2021実践研究報告集NO.2026
2/13

実践研究報告No.2026 ⼈⼝構成変動に伴う⼈⼝構成変動に伴う公営住宅のあり⽅―⻑崎市営住宅でのアンケート調査と居住参画による実践的研究―⻑崎総合科学⼤学教授/橋本彼路⼦定⾏まり⼦(⽇本⼥⼦⼤学教授)、平野啓⼦(NPO⻑崎斜⾯研究会理事⻑)2019年11⽉,⻑崎市から⻑崎総合科学⼤学の近くにある市営住宅に,⽐較的安い賃料で最⼤4年の期限で学⽣に居住を認め,建て替えの⽀障なく居住者を増やすことを検討してほしいという申し⼊れがあた「⾼齢者や⼦育て世代のニズを把握し⽣活サポれがあった。「⾼齢者や⼦育て世代のニーズを把握し,⽣活サポートの検討」「⾃然災害に対して安全性の向上」など,事前に様々な学術的な研究や検討を⾏うこと,その調査の結果を建替えの住棟プランに活かすことが必要であると提案し,市の重点プロジェクトの1つ「住みよかプロジェクト」として実施されることなり,改修計画案と改修⼯事及び学⽣居住による直接参画型研究を⾏うことになった。1. 活動の背景1.1 建築物省エネ法と「省エネ基準」「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(2015年公布以下建築物省エネ法)にもとづく省(2015年公布,以下,建築物省エネ法)にもとづく省エネルギーのための建築関連の基準(以下,省エネ基準)は,住宅について,国内を8地域に区分し,地域ごとの建築の内外の境界(外⽪)に関する基準値を定め,算定される設計⼀次エネルギー消費量が基準値を上回らないものとしている。本稿執筆時点(2019年10⽉)で,300㎡以上の建築物の新築,増築の際の届出の義務付け,「住宅トップランナー制度」(年間150⼾以上を供給する住宅事業者に遵守を促す)等により「省エネ基準」が推進されている。1.2 沖縄県(8地域)における問題点この省エネ基準はUA値(外⽪平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均⽇射熱取得率)の基準値を地域ごとに定め,基準値を越えないことを求める(以下,外⽪基準注1))沖縄県(省エネ基準の区分の8地域)の外⽪の研究会の活動を通じて沖縄の気候⾵⼟に適応し省エ注1))。沖縄県(省エネ基準の区分の8地域)の外⽪基準は,UA値の基準値はなくηACが3.2以下としている。沖縄県においては,現⾏の外⽪基準が⽰されて以降,沖縄の建築設計者が通常の⽅法と考えている住宅設計の多くが外⽪基準に適合しないことが指摘されるようになった。さらに筆者らは特定⾮営利活動法⼈・蒸暑地域住まいの研究会の活動を通じて,沖縄の気候⾵⼟に適応し省エネネ性能を⾼めた住宅が外⽪基準に適合問題を指摘してきた。また、沖縄県は2017年度に「沖縄らしい気候⾵⼟適応住宅形成事業」を実施し,蒸暑地域住まいの研究会がその作業に関与した。その際,県内の⼀般的な住宅のηACが⼤幅に3.2を越えること,さらには,沖縄県,環境省,国⼟交通省それぞれのモデル事業で環境への適応写真4-3外部の清掃

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る