2019実践研究報告集NO.1826
6/10

図2-2 遮熱対策の例 対処 連するが,敷地内の緑化や建物から離よって熱対策を行うことが可能である。クやよしずの利用,植栽,バラス,植栽用の実践例が示された。 与えられる熱の制御は,敷地レベル,地が推奨されるべきであるにも関わらず省エネルギーを推進することについてる。 風の工夫 り入れ逃がす方法は,設計実践集のいり組んでいる。他地域に比べて強い風く条件を生かすために,様々な風向にしたプランと断面の工夫が行われていけでなく,2.5の高湿度対策の上で重だけでなく年間を通じた重要な条件図2-3 様々な通風の経路を工夫した例 2.7 湿度への対応 年間を通じた高い湿度は,快適性に関わる条件であるとともに,カビ防止などの衛生条件,物の保管のための環境,そして,材料の腐朽やシロアリ対策を含めて住宅の維持保全に関わる重要な課題である。 設計実践集では,調湿性のある内装の材料の選択,結露対策,先述の通風の工夫など湿気だまりをつくらない工夫,床下の設計の工夫などが示された。 省エネ基準は,湿度の問題を直接規定するものではないが,省エネ基準が誘導する建築の方向性と湿度の問題の関係が現時点で検証されていないことへの危惧が持たれている。 2.8 水利用の工夫 省エネルギーではないが,島嶼地域で求められる省資源の評価として雨水利用など水利用の工夫も合わせて論じるべきではないか,とする課題の提起である。 2.9 光利用の工夫 内外の照度差が大きいために昼間の昭明を使いがちであることに対して,ハイサイド窓の活用などの実践例が⑥ 湿度への対応 年間を通じた高い湿度は,快適性に関わる条件であるとともに,カビ防止などの衛生条件,物の保管のための環境,そして,材料の腐朽やシロアリ対策を含めて住宅の維持保全に関わる重要な課題である。 設計実践集では,調湿性のある内装の材料の選択,結露対策,先述の通風の工夫など湿気だまりをつくらない工夫,床下の設計の工夫などが示された。 省エネ基準は,湿度の問題を直接規定するものではないが,省エネ基準が誘導する建築の方向性と湿度の問題の関係が現時点で検証されていないことへの危惧が持たれている。 ⑦ 水利用の工夫 省エネルギーではないが,島嶼地域で求められる省資源の評価として雨水利用など水利用の工夫も合わせて論じるべきではないか,とする課題の提起である。 ⑧ 光利用の工夫 内外の照度差が大きいために昼間の照明を使いがちであることに対して,ハイサイド窓の活用などの実践例が示された。 照明が住宅のエネルギー消費の中で一定量を占めるにもかかわらず,省エネ基準の対象とならないことについての課題の提起である。 ⑨ 合理的な建築づくり 省エネ基準に対応するためには,県外産の材料や部材の利用が求められることがある。沖縄で使用するにあたっての耐候性の検証や災害時の入手の可能性など,検証されていない事が多いことについての課題が指摘された。 ⑩ 地域社会の中の住宅,家族と住まい 屋内の部屋の連続性を重視,伝統的な住まいを継承する内外の中間領域など,各設計者は社会の中での住宅の位置と家族のあり方を考慮した設計を行っている。 省エネ基準が空調の使用を前提とした閉じた内部空間を推進すること,内外の境界が外皮として明確になることで中間領域に相当する空間が失われ,閉鎖的な住まいとなることへの危惧が示された。 2.2 各課題の位置付けと省エネ基準 以上の課題指摘の中で,「①基本的前提としての沖縄の気候について」を確認した上で「②方位と配置を考慮したプランニング」「③輻射熱への対応」「④外部空間での対処」という方法を示した部分は,外皮基準の考え方自体に対する問題提起である。 これらの考え方は,これまで沖縄県他が気候風土に適した住まいづくりに関わる事業などでまとめてきたものでも強調されてきたものである(表2-1)。 「自立循環型住宅への設計ガイドライン(蒸暑地版)」(2010年)は断熱よりも遮熱による方法の有効性をわかりやすく示したものであり,住宅のモデル整備を行った事業(表2-1の*を付した事業)においては,外皮基準のηACの基準値を満たさなくとも,これらの方法によって輻射熱に対応し望ましい環境が得られることが示されている。 「⑤風の活用と通風の工夫」と「⑥湿度への対応」は,外皮基準自体に含まれないものであるが,外皮基準に関連した二つの問題提起を含んでいる。 夏季の通風の活用については,風速と風向が不安定な地域が多いことと外気温が上がれば有効でないことが一般に言われる。しかし,沖縄においては①の気候条件で指摘するとおり,年間を通して平均風速が高いことと夏季の最高気温が比較的高くならないことから,省エネ対策において有効な評価を行う必要性を提起している。 さらに⑥の湿度の問題は年間を通じて沖縄の住まいづくり主要な課題であるため,夏季に冷房を使用することを中心にした省エネ基準の推進が開口部の縮小や通風経路を軽視する傾向につながることの危惧の提起である。 省エネ基準の推進が開口部や通風にどのように影響を及ぼすかは,現時点で充分に検証されておらず,今後の慎重な検討の必要性を提起している。 「⑦水利用の工夫」「⑧光利用の工夫」は,8地域の省エネ基準において冷房エネルギー以外のエネルギーや資源への考慮がないことへの問題提起である。 「⑨合理的な建築づくり」と「⑩地域社会の中の住宅,家族と住まい」は,建築生産に関わる条件や住宅の社会的な存在として意味までを含めて,省エネ基準が住まいづくりのあり方の総体にどのような影響を及ぼすかについて,慎重で継続的な検討の必要性を提起している。 以上のとおり,①〜④において外皮基準の具体的な問題点を指摘した上で,⑤〜⑩で沖縄の気候条件のもとでの住まいのあり方を全体として継続的に検討していくべきという方向を提示した資料を作成することができた。 図2-3 様々な通風の経路を工夫した例

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る