2022実践研究報告集No.2024
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  表4-3 マンションAの実践のレポーター報告/G︓解説を聞く参加者1. はじめに 平成30年度住宅・土地統計調査(2018年)によると,居住世帯のある住宅は5,366万戸で,このうち共同住宅が2,334万戸(43.5%)を占める。共同住宅の住宅数は,平成時代の30年間で2倍以上に増加した。都道府県別にみると,東京都の71.0%を筆頭に,都市部で住宅に占める共同住宅の割合が高い傾向にある文1)。 また,国土交通省の調査によると,2021年度末時点の分譲マンションストック総数は約685.9万戸である。これに令和2年度(2020)国勢調査による1世帯当たり平均人員2.21をかけると,約1,516万人となり,国民の1割超がマンションに居住していると推計されている文2)。  分譲マンションは,かつては一戸建て持ち家購入までの過渡的な住まいと位置づけられていた文3)が,現在では終の住まいと認識されてきている注1)。それに伴い,分譲マンションで生まれ育つ子どもが増えていると考えられる。しかし,子どもが分譲マンションの維持管理や安全・防災などを,学校教育で学ぶ機会は少ない。例えば,中学校の技術・家庭科の教科書では住まいの安全に関して,室内の家具の転倒防止などの対応が取り上げられているが,集合住宅の共用部分に設置された防災設備や避難設備等は扱われていない文4)。 共働き世帯の増加により,大人の不在時に子どもがマンション内で災害に遭う可能性を踏まえると,子ども自身が避難できるように,マンションのどこに,どん■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ な設備があるのかを認識しておくことが重要と考える。  筆者らは,マンションの主体的な住まい手を育成するためには,子どもの頃からマンションについて学ぶ環境が必要であると考え,2015年から子ども向けの■■■■■■オリジナル学習教材やプログラム開発に着手した。それらを使い,これまで一般の子どもと保護者を対象に,マンションの維持管理や安全・安心をテーマにしたセミナーやワークショップを大阪市立住まい情報センター等の公的機関とタイアップして実施し,広く学びの場を提供してきた文5)。 公共施設のホール等で開催するセミナー形式の学習は汎用性が高く,多様な住宅に居住する子どもや保護者に学んでもらうことができる反面,特に防災分野において,学習した内容を自らのマンションの実情に置き換えて考えられるかという点で限界が感じられた。一般的な防災設備について学んでも,それが居住するマンションのどこに設置され,どんな形状かを知らなければ,学習の効果が災害時に発揮されることが難しいと思われる。  そこで本実践研究では,居住するマンションを学びの場にし、防災設備を学ぶ教材を開発する。さらに,それを使ったワークショップを通じて,子どもを含む居住者にマンションの安全への理解を深めてもらい,また防災設備を備えるという観点から,管理組合によるマンション管理の一端を知ってもらうことを目的とした。

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