2021実践研究報告集NO.1924
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でより⾼められる。こうしたひとり⼀⼈の⽣活を⽀える⽣活資本の実現には,必要に合わせて居住の資源や仕組みを⾒つけ出して利⽤できる情報のストックと活⽤の仕組みが必要になる。そうした暮らしの情報がひとり⼀⼈の暮らしの安⼼を実現する。2)苦労した点や活動の障害になったこと2000年以降の新型コロナ感染症蔓延防⽌のためにそうに過ごしている様⼦を⾒たり感じたりすることで安⼼して過ごしているようである。⼈々が憩う空間の存在が安⼼感を⽣んでいるようである。後述するように⼤曽根併存住宅周辺や他地域の⼈々にとって,「ソーネおおぞね」は貴重な活動スペースであり活動資源となっている。利⽤者が「ソーネおおぞね」を⽀えているとともに,利⽤そのものが⼤曽根併存住宅居住者の暮らしの安⼼感を⽣むという相互2000年以降の新型コロナ感染症蔓延防⽌のために対⾯活動がことごとく制限を受けることとなった。⼈と地域⽣活拠点施設のつながりは⼈と⼈とのつながりが⼤きな役割を担うが,⼈が集まること,触れ合うことができなくなり,協同作業や相互扶助の活動が困難になった。オンラインやメール,電話や郵便,ちらしなど新旧の伝達技術を総動員しながら,なんとなくつながりに不安を感じながら⼿探りで実併存住宅居住者の暮らしの安⼼感を⽣むという相互互助の関係が成り⽴っている。次に居住者の暮らしを⽀える活動について考えると,地域⽣活拠点施設と居住者とのつながりが不可⽋であることに気が付き、⽣活を⽀える基本的な部分と⽂化や芸術など⽣活の質を⾼める⼆⾯が考えられる。践活動を進めることとなった。そこで,オンラインと対⾯のハイブリッド形式で「暮らしびと⼤曽根」育成健康講座を実施するにあたり,病院勤務看護師で感染予防担当者がボランティアスタッフとしてマニアルを作成し,それに従って講座を開催した。基本的な⽣活を⽀えるために地域拠点⽣活施設に⽣活必需品の販売,リサイクル拠点の設置,カフェレストランを設置している。⽣活の質を⾼めるために⾳楽や芸術活動,お祭りや遊び,運動や健康講座などの催しで⼤曽根併存住宅居住者のみならず周辺居住者や他地域の居住者をも惹きつけようとした。5.実践活動を通じて実践活動を通じて改めて得られた認識を活動の⽬的と照らし合わせながら以下に⽰す。1.対象者の必要性に合った資源や機能の提供問題既述のように対象者の状態は変化し,それへの対応が⼀⼈ひとりの安⼼できる暮らしの基盤となる。中でもアザラシ型ロボット「パロ」の導⼊は,多くの⼈々の関⼼を捉えて居住者と「ゆいまーる⼤曽根」スタッフのコミュニケーションを強めるツールとしての役割を果たした。「パロ」の⼈を惹きつける⼒は強く,「ゆいまーる⼤曽根」のフロントに配置することで居住者をフロントに呼び寄せることができたりコミュニケーションがしやすくなったりし病気,怪我,年齢,家族構成の変化などその原因は多彩であるが,中でも加齢によるライフステージの変化は避けられない。⼦ども世代が独⽴して⼤曽根併存住宅から離れ,配偶者が居なくなると⼼⾝の衰えが⽣活の継続を困難にする。「ゆいまーる⼤曽根」居住者もまた⼼⾝機能の低下で転居を余儀なくされている。⼀⼈ひとりにふさわしい資源や機能の途切れのない提供の仕組みには依然として課題が残た。さらにパロを介して「ソーネおおぞね」と「ゆいまーる⼤曽根」が結び付けられるようになった。「暮らしびと⼤曽根」育成健康講座をハッピーネットの⽀援で開催したが,ハッピーネットと「ソーネおおぞね」との関係が密接になり,簡単な連絡で情報のやり取りや意図が通じやすくなった。またハッピネットが「健康講座」という特定の途切れのない提供の仕組みには依然として課題が残されている。2.地域⽣活拠点施設の情報提供機能既述のように⼀⼈ひとりの状態にふさわしい資源や機能を利⽤するには,利⽤経験のない必要な資源や機能の情報が⾃由に得られる状態を維持しておかなければならない。また,利⽤しないまでも催し情またハッピーネットが「健康講座」という特定のテーマを掲げて地域外で活動することで,「ソーネおおぞね」での活動を他の地域で展開するというノウハウを獲得した。講座とニュースレターという受講者をつなぐ⼤きなツールを修得することができた。⽣活は⼤曽根併存住宅の範囲内だけにとどまらず,居住地域全体に広がる⽣活を⽀える資源も活⽤して報の存在そのものが,⼈が集まることの魅⼒を伝える効果を有している。多様な媒体を通した居住者への情報提供活動は、⼀⼈ひとりの安⼼できるくらしの実現に効果を表していると考えられる。3.多⽬的空間の⼈を惹きつける効果「ソーネホール」の効果は⼤きく,「ゆいまーる⼤曽根」居住者も利⽤しさらにそれが「ソネカいる。そこで居住地域に散在するであろう,暮らしを⽀える「街のお宝さがし」を実施した。しかしながら地域外から,しかも学⽣の⽬から暮らしを⽀える資源や仕組みを探すことは困難である。「まちのお宝」探しにあたって,暮らしを⽀えるまちの資源や仕組みを伝えることに困難を覚えた。「まちのお宝」探しを実施する前に参加者にレクチャーを実施したが暮らしを⽀えるまちの資源や仕組みについ⼤曽根」居住者も利⽤し,さらにそれが「ソーネカフェ」の利⽤へも拡⼤した。「ソーネホール」の存在が,ホールを利⽤する新しいグループを⽣んだり定期開催が増えたりという効果を⽣んでいる。「ソーネホール」が市⺠活動を促す⼤きな要因は低廉な使⽤料⾦にある。多⽬的空間の市⺠活動を惹きつける効果は⼤きく、多様な市⺠活動の存在が居住者にもたらす効果も期待できる。したが,暮らしを⽀えるまちの資源や仕組みについてのより丁寧なレクチャーの必要性を認識した。⼈の⽣活は基本的な⽣活を⽀える部分と⽣活の質を⾼める部分の双⽅が必要である。それらを⼈の活⼒の程度にふさわしい資源や仕組みを利⽤することで,暮らしやすさが実現する。さらにそれは,居住地域に存在する資源や仕組みの活⽤を活⽤すること

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