2022実践研究報告集No.2123
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TOKYO METROPOLITANSCIENCE AND TECNOLOGYHIGH SCHOOL OF TOKYO METROPOLITAN図1-3 本実践の対象地区と位置関係(Google Mapより作成)FUKAGAWAHIGH SCHOOL図1-2 本実践のプロジェクトイメージ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ この背景には,アージリスらが1976年に「組織学習」において,組織が継続的に成長していくためには、シングルループ学習が個々になされることにより,ダブルループ学習が為される仕組み作りを提唱しており、本実践によって,高校生及び商店街と地域の人々にそれぞれ,「すでに備えている考え方や行動の枠組みにしたがって問題解決を図っていく学習」と「既存の枠組みを捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むことである学習」が起きると仮説を立てた。このことによって地域に高校生が参画することによる高校生と地域住民の様相の変化を考察し,地域活性化のモデルとして提案する。 2018年の実践研究に引き続き,「高等学校における地域活性化の指導の在り方」について検討していくとともに,地域社会に高校生が参画することで将来,家を持つと考えられる高校生に対して「戸建て」や「集合住宅」という概念だけでなく,居住環境のインフラである商店街や商業施設の存在,住民の意識の違いなど「多様化する住まいと地域」について学ぶ機会として機能させ,高校生が地域社会に出て,地域を学び、住環境について考察し,働くということを知るということにつなげていく。 1.3 実践の手法 2018年度に実践した「高校生と商店街の協働による地域再考と商店街活性化のための取組」商店街で活動している際に多くの街の過去の写真を見ることができた。この過去の写真は地域にとって,地域住民が「地域を知る」ことにつながる大変貴重な資料であり,記録であることから,地域に残る街の写真をAR(拡張現実)技術を用いて,地域における歴史と現在のつながりを材料とした地域活性化モデルを構築したいと着想を得た。 このモデルは,住環境の歴史や価値を地域住民,商店街に再認識させるものとなり,さらに小中学校で実践されている「地域調べ」のツールとして運用することによって,低年齢の子供たちにも地域を発信することができ,いわゆる「地元意識」を構築することが期待でき,将来にわたる住環境を考えるきっかけの仕組みとすることができると考え,本実践では以下の2点について行った。(i) 2018年度の実践研究において、協力を頂いた京浜急行高架下梅森プラットフォームでは多くの若手クリエイターが働いているが、新施設であり外観からは「どのような施設であるか」わかりにくい。 慶応義塾大学の加藤らが行っている“Camp”という先行事例がある文1)。このプロジェクトでは,学生が地域に出て,地域を取材し1枚のポスターに仕上げ,地域の人々にプレゼンテーションし,地域の再発見を行うというものである。先行事例では,学生が2泊3日の合宿を行い,地域の取材とポスター作成,ポスター展開催まで行うものであり,先行事例を参考として,高校生と商店街が地域を再考し,その地域の魅力を発見し,地域に発信していく手法としてポスター展を開催する。 本実践では,高校生がKOCAで働く人々にインタビューを行い,そこから紡ぎ出された言葉を使ったポスターを作成し,KOCAで働く人々にポスタープレゼンテーションを行い,KOCAのオープンスペース及びKOCA内のカフェ仙六屋にてポスター展を開催し,「高校生が地域を知り,KOCAで働く人々がKOCAで働く人々を知り,地域住民がKOCAで働く人々を知る」機会となる仕組みにした。ポスター展は目的ではなく,KOCAで働く人々がKOCAで働く人々を知り,地域がKOCAで働く人々を知り,高校生がKOCAで働く人々を知るためのツールという位置付けである(図1-2)。

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