2020実践研究報告集NO.1922
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●シェアハウスの選択理由シェアハウスという居住形態を選択した理由を⾒ると「⼦育て環境」が⼀番に挙げられた。シングルマザーが抱える悩みとして,「⼦どもに寂しい思いをさせたくない。」という声が多く寄せられた。⼦育て世帯の共通の悩みとしてある,「⼦どもの泣き声や騒⾳が通常賃貸物件では⼼配。」という声も含まれるまたマムハウスは遠⽅からの⼊居が多い表5-1共⽤リビング使⽤チェックシート(2020.9)部屋番号201202203205208210301302305308310311子ども性別女女女女女女男男女男女男2020.9.1〇〇〇2〇〇3〇〇〇4〇〇5〇〇6〇〇〇7〇〇まれる。また,マムハウスは遠⽅からの⼊居が多い事から,⼊居時に無職であるケースが半数以上あり,⼀般賃貸物件を借りられないというネガティブな理由で選択した事も確認できる。すぐに⼊居出来るという事でシェアハウスを選択した2件の回答は,まだ離婚が成⽴していないプレシングルマザーであった。マムハウスを選択した理由として挙げられたのが,7〇〇8〇〇〇〇〇9〇〇〇〇10〇11〇〇12〇〇〇13〇〇〇〇14〇〇〇15〇〇〇16〇〇〇「シングルマザー向け」であるという事だった。初めてシェアハウスに⼊居する場合,⼈間関係を⼼配する声は多い。「間取り」との回答と重複するが,マムハウスはシェアする部分が少なく,他の⼊居者との距離感を⾃⾝で選択出来るという点にメリットを感じる傾向にある。保育園⼊園サポートも他のシングルマザー向けシェアハウスには無い点として評価が⾼かった17〇〇〇18〇〇〇19〇〇〇20〇〇21〇〇〇〇22〇〇23〇〇24〇〇25〇〇〇26〇〇価が⾼かった。●満⾜と不満⼊居してからの満⾜度は「⼦育て環境」「設備」「セキュリティ」が⾼い評価を受けた。⼊居前の期待に応えられている事が伺える。反⾯,「ルール」に関しては評価が低く,集団⽣活ならではの⼩さなストレスを感じる場⾯があり,「明確なルールをが低い,イコール満⾜度が低いという訳では無いとも考えられる。1か⽉のデータのみでは判断が出来ないので今後の使⽤状況を注視してゆく事とした。26〇〇27〇〇〇28〇〇〇〇29〇〇〇30〇〇〇作って欲しい。」との意⾒は少なくない。早急なルール作りが必要であると確認できた。●ニーズニーズについては「イベント」「⾷材提供」「各種情報提供」が⾼かった。注⽬したのは「各種情報提供」で,地域の情報(買い物等),相談窓⼝の情報(⼦育て関連)を求める声が多い事が確認できた6.今後の課題シェアハウスは⼊居者の⼊れ替わりによって常に変化をする。その時々によってルールの変更や新設は常に必要であり,そのためのニーズ調査は定期的に⾏う必要があると考えると,本実践で⾏った委員会の設置は有効な⼿段であると⾔えたまた委員報(⼦育て関連)を求める声が多い事が確認できた。3.1で実施したニーズの把握でも触れた「チャイルドケア」「⾷事提供」に関して再度アンケートで確認してみたが,どちらとも⾔えない結果となり,現時点で⼊居者のニーズは⾼くないように思われる。5.共⽤リビングの使⽤状況調査会の設置は有効な⼿段であると⾔えた。また,委員会の開催により運営側と⼊居者のコミュニケーションが⾼まった効果もあった。実際、⼩さな相談や会話が⽇常の中で増えてきている。この点は精神的サポートニーズに応える事が出来るようになったと実感している。しかし、本実践が掲げる「⼊居者のニーズを⾃発的に発⾔する場を作り,そのニーズを満たす仕組みを⼊居者の協働により発案,実践する。」2020年9⽉に共⽤リビングの使⽤を再開する際、新たな⽣活様式としてルールを作った。万が⼀,新型コロナウイルスの感染が発⽣してしまった時の濃厚接触者の特定が出来るようにチェックシートを導⼊した。(表5-1)2階と3階で使⽤状況の違いが明確となった。3階の⽅が⼊居期間の浅い⼊居者が多いという要因もあるが全く利⽤していない世帯は2年前後⼊居しという到達点には及んでいない。各室の独⽴性を⾼くした事が⼊居者から評価される反⾯,コミュニティ帰属意識は⾼まらず,短期の⼊退去が繰り返される中,⼊居者の⾃発的な発案や協働の実践を促すことの難しさが浮き彫りになった。今後の実践の在り⽅を検討する必要を感じた。男の⼦のシングルマザーから個別に相談を受けるあるが,全く利⽤していない世帯は2年前後⼊居している事を踏まえると,⼊居期間が⼤きな要因であるとは⾔えない。3-2でも指摘したように,⼦どもの性別による共⽤リビングの使⽤頻度の違いがあると考えられる。数名のシングルマザーに意⾒を求めたところ,⼥の⼦は遊びや⾷事に「みんなで」「⼀緒に」を求める傾向があるが,男の⼦はそれがあまり無いのではないか,という⾒解があった。利⽤頻度男の⼦のシングルマザーから個別に相談を受けることがある。男の⼦の⾝体や⼼理についての疑問や相談だ。⽗親がいないシングルマザー世帯ならではのニーズがあると⾔える。今後男の⼦のフロアーを対象とした座談会等でコミュニケーションの場を作る事も検討する必要がありそうだ。このように潜在的なニーズはまだあると考えられる。シングルマザー向けシェアハウスを運営する上で⼊居者との距

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