通称:その他条例」の制定を⽬指すことを改めて確認した。まず葉⼭町との協議の中でその感触を探ったが、まず葉⼭町との協議の中でその感触を探ったが、決して芳しい反応ではなかった。葉⼭町から、条例を制定した際の⾏政の責任についての法的な知⾒を求められたために、その内容を説明するために知⾒を整理した。⼀⽅、この活動の発端となった「加地邸」所有者や、その周辺関係者との協議も回数を重ね、また神奈川県⽴近代美術館⻑の協⼒を得て「加地邸」を会場として展覧会「ホセイン・ゴルバ「時を彫る2016」」(2016/10/8〜23の⼟・⽇・祝⽇11:00〜16:00)を開催した。この企画は「加地邸」を地域に開いた展⽰空間としての利⽤を試⾏したものだが、展⽰作品の魅⼒を建築空間が引き出すことはあるが、キュレーションの腕に依るところもあり、また、ビジネスとして成⽴するのかの検証も必要でまた、ビジネスとして成⽴するのかの検証も必要であり、普遍的なソフトたり得るかは⼀概には判断できないと感じている。ただ「加地邸」から徒歩圏の神奈川県⽴近代美術館の館⻑がキュレーションをして、チラシ、冊⼦その他すべてが、地域住⺠や、地域の学⽣たちの⼿によるもので、地域の⼒で実施(運営)された展覧会という意味で効果があった。そして、当初計画通り委員相互の知⾒向上のため、当制度についての先⾏事例研究「「その他条例」を中⼼とした歴史的建造物利活⽤に係る研究会」(主催:湘南邸宅⽂化ネットワーク協議会(代表幹事:後藤治⼯学院⼤学建築学科教授)共催:HARNET歴史的建造物活⽤ネットワークおよび当委員会)を⾏った。これはまだ機が熟していない葉⼭町単独ではなく同様な課題を持つ湘南地区全体(神奈川県)を巻き込ん様な課題を持つ湘南地区全体(神奈川県)を巻き込んで、各所に協⼒していただきながら進めた。発表者が主に建築⾏政担当者であるため、かなり制度の具体的な内容に踏み込んだ知⾒(条例の条⽂そのものや制定に⾄る背景等)が得られているが、抱えている課題も⾃治体によって微妙に異なり講義後の写真1-2 ホセイン・ゴルバ展「時を彫る」2016年10⽉9⽇(オープニングイベント)いる課題も⾃治体によって微妙に異なり、講義後の質疑応答では運⽤⾯での課題についても議論をしているが、まだ運⽤⾯での課題があまり明確になっていない印象ではある。いったん平成28年度で幕を引いたものの、平成29年度はその他条例の具体的な運⽤の仕⽅、具体的な建物での運⽤の実態と課題等について更に知⾒を深め、専⾨家等とネットワークを築いていく取組を継続している。写真1-3 ホセイン・ゴルバ展「時を彫る」2016年10⽉9⽇(オープニングレセプション)住総研 実践研究報告集 No.44, 2017年版 普及版 13

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