2021実践研究報告集NO.1926
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5.まとめ:4つのキーワード5.1可視化第⼀段階で公園や駅前等の公共空間でまちかどマルシェを全11回開催したことにより,この企画は,区内のまちづくり・市⺠活動・地域活動等に携わる⼈々や団体,⾏政,商店会等に広く可視化され,注⽬されるようになった前実践研究報告ではプレーヤー型団表5‐2まちかどシェアに望ましい規模感と仕組み一目ですべてが見渡せる程度の規模(場所の分散はしない)テーマごとに一団体・プレーヤーにする出展料はとらず利益を得た人はまちかど基金に部を寄付今後も多様な公共空間で実施し,場所の特性と成果を明確にし,規模や仕組み(表5-2)をさらに検討したい。ようになった。前実践研究報告では,プレーヤー型団体がまちかどシェアに参加することで,どのように相互に有機的に結びつき,活動の幅を広げたかを明らかにした。⼀⽅,本実践研究では,上述したように,様々な働きかけが予想を超えてマネジメント型主体である宮前まち倶楽部に持ち込まれた。これはマネジメント型出展料はとらず,利益を得た人はまちかど基金に一部を寄付準備の打合せにはプレーヤー/マネジメントの全員が参加当日の準備は参加者全員が実施イベント出展者ではなくイベント共創者という意識の醸成5.3資源発掘の活動が広く必要とされていることを物語る。⼀般的にはマネジメント型は中間⽀援組織と呼ばれるが,その多くが⾏政主導であり,かつ⽀援対象が市⺠活動団体であるのに対し,本実践研究は市⺠主体のCPとして,セクターを超えた活動を対象とすることができるという意義が確認できた。地域のまちづくり課題に住⺠主体のCPマネジメントのノウハウは⼤き1)マネジメント型志向の区⺠の存在今回の実践ではマネジメント型志向の⼈的資源の存在が確認できた。マネジメント型に興味がある⼈々は仕事を持っている⼈が多く,具体的な活動テーマを持っているわけではないため,まちの活動への⼊り⼝がわからなかったという。コロナ禍のテレワークで地域にいる時間が⻑くなった⼈たちのなかにも多く存在していると想像される地域活動への担い課題に住⺠主体のCPマネジメントのノウハウは⼤きく貢献できる可能性がある。また,可視化によって⼈々のニーズがつながることも実感できた。ニーズは活動についてか,個⼈的な気持ちについてかは様々だが,いずれのニーズが満たされるのであってもそれはより安⼼のできる地域コミュニティの形成につながっていく。多く存在していると想像される。地域活動への担い⼿探しにおいては,プレーヤー型とマネジメント型それぞれ個別のアプローチが必要だということがわかった。2)地域の多様な地層数多くの⼈や団体と出会い関係性を構築していくなかで,宮前区の「⼈的地層」が⾒えてきた(表5-5.2 公共空間本研究は公共空間をCPによって⼈の⾏き交う賑わいのある「まちかど」に変える仕組みである。それにふさわしい場所として以下(表5-1)を検討した。表5-1公共空間⽐較3)。江戸時代からの農家。神社の氏子や「講」を今も実践し,祭事等を支えている。今も農業を続けている人々も多い。戦争中陸軍が接収していた土地を譲り受けた人々。不動産業を営む人が多い。農家(草鞋親)から直接土地を分けてもらった人々。公園公園利用を一介の区民が,管理団体となっている町会等にもちかけても概ね断られる。空間的にはまちかどシェアを実施したなかで最もゆったりと過ごせ,会話が最も弾む空間だ。若い世代が多く集う公園は,未来の地域活動の担い手に可視化される場としては最適だ。公園の効果的な管理の在り方,また町会と市民活動団体との連携が起こることが望まれる。神社の氏子や講にも入っている。多摩田園都市を東急電鉄が開発した際に移り住んだ人々(1960年代後半からの専業主婦世代)開発時社宅が数多く建設され,そこに当初は住み,その後同じ地域で分譲住宅やマンションを購入して住んでいる人々ここ20年ほどで急速に増えた新規の分譲マンションに住んでいる人々(共働き世代)駅前広場電車やバスに乗る目的のために人が忙しく行き交う場所で,まちかどシェアが目に入らないことも,時間なく立ち去っていくことも多いが,多世代が行き交うという意味では大きな可視化効果がある。地域の活動やプレーヤーを知らない住民には,駅前広場で粘り強く開催し続けることが有益である。店舗脇一般住民の認知を得るという意味では絶好の場所である。スーパー等との繋がりづくりが大きな課題だが,スーパー郊外ニュータウンは⼤きく分けてもとの居住者(旧住⺠)と新しく⼊居してきた⼈々(新住⺠)で構成されている。旧住⺠には地域で培われた⻑い歴史を持つ⽣活⽂化があり,新住⺠にも現代の都市的⽣活⽂化があるしかし郊外ニュタウンは⼈⼝が圧住んでいる人々(共働き世代)駅周辺に増えてきた賃貸マンションに住む学生や若い共働き世代,単身世帯脇空間スパ等との繋がりづくりが大きな課題だが,スパや商店も実は市民との連携を模索しているところも多いことが実践を通じてわかっており,可能性は無では全くない。市民館広場公共施設では商店や農家はもちろんのこと,子育て世代のママたちのマイクロビジネスでさえも営利活動と認識されて参加できない。公共施設利用における営利非営利の再定義が必要だ。活⽂化がある。しかし,郊外ニュータウンは⼈⼝が圧倒的に多い新住⺠の⽣活⽂化が主導権を握ることが多く,旧住⺠とその⽣活⽂化は⾒逃される場合が多い。これが郊外ニュータウンの⼀体的コミュニティの形成を阻害する。いわゆる「新住⺠と旧住⺠との断絶」「町内会役員の⾼齢化」「若い世代の地域への無関⼼」等の課題は,このすき間を埋める取り組みにも解決⽅法が隠されているようだ。

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