2020実践研究報告集NO.1923
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①に該当するかどうかは登記簿謄本に基づき判断した。②は,これまで⾙⽥で活動してきた過程で,所有者以外の⼈がその⼟地に⽴ち⼊っているのを⾒かけた領域や,住⺠との会話から他者に開放していると証⾔があった領域を表している。③に該当する領域は,外部空間に関しては公共施設に接続しており,かつ塀やフェンス,⽊々などがなく⾃由に侵⼊できる状態であることを判断基準として設けた「移住希望者がお試しで滞在できるところ」で(カ:19.7%),移住者を望んでいる様⼦が分かる。公的な活⽤が可能な領域を探る質問として,現在使⽤している家もしくは敷地の⼀部を地域のために使いたいと思うか,現在使⽤していない空き家もしくは空き地を地域のために使いたいと思うか,という2つの質問をした前者に対しては余っている場できる状態であることを判断基準として設けた。丹⽻,若⼭らによる都市における公私の混交活⽤に関する研究⽂2)では,「公空間から常時⽴ち⼊ることが可能な[私空間]内の領域を[公的領域]」と定義づけ,都⼼のグランドレベルにおいて公的に開かれた私有地を6タイプ(通路型,広場型,セットバック型,私道型,駐⾞場型,境内型)に分類して調査している。都⼼で実施されたこの調査とは⼤きう2つの質問をした。前者に対しては,余っている場所がある世帯からは公的な理由のために使っても良いという前向きな返答があった。後者に対しては,31%の回答者が「空き家/空き地を持っており,地域のために使っても良い」と回答した。この2つの質問で地域のために使っても良いと答えた回答者のうち連絡先を記載していただいた住⺠にくコンテクストが異なるものの,私有地の公的な活⽤という観点では⼀致していることから,③の判断基準として参考にした。建物内部に関しては,所有者が現場にいなくても使⽤できる状況である場合を判断基準として設けた。2.2アンケートとヒアリング本実践研究では⽬視に加えて全⼾アンケートで連絡を取りヒアリングを実施した。お話を聞かせていただいた住⺠は空いているスペースや空き家/空き地の持ち主だけでなく,なかには,⾃分は該当する物件を所有していないが,所有している⼈のことを知っている,といった意図で記⼊した⼈も複数⼈いた。そういった⼈々からは物件の位置やその所有者をご紹介いただき,改めてお話を伺うなどし,情報の修正更新を⾏った本実践研究では,⽬視に加えて全⼾アンケトでも公的な活⽤が可能な領域を調査している。全⼾アンケートは,建物内部など⽬視では確認できない領域について明らかにすること,候補地となった領域が実際に公的な⽬的で活⽤可能かどうかを明らかにすることを⽬的として実施した。加えて,住⺠のニーズを探る質問も含めた。の修正,更新を⾏った。2.3リサーチ結果現地調査,アンケート調査を経て描いた⼟地公的活⽤領域図を図2­2に⽰す。地区全体にまんべんなく公的活⽤されている領域,公的活⽤できそうな領域が広がっている。現在公的に活⽤されている私有地は10箇所あった。⽤途別に⾒てみると,駐⾞場/広アンケートの結果を図2­1に⽰す。アンケートの回収率は36%と,多くの回答を集めることができた。住⺠のニーズを探る質問として,外から新たな住⺠が⾙⽥地区に移住してくることについて,階建地区が良くなるために必要と思われる機能について質問した。前者に対しては,すべての回答者が前向きな姿勢を⾒せており,⼊ってきてほしくないと答えた⼈はいなかった後者に対しては最も多くの場として使われている領域が3箇所,通路として使われている領域が7箇所,参拝する場として使われている領域が1箇所あった。公的活⽤できそうな領域は,38箇所あった。そのうち全部が使えそうな空き家は1箇所,部分的に使えそうな空き家は7箇所,全部が使えそうな空き地は14箇所,部分的に使えそうな空き地は16箇所だった。えた⼈はいなかった。後者に対しては,最も多くの意⾒が寄せられたのが「気軽に友⼈や家族と集まれる場所」で(イ:25%),普段の活動でもよく住⺠から出ていた意⾒であった。その次に多かった意⾒は公的活⽤できそうな私有地のうち,所有者が協⼒的であり有効に活⽤できそうな⽴地にある領域を選択し,実際に使ってみることとした。図2­1 ⾙⽥地区全⼾アンケート結果

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