2019実践研究報告集NO.1826
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図3-1 公開研究会の概要 プ ロ グ ラ ム 1 . 趣 旨 説 明 : 建 築 物 省 エ ネ ル ギ ー 法 と 関 連 施 策 の 内 容 と 経 緯 連 絡 会 議 の 取 り 組 み 西 里 幸 二 ( 連 絡 会 議 会 長 、 沖 縄 県 建 築 士 会 会 長 ) 松 田 ま り 子 ( 蒸 暑 地 域 住 ま い の 研 究 会 ) 2 . 沖 縄 の 気 候 風 土 に 適 し た 住 ま い づ く り に つ い て 設 計 実 践 集 の 資 料 の 解 題 沖 縄 の 住 ま い づ く り の 現 代 史 か ら 中 本 清 ( 蒸 暑 地 域 住 ま い の 研 究 会 ) 実 践 を 通 じ て 金 城 傑 ( K ・ で ざ い ん ) 、 伊 志 嶺 敏 子 ( 伊 志 嶺 敏 子 一 級 建 築 士 事 務 所 ) 久 高 多 美 子 ( 東 設 計 工 房 ) 、 大 城 通 ( て ぃ ー だ 建 築 設 計 室 ) 金 城 優 ( 門 J O D i s e g n o S t u d i o ) 、 根 路 銘 安 史 ( ア ト リ エ ・ ネ ロ ) コ ー デ ィ ネ ー タ ー 清 水 肇 ( 琉 球 大 学 ) 3 . 循 環 を 生 み 出 す 建 築 と 環 境 へ の 試 行 澤 秀 俊 ( 澤 秀 俊 設 計 環 境 主 宰 ) 4 . デ ィ ス カ ッ シ ョ ン 沖 縄 の 気 候 風 土 に 適 し た 住 ま い づ く り 公 開 研 究 会 主 催 : 沖 縄 の 気 候 風 土 適 応 住 宅 推 進 連 絡 会 議 共 催 : 公 益 社 団 法 人 沖 縄 県 建 築 士 会 一 般 社 団 法 人 沖 縄 県 建 築 士 事 務 所 協 会 公 益 社 団 法 人 日 本 建 築 家 協 会 沖 縄 支 部 後 援 : 沖 縄 県 日 時 : 2 0 1 9 年 8 月 2 3 日 ( 金 ) 1 4 時 3 0 分~ 1 7 時 域)のηAC の基準を 6.7 に変更する案が示された。9月の小委員会では同案を含む政令の見直し案全体の確認がなされ,パブリックコメントの募集が行われることとなった。 パブリックコメントは9月5日〜10 月4日に募集された。連絡会議は再び建築設計関連三団体へ呼びかけ,パブリックコメントの募集が実施されていることについて各団体の会員に知らせる活動を行い,会員が個人の判断でパブリックコメントに対応することをうながした。 10 月 24 日の小委員会の資料にはパブリックコメントの概要の紹介がある。合計 287 件の意見のうち,「8 地域における住宅の外皮基準の合理化」に関する意見は計 75件あり,うち 28 件は合理化(ηAC の基準値を 6.7 に変更すること)に対して,沖縄に適した住環境づくりに取り組む上で実態にあった水準として評価するものであり,47 件は,そもそも外皮基準ではなく,沖縄独自の取り組みを評価するものとすることを求めていると報告された(表 3-2)。多岐に渡る見直し点への意見が求められた中で,パブリックコメントの件数の約4分の1が沖縄の外皮基準に関わるものとなった。 同日の小委員会の事務局作成資料では,原案どおり,8地域のηAC の基準値を 6.7 とする案が示され,議事録によれば審議を経て原案が認められた。ηAC の基準を 6.7に変更することを含めた政令改正の公布は 2019 年 11 月7 日に行われ,施行は 2020 年 4 月に行われる予定としている。 3.3 公開研究会の実施と提言の提示 2章で整理した沖縄の気候風土に適した住まいづくりの原則を沖縄の建築設計関係者に広く提示し,意見をうかがう機会として,公開研究会を2019年8月23日,浦添市の会場で実施した。三団体の会員の専門家を中心として,当初の想定を越えた95名の参加を得た(図3-1)。 公開研究会の内容は,2章に概要を紹介した「沖縄の気候風土に適した住まいづくり・設計実践集(第一期)・ 気候風土を建築に翻訳する」の冊子の内容を中心として,沖縄の住まいづくりの歴史,アジアを視野に入れた建築と環境に関わる講演を含むものとなった。 公開研究会は,連絡会議で検討してきた沖縄の気候風土に適した住まいづくりの考え方を,三団体の会員を中心とする建築の専門家に公開する場となった。終了後の参加者アンケートでは,省エネ基準を沖縄で適用することの問題,地域の専門家がこのテーマを継続的に深めることの重要性などが指摘された。 引き続き連絡会議は,公開研究会で提示した資料をもとに「沖縄の気候風土に適した住まいづくりについての提言」の文書を作成した(2019年10月,資料3-1)。 提言の構成は,第一に,建築の省エネルギー施策は,防災,衛生・健康などの多面的な価値との整合性を持って進められるべきであること,第二に,地域の気象条件,社会条件のもとで築かれた技術の蓄積を生かし発展させるものであり,そのために十の原則に関わる配慮が行われるべきであること,第三に,省エネ基準の内容は上記の原則に沿って慎重に継続的に検討されるべきであること,を柱

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