2021実践研究報告集NO.2023
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10)備後柿渋塗り〜完成最終調整前に,2020年7⽉に収穫し,備後地域現存唯⼀の柿渋⼯場で搾汁して,主査らが⾃家発酵させた備後柿渋注5)を塗布した。最後は,経⽷無しで空打ちし,コテ返しを調整する。来⼭⽒に最終調整を依頼し,10⽉23⽇に⽷掛けできる状態まで完成させた(図7-10)。図8-1 ⼿織製織体験(2021.10.17)図7-10 渋柿収穫(2020.7.17)と織機E完成(2021.10.17〜23)8.製織技術継承来⼭⽒から⽷掛けと製織の指導を受けた(図8-1)。⽷掛けは今回製作した織機Ⅾを使⽤し,製織は織機Bを使⽤した。当初から想定していたが,製織技術は簡単に修得できるものではなく,本課題期間中には体験程度となった。来⼭⽒の⼝癖であるが,⼿織りの伝統製織技術を継承するためには,「フメウミ」と呼ばれるアラソを績(う)んで⿇⽷を作る技術⽂1415)も必要とアラソを績(う)んで⿇⽷を作る技術⽂14,15)も必要となる。⼀⽅,2018年度実践課題で再⽣し, 「備後三蔵動⼒中継織機(三蔵中継)」と命名した織機を⽤いた建築実践⽂9,10)において,⼿織製織と共通する中継織りのための良質な藺草の「選り出し」(図8-2)を主査や協⼒学⽣らは⼗分に経験した。職⼈から指導を受け,動⼒織りに関する⼀定の技術を修得した。9.地域遺産フォーラム本課題に関する⼀般の関⼼を深めるため,研究会主催(中継織機保存再⽣委員会共催,継承会後援)の第4図8-2 (右)藺草選り出しと再⽣動⼒中継織機(2020.10.16)回地域遺産フォーラム(ギャラリー蔵フォーラム)「地域遺産を継ぐ-来⼭式⼿織り中継ぎ織機の製作と記録-」に参画し,地域住⺠ら延べ約30⼈と議論した(図9-1)。第1部は来⼭⼯房での完成織機お披露⽬として,来⼭⽒によるフメウミ・⽷掛け・製織実演と主査による現地解説,第2部ではギャラリー蔵において,織機製作技術継承をテーマとして秋岡委員が基調講演し関連技術継承をテーマとして秋岡委員が基調講演し, 関連研究として研究協⼒学⽣や研究会OGが備後表のトレーサビリティ実証実験⽂9,10)などの発表を⾏った。本フォーラム恒例の⿍談は,主査と委員2⼈で登壇し,冒頭で編集中の動画試写を⾏った。また,これまで特定する名称のなかった「備後藺草(地草)による備後表」を「備後藺表(びんごいおもて)」と呼称することを本フォーラムで提唱した。図8-1 ⽷掛け(2021.10.17)

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