(n=41)図4-4 運営課題の解決についてどのような方法がいいと思うか(事後) 「備蓄物資を避難者に配布するための計画」を検討した。2グループずつ,水,食料,毛布の配布計画をどうするか,方策やアイディア,連想される課題などを自由に話し合った。2時間30分のプログラムであったが,1課題につき検討時間約30分(課題2は現場見学を5分程度含む)を確保している。 グループ討議の前に必要な情報を共有するため,避難所の収容人数,備蓄物資の種類と量,運営ルール,最初の受付に関する市役所の準備状況などを講義することで,知識の獲得を加速した(写真4-1,写真4-2)。(n=41):どちらかというとできない(n=41)(n=41)写真4-1 避難所大学(第2回)写真4-2 防災備蓄倉庫見学活発ではなかったどちらかというと活発だったできないできない:どちらかというとできないどちらかというとできるできる(n=41)思わないどちらかというと思わないどちらかというと活発ではなかった活発だったどちらかというとできるできるどちらかというと思う思う0%5%5%0%2%5%0%5%図4-2 地域の避難所での生活を具体的にイメージできるか(事前)0%0%0%図4-3 地域の避難所での生活を具体的にイメージできるようになったか(事後)0%0%0%図4-5 あなた自身は避難所の運営を手伝うと思うか(事後)20%40%29%運営者20%40%44%図4-1 チーム内の議論が活発であったか20%40%49%20%40%59%20%40%32%60%80%61%どちらかというと運営者60%80%49%60%80%37%60%80%41%60%80%68%100%100%10%100%100%100%グループ討議 開設時の課題を2つとりあげて6グループに分かれて検討した。グループには第1回同様,専門知識をもつファシリテータがつき,出された意見を集約し,整理する,議論を促すことを担った。 グループ討議の1つめの課題は,参加者が避難所に到着した時に,市役所や施設は避難所の安全確認で混乱しており,集まった避難者への対応に誰も動いていない状況と仮定し,集まった避難者を把握し,物資を配るなどの次の段階へ進むための「迅速な人数把握」をすることとして,各グループが具体的な人数把握に関するアイディアを討議した。2つめの課題 それぞれのグループではアンケート結果からも活発な討議が行われたことが確認できるが(図4-1),課題を検討していくなかで解決策を絞り,合意形成に至る集約型の討議ではなく,ブレーンストーミング型として各自のもつアイディアを活かす形の議論になることを事前に企図した。そのため,各グループの議論は発散型となった。図4-1で議論が活発でなかったと回答した2名のうちの1名は,「前回の議論がよかったのに比較して,今回は市役所がやればよいという意見になったためにあまりよい議論にならなかった」と記載されていた。物資という具体的な課題が出てきたときに,当事者の視点を持ち続けられるような発想や視点の切り替え等が,参加者側,ファシリテータ側双方に求められてくると考えられる。 第2回の避難所大学の成果としては,講義および現場見学により各自が物資に関わる知識をつけたこと,避難所での生活などを具体的にイメージできるようになったことがあげられる(図4-2,図4-3)。グループ討議では自分たちが参加して運営課題を解決したいという意識が芽生え(図4-4),避難所に貢献する意識も高くなり,動き出す素地ができたと考えられる(図4-5)。またグループ討議で市役所職員が複数参加し,市と住民側がフラットに話し合えたことで,お互いの立場や視点を理解できたという側面もあった。 第1回を踏まえて第2回の避難所大学を実施することにより,課題が残った点も含めて,住民が主体的に運営する新しい避難所を作り出すための教育・啓発プロセスを実践できたと考える。
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