2020実践研究報告集NO.1923
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5.まとめこれまで,福島県国⾒町北部に位置する集落,⾙⽥地区において,住環境を改善する活動の⼀環として、私有地の公的活⽤を試みてきた。これまでの活動に主に関わってきた場所を図5­1に⽰す。実施した内容は⼤きく2つある。・現地調査とアンケート調査・現地調査とアンケート調査現在公的に活⽤されている私有地と,公的に活⽤できる可能性のある私有地を可視化した⼟地公的活⽤領域図を作成した。・ワークショップ地元住⺠と提案を創るワークショップと,アイデアを形にするための家具制作ワークショップ,それ図5−1 これまでの活動で主に関係してきた場所に私有地活⽤実験の3つを通して私有地を実験的に活⽤し地域に不⾜する機能を補⾜したりした。⼟地公的活⽤領域図の作成により,⾙⽥地区内で9つの私有地が現在公的に活⽤されている領域を有していることが明らかになり,公的に活⽤できる可能性のある領域を持つ私有地は38箇所あることが明らかになった・団体内での仲は⾮常によく,飲み会なども盛り上がるなど。これまでの活動を振り返ってみても,住⺠は⾮常に積極的にまちづくり活動に関わっている。しかし,新たな団体ができると,また活動的な⼈の負担が増えてしまうという懸念があるため「まちづくらかになった。38箇所の候補地から,有効に活⽤できそうな私有地を選択しつつ,住⺠と学⽣がワークショップを通して私有地の活⽤⽅法を考え実現するために必要なファニチャー制作し,2つの私有地を活⽤することに成功した。1つ⽬の私有地の活⽤実験では,私有地を公的に使うことで得られるメリットを体験を通して感じてもらい,今後の活動に協⼒してくれる⼈をが増えてしまうという懸念があるため,「まちづくり組織を作りましょう」と⾔って⼈を募るのは避けるべきだと判断している。それよりも,既存の様々な団体の活動に参加しながら,団体のモチベーションとまちづくりのモチベーションの交点を⾒出していき,活動の中に少しずつまちづくりの要素を挿⼊していくことで,バラバラに動いているように⾒える⾙⽥地区内のあらゆ募った結果,延40⼈ほどの協⼒者を募ることができた。2つ⽬の私有地の活⽤実験では複数回の活⽤を通して,今後持続可能な状態で使い続けるための議論を深めることができた。6.今後の課題新型コロナウィルスの感染拡⼤の影響を受けてる団体がまちづくりを介してヒエラルキーなく交わっていくようなプロセスをデザインすることが持続可能なまちづくり体制を作る上で重要であると考える。⾼齢者が多い⾙⽥地区では,新型コロナウィルスに感染した場合に深刻化するリスクが⾼い関係で,あらゆる団体の活動が休⽌状態になっている。活動が再開し,地域外からの訪問も可能になった際には実践していきたい新型コロナウィルスの感染拡⼤の影響を受けて,2020年3⽉頃から半年間⾙⽥地区に訪問することができず,9,10⽉に再訪するも住⺠との接触は避けているため,実践研究開始当初⽬指していたにもかかわらず達成できなかった部分がいくつかある。また恐れることなく⾙⽥地区に訪問できるようになったときに向けて,今後の実践そして研究へとつながる内容を記す。には実践していきたい。6.2⼦ども,⼦育て世代との交流これまでの活動は,主に⾼齢者の住⺠が協働していたが,より若い世代とつながることがまちづくりを盛り上げるためには必要不可⽋であると考えた。そこで,いつも活動に参加している住⺠たちと共に⼦どもたちに向けたクリスマスパーティを実施する6.1⾙⽥地区のまちづくり体制T邸での議論は,T邸の使い⽅の枠組みを超えて,今後⾙⽥で持続可能なまちづくりをしていくための体制にも焦点が当てられた。以下に,特に印象深かった内容を挙げる。・⾙⽥地区内には20を超える団体が存在していることにした(図6­1)。これがきっかけとなり,今・⾙⽥地区内には,20を超える団体が存在している・1つ以上の団体の役員を兼務している⼈も多い・積極的な⼈,キャパシティの⼤きな⼈に役職が集中しており,⾝動きが取れない・何かと活動はあるものの,団体間の活動の連動性は薄く,⼒が分散している・消防団,⼦供会,婦⼈会など,⾃治的な団体は,なんとなくの義務感から成り⽴っていることが多い図6-1 2019年12月に開催したクリスマスパーティ

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