2019実践研究報告集NO.1827
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②防災活動に対する評価と課題 各自主防はどのように防災性を評価しているのかをみると,「一次避難」 について「全員・ほとんどの住民が助かる」が約7割を占め,その理由もハードの整備よりも,「避難訓練や防災活動」が大半を占める。実際に,助かることに否定的な自主防に比べて,防災活動数は大きく上回っており,活動の成果を反映した結果となっている。「避難後の生活=命をつなぐ」では,「2,3日〜1週間は生活できる」が半数程度で,避難後の生活の難しさを表している(図2-1)。 2.1.2 「命を守る」防災計画の一層の充実と「暮らしを守り・つなぐ」脱災計画への展開 新想定以降,行政は津波から避難する為のハードの「一次避難対策」を完了し,「避難後の生活段階」へとシフトしている(図2-2)。行政・地域共に「一次避難」や「一次避難所での生活」への対策は緻密に行っている一方で,「長期的な生活」に関する具体的な対策はないため,地域住民からは,不安や課題が指摘されている。 避難所での生活に関しても,生活環境をはじめ,設備,人間関係,食料や日用品の不足等あらゆる面で7割以上が不安を覚え,高い割合を占めている(図2-3)。東日本大震災による被害や避難生活に関する情報等を参考にして,自らが置かれている状況を相対化した結果であろう。 これに対して「長期的な生活」では,「固定資産の保護」「自分の所有する店舗を失うこと」「被災後の仕事」「子どもの教育」などは不安が低いものの,「被災後の次の住む場所」「被災後の生活基金」「自宅の被害」など生活の場と方法に関しては不安 が高い。被災後の生活に関して,「そんな先のことは考えられない」「仮設住宅に住むことになる[1]」,「とりあえず逃げてモノのことは諦めている[2]」,「次の住まいのことは全く予想していない [3]」,などが長期の生活に対する意識である(表2-3)。次 図2-3 津波被災後の生活面の不安 図2-2 津波避難計画(中土佐町) 図3-1 避難所の基幹業務の成り立ちと実行主体

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