厳冬期の北海道にて《広告看板の家 札幌》というアートプロジェクトを敢行した。 これはスポンサーを募り,そのロゴを掲示したテントを建て,その内部に設えた居室で筆者が一定期間暮らすというものであるが, 本稿はその居室で行われた,落ち葉の発酵熱を利用した暖房を作る実験についての記述である。秋のうちに公園で集めておいた落ち葉に,素人でも安価で入手できる鶏糞や米糠などの材料を加え,攪拌することによって発酵熱を生じさせ,夜には気温がマイナス5度以下にもなる環境でも睡眠が可能な暖を取ることができたが, 課題も多く見つかった。今後は実験の再現性と活動の発信力を高めるため,より土地に根ざした活動を続ける予定である。写真4-10 完成したベッド。結果的にこれが最終型となったアーティスト/村上 彗内田 涼、清原 惟、John Wells「落ち葉温床と広告看板のテントハウス(仮)」に住む実践研究―「住むこと」を総合的に捉えるためにー32実践研究報告 No.2028
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