2019実践研究報告集NO.1825
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避難所運営体制づくり熊本地震でNPOが関わった避難所運営業務を整理するために,各団体の⽀援活動内容を内閣府が作成した避難所運営ガイドライン⽂5)に基づき分類した。それらは避難所運営の基幹業務とニーズへの対応に⼤別できる。基幹業務の内容は,「避難所の運営⽅針の決定」という避難所の基盤となる部分と,「⽣活ルールの確⽴・レイアウトづくり・トイレの体Jは,K市において2019年2⽉に防災講演会を,3⽉に災害時要配慮者の避難研修会を開催している。さらに,2020年3⽉29⽇(⽇),熊本地震,常総⽔害等災害⽀援ノウハウのある専⾨NPOの講師を迎え,K市職員・住⺠が参加するK市主催の防災講演会を企画している。(コロナウイルス感染拡⼤防⽌のため中⽌)「⽣活ルールの確⽴・レイアウトづくり・トイレの確保」という避難⽣活を始めるための環境づくり,「ニーズの把握・スペースづくり」など避難者のニーズへの対応による⽣活環境の改善の業務の3つに分けられる。運営⽅針の決定に関わった団体は少なく,外部⽀援者であるNPOが簡単に⼊ることができる業務ではないと考えられる。⼀⽅,⽣活ルールの確⽴やレイアウトづくりなどには多くのNPOが⽀援に⼊っていたことが分かる。また避難者の⽬線に⽴って必要なものを追加するスペースづくりやそのためのニーズ把握を⾏っている団体も多く,NPOが避難者に近い部分の業務に対し⽀援を中⼼に⼊っていたことが分かる。(図3-1)写真3-5茨城県総合防災訓練の避難所開設訓練の様⼦図3-1 避難所の基幹業務の成り立ちと実行主体これまでの研究結果⽂1)6)7)をふまえK市スポーツ施設で想定される避難所運営体制を図3-2に⽰した。運営本部は市・指定管理者が中⼼となり,時間経過とともに避難者(住⺠)も参加する。市は常に意思決定の主体であり,各業務に対しては指定管理者とノウハウをもったNPOの協働体制を構築,初・中期からNPOがサポートする形になると考えられる。市は国・県との連携も⾏うこのほか住⺠の参加や個⼈国・県との連携も⾏う。このほか住⺠の参加や個⼈ボランティアのサポートが⼊る。また多数の課題を取り扱う⼤規模避難所では,本部⽀援に⼊るNPOが各業務の分野に対し,適したNPOをコーディネイトすることも必要である。3.2成果物【事前段階】避難所運営チェックリスト写真3-6避難所パーティション設営訓練の様⼦東⽇本⼤震災,熊本地震の避難所の運営記録について書かれた書籍や論⽂等の61⽂献注1)から,開設された避難所の運営事例と指摘課題を避難者規模別に抽出し,⼤規模な避難所の運営における事前検討に必要な事項を明らかにした。それを基に避難所運営課題を項⽬にしたチェックリストが表3-1・表3-2である。チェックリストは時系列で⼤項⽬を配置しており全項⽬を事前に⾏政と施設・住⺠が検討しK市職員と⽀援可能なNPO団体との連携2018年8⽉,茨城県総合防災訓練にて避難所運営訓練を実施していた県内NPO団体Jに対し,K市職員の訓練への参加を促し,NPO団体Jの代表者と会う機会を設けた(写真3-5)。それを契機として,NPO団図3-2避難所運営の体制ており,全項⽬を事前に⾏政と施設・住⺠が検討していくものである。このリストでは発災時からの時期を区分するため⾊で⽰した。表3-1・表3-2の時期区分は,これまでの避難所の運営記録,⾏政や研究者等が⽰した時期別名称などを参考に時期を区分けしたものである注1)。

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