N畑写真2-1 写真や映像で生活の痕跡を記録している様子(上・下)壁開口壁開口壁開口収納撤去室G1床開口作業場床作業場出入口アトリエAエントランス壁開口建具撤去床開口室A2室A1室B2室B1室G2リビングAリビングB中庭コモンリビングコモンガーデン室C2室C1室D2室D1ギャラリー■■■■■■■■■■■リビングCリビングDアトリエD作業場床作業場床作業場出入口アトリエB作業場床作業場出入口アトリエCスロープ壁解体展示壁作業場床壁開口作業場床作業場出入口壁開口室A2室A1室B2室B1室G2ギャラリー収納撤去室G1床開口室C2室C1室D2室D1 まず,家に残された生活の痕跡について,形だけではなく,そこに残る物語も含めて考え,新たに生活の痕跡を作り出すために,設計者である建築家,映画監督,劇作家・写真家と共に,俳優やダンサー,音楽家の9名がその場所に実際住み,共同生活を行なった。生活する中で,長屋に積み重なっていた痕跡を,写真や映像として形に留め,生活の痕跡として扱った(写真2-1)。 そこに写っているものは,食事の様子であったり,庭の植物であったり,部屋に差し込む光であったり,中には私たち設計者が映り込んでいるものもあった。それらの記録から,生活の痕跡の「形」を取り出しコラージュし,外壁に各部屋をまたがった曲線の開口,共用棟の吹き抜けと床,北側の作業場に通ずる扉を作った(図2-2)。これは既存建築の中に,柔らかい光を取り入れたり,座ったり,ものを置いていたり,使い手が思い思いに使うことのできる「形」となった(写真2-2)。 今までの多くの設計業務は,設計者とクライアントの二者のやりとりによってつくられてきたが,本設計においては設計者とクライアントという枠組みを超えて,多様なアクターが住みながら設計に関わることで設計と生活という線引きが曖昧になっていった。結果として,設計と生活が相互に関係しあい,単なる設計業務として設計者が一方的に案を作り,建築を形作る仕方ではなく,建築が生活の中で変化し続け,生活も建築によって影響を受けていくような建築とそこで営まれる生活の間に双方向性がうまれてく。こうした双方向性は建物が竣工した後も,ここで過ごした人たちがこの場所に関わり続ける要因にもなっており,振り返ると重要なプロセスであった。 まず初めに,私たちが今回設計を行なった建物に関1Fする設計概要や運営方法を含む竣工後の活動を明らかにし,郊外地域における職住の近接した暮らしにどういった課題があり,知見が得られたのかを明確化する。図2-1 改修後の平面図 する設計概要や運営方法を含む竣工後の活動を明らかにし,郊外地域における職住の近接した暮らしにどう 現在では,全ての部屋に住人が住んでおり,私たちいった課題があり,知見が得られたのかを明確化する。建築設計コレクティブのメンバーやアーティスト,編 集者,写真家がここに住み,日々何かを作りながら,その生活に合わせて建物を改修しつつ暮らしている。 まず初めに,私たちが今回設計を行なった建物に関する設計概要や運営方法を含む竣工後の活動を明らかにし,郊外地域における職住の近接した暮らしにどういった課題があり,知見が得られたのかを明確化する。 2F
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