2020実践研究報告集NO.1923
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まで繋がれなかった年齢層とのつながりが⽣まれ,⾙⽥地区内の⼩学⽣の⼦どもを持つ親が所属する⼦供会に⼊れていただくなど,継続的にコミュニケーションできるようになった。しかしながら年明け後に新型コロナウィルスの感染拡⼤が深刻となり,メッセージ交換などのやり取りのほか,休校期間中に⾙⽥地区に住む⼩学⽣たちりのほか,休校期間中に⾙⽥地区に住む⼩学⽣たちと毎⽇ビデオ通話で対話するなど関係を深める取り組みは実施してきたものの,具体的に住環境に働きかける取り組みには⾄っていない。再び安⼼して訪れることができる⽬処が⽴ったとき,改めて企画段階であった取り組みを再開したい。図6‐2 学生が作成したテーブルに飾られた花6.3⼟地公的活⽤領域図⼟地公的活⽤領域図は,作図の過程で詳しく⼟地所有者にヒアリングし公的活⽤を類型化することで汎⽤性を⾼めたい。現在公的な活⽤がされている領域を持つ⼟地の所有者からは,⼟地を開放するまでの経緯,開放してから起きた変化,今後の意向を,公的活⽤できそうな領域を持つ⼟地の所有者には図6-2 学生が作成したテーブルに飾られた花公的活⽤できそうな領域を持つ⼟地の所有者には,現在の利⽤状況,今後の意向をヒアリングしながら,協⼒的な所有者に対しては住⺠が作成した活⽤案などを提⽰しリアクションをまとめ,活⽤可能な私有地の全体像を把握しつつ,計画的に空間を整備し活⽤できるようにしたい。6.4私有地の公的活⽤の効果測定ミュニケーションをコミュニケーションをとることが困難になり特によそ者が関わるまちづくり活動図6-2 学生が作成したテーブルに飾られた花私有地を公的に活⽤することでどんな効果があったか,⾙⽥地区住⺠へのヒアリングやアンケート調査を実施することでこの実践研究の意義を証明できる。⼀度活⽤すれば住⺠の意識が変わるわけではなく,継続的に活⽤することで時間をかけて変化していくものであると考えているため,継続的に訪問できるようになった際には私有地活⽤の効果を測定し次に繋がる課題も明らかにしていきたいが困難になり,特によそ者が関わるまちづくり活動が停⽌する傾向にある。しかし,このような間接的なコミュニケーションを促すことで,コロナ禍においてもよそ者が関わる参加型まちづくりは可能なのではないだろうか。また,時間的拘束がない間接的なコミュニケーションは,⼦育て世代など普段時間が合わずワークショップや社会実験に参加することができない⼈々に対しても,参加の機会を提供するし,次に繋がる課題も明らかにしていきたい。6.5新たなコミュニケーションの可能性活動のなかで,⼈と⼈の信頼から成り⽴つ間接的なコミュニケーションにも,何度か遭遇した。ワークショップ中に学⽣が制作した屋外テーブルの上には,翌⽇になると花瓶に⼊った花が飾られていた(図6-2)。学⽣が制作している際に話しかけてくことになるのではないだろうか。無⼈販売所など,実空間を介して間接的にコミュニケーションを促している装置を研究し,⾙⽥地区で制作し装置が及ぼす⼈の⾏動への影響を観察することで,間接的なコミュニケーションのまちづくりへの効果を研究することができるだろう。れた住⺠が,学⽣が去ったあとで飾ってくれたことがその後の会話でわかった。また,空き家を活⽤し住⺠と⾷事会を開催したときには,空き家所有者が事前に家の鍵を開けておいてくれ「後で締めに⾏くからそのままにしておいて⼤丈夫」と連絡をくださった。別の⽇には,フィールドワークを終えて拠点に戻ると,野菜や果物が届けられており,「余ったから⾷べて」と⼿紙が添えられていたこれらの<研究主査>・⽮野拓洋東京都⽴⼤学⼤学院都市政策科学域博⼠後期課程たから⾷べて」と⼿紙が添えられていた。これらの経験は,⼀緒に活動,会話することはないものの,確実に実空間を介して⾙⽥住⺠と交わした間接的なコミュニケーションである。これらは,まちづくりワークショップや社会実験に⽐べ,より住⺠の普段の⽣活の⼀部に⾃然に溶け込んだコミュニケーションを促している。新型コロナウィルスの拡⼤により,直接的なコ<研究委員>・前芝優也東京都市⼤学⼤学院⼯学研究科修⼠課程・修⼠(⼯学)*当実践研究報告普及版は『住総研研究論⽂集・実践研究報告集』No.47の抜粋版です。参考⽂献は報告集本書をご覧ください。

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