2020実践研究報告集NO.1922
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聞いていた。「住,育,職」⼀体型サポートの有⽤性を改めて確認できたと同時に,⾼いニーズがある事が裏付けられた。シングルマザーの雇⽤の難点についても触れておく。未就学児を抱えるシングルマザーは就労時間が保育園の預かり時間によって縛られる。具体的には平⽇9時から18時の9時間(休憩1時間として1⽇8時頓の基準作りを求められた。共同⽣活には些細な事柄に⼊居者がストレスを感じる事が浮き彫りとなり,詳細なルールや基準を作る事が⼤切であると理解できる。対応策として清掃の当番制導⼊と整理整頓⽅法の⾒える化を⾏う事とした。●⼦どもの躾お菓⼦を分け与える事は⽇常よくある事だが,⼦どもが⺟親へ報告をしないが為に⽣じる与えた側平⽇9時から18時の9時間(休憩1時間として1⽇8時間労働),⽇曜・祝⽇は保育園の預かりが無いため働く事ができない。時間給で働く場合,労働収⼊は200万円を超えたところで頭打ちとなり,各種⼿当や養育費等に頼らざるを得ない。本実践にある直接雇⽤にも限度があり,経済的⾃⽴には正規雇⽤や資格取得を⽬指さなければ厳しいという実情がある。どもが⺟親へ報告をしないが為に⽣じる,与えた側のストレスだった。これはマムハウス内のコミュニティにも悪影響が⽣じる事柄なので,⼦ども達のルールとして⺟親から周知する事とした。また,⼦どもが廊下を⾛る事で⽣じる⾳や振動のストレスも報告された。⼦どもの泣き声は通常の賃貸物件のようなストレスを感じる事は無く,「お互いさま」の感覚を持つことが出来るのがシングルマザー向け点識だ3.マムハウス⽣活向上委員会の設置課題の把握,ニーズの把握,コミュニティ作り,を⽬的とし,⼊居者主体のミーティングを定期的に開催する。3.1第1回委員会(2019年7⽉15⽇)参加者数:⼊居者8名(うち⼦ども9名)シェアハウスの利点であると再認識できた。ただし、叱られた⼦どもの泣き声が⺟親⾃⾝の過去の虐待など,フラッシュバックの引き⾦となる事例も直接相談を受けたことがある。ほぼ全ての⼊居者はシェアハウスという居住形態をマムハウスで初めて経験する。本委員会で挙がった課題を把握し解消する事で不満を感じて早期退参加者数:⼊居者8名(うち⼦ども9名)主査:加藤久明委員:⾕川智⾹⼦株式会社ジーピーエム:守屋キックオフミーティングと位置付け,本実践に関する説明と協⼒の依頼,並びに,マムハウス⽣活向上委員会設置の趣旨説明を⾏った。⼀般賃貸住宅ではなく,シングルマザー向けシェた課題を把握し解消する事で,不満を感じて早期退去する事例が減少する事を期待したい。2)ニーズの把握他のシングルマザー向けシェアハウスの付帯サービスとして,「チャイルドケア(⼦守り)」や「⾷事提供,⾷材提供」がある。このような付帯サービスについて意⾒を聞いたが,チャイルドケアのよう内育ズ確アハウスという特殊な居住形態を選択した⼊居者からの意⾒は,今後のシングルマザー⽀援の在り⽅を探るヒントとなりえるものと期待する。1)課題の把握⼊居者の増加,及び⼊退去が頻繁になるにつれ,秩序が乱れつつある事が懸念された。⽣活上のルール作りが急務であると⼊居者からも声が上がったがなハウス内の育児ケアニーズは確認できなかった。⾦銭的負担が増すような付帯サービスは望まない、というのが理由であった。⾷材提供に関しては,⾷品ロスを解消する⽬的の「とうかつ草の根フードバンク」と提携しており,不定期の⾷材提供を実施し始めた。ただし,⼦どもも含めると30⼈以上が常に居住するマムハウスでは⼗分な⾷材提供量とはならないが無料のため好評ル作りが急務であると⼊居者からも声が上がったが,主査も感じていた。●セキュリティの確保⼊退去に伴うオートロック(1階のメインエントランス)の暗証番号流出が懸念された。また,外階段の⽬隠し設置も要望として挙がった。⺟⼦世帯のみが居住する住宅に安全,安⼼が何よりも優先され,求められる事が確認出来た。対応策として,①暗証⼗分な⾷材提供量とはならないが,無料のため好評である。3)コミュニティ作りマムハウスは⽔廻りを各部屋に配置しているため,他のシェアハウスと異なり常に共同⽣活,共同作業をしている訳ではない。各階の共⽤リビングがコミュニティの場であるが、利⽤頻度はそれぞれの世節番号の定期的変更,②防犯カメラの増設,③外階段の⽬隠し設置,を実施する事とし,⽣活上のルールとして,各階の⽞関ドアの施錠を徹底する事とした。また,メディア取材に関しても考えを改める必要を感じた。表2-1にあるようにメディアからの反響が⼊居には繋がらない事を踏まえると,マムハウスがメディアに露出する事は,既存の⼊居者の安全,安⼼という点においてはマイナスに働く可能性が⾼く帯によって異なる。誕⽣⽇会や季節のイベントは⼊居者⾃らが企画し,実施しており,開催の主導を求める意⾒は無いので,現状のまま様⼦を⾒る事とした。共⽤リビングを利⽤しない⼊居者の意⾒も特筆しておきたい。共⽤リビングは平⽇18時頃から仕事,保育園から帰宅した各世帯が⼣飯を共にし、就寝までの時間をくつろぐ空間である。マムハウスは前述という点においてはマイナスに働く可能性が⾼く,プラスに働く可能性は極めて低いと判断される。このことから,今後のメディア対応は基本的に受けない⽅向とした。●共⽤部の使い⽅共同⽣活の中で各々の考えや価値観は当然異なっている。特に共⽤空間(⽞関,廊下,リビング)の清掃状況に不快と感じる意⾒があり、掃除や整理整準作求細事での時間をくつろぐ空間である。マムハウスは前述のように,必ずしも共⽤リビングを利⽤する必要は無いが,シェアハウスという特殊な居住形態を住まいとして選択したという事は,少なからずシングルマザー同⼠のコミュニティを期待しているのではないか,と考えていた。しかし,その⼊居者は全く利⽤していなかった。理由は「仕事や保育園で離れ離れになるので,せめて家に居る時には親⼦の時間を⼤切プ答だ

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