2019実践研究報告集NO.1824
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3.4実⾏◆改修事例①:北千住の⻑屋(1)改修の概要と経緯北千住にある⻑屋の改修である(写真3-3)。築43年であり,未接道敷地のため建て替え不可の物件である。現物件所有者は,不動産投資⽬的で物件を購⼊しモクチン企画に改修を依頼してきた。物件オーナーであるS⽒とは本実践研究のテマや狙いなども共有しあるS⽒とは,本実践研究のテーマや狙いなども共有したうえで,ターゲットである⽣活困窮者も想定しつつ,若い層にも貸せるよう物件の改修を実施した。(2)改修前の状態(写真3-4)洗⾯脱⾐所がキッチンと居間の両⽅に繋がっており,キッチンとのあいだにドアがなくカーテンで仕切るだけの状態など,シェアハウスなど複数⼈が居住する際に障害があった。また,洗濯機が外部設置であることや,浴室や洗⾯ユニットの状態やグレードが中途半端であった。このように主に⽔回りにおいて機能や間取り上の課題があった。限られた改修費のなかでは,こうした⽔回りのプランニングを整備することと,全体的に暗い印象の部屋を明るい印象にする必要があった。(3)改修提案写真3‐3対象建物(3)改修提案空間構成は,押⼊れの改修を実施することで部屋全体の使い勝⼿や印象を変えた。課題であった洗⾯脱⾐所は,キッチンとの境界に壁を設置し間取りを整えた。また,既存の洗⾯ユニットの場所を洗濯機置き場として室内化し,浴室を⼤きなシャワー室および洗⾯所とする「ひとへやシャワー(HHS)」というレシピを適⽤して,中途半端な⽔まわり空間や機能を,現代的な⽣活条件に合うかたちで整えていった。(図3-5,写真3-5)室内は床をグレーのフロアタイルに貼り替える「のっぺりフロア(NPF)」を使うことで整えた(写真3-6)。のっぺりフロアを使うことで,和室の部屋も幾分か現代的なニュートラルな印象にすることができる。図3‐5改修前後の図面写真3‐4改修前の状態写真3‐6のっぺりフロア写真3‐5改修後の状態

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