2019実践研究報告集NO.1824
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◆R65不動産65才以上の⼈に対して賃貸住宅を紹介するサイトを運営し,実際の⼊居に結びつけている。3名の専従スタッフで主に仲介業と管理業務を⾏っている。管理業務のメインはシェアハウスであるが,経済的には問題がなくても,職業がフリーランスであったり,その他の社会的信⽤度の点で直ぐに住宅を借りられない⼈が案外に多く需要がある◆東京都宅建協会世⽥⾕区⽀部世⽥⾕区居住⽀援制度に協⼒し区の住まいサポートセンターに会員を派遣しており,⽉〜⽊曜⽇まで週4⽇間,住宅困窮者に対する相談対応を⾏っている。相談者は増える傾向にあり,⾼齢が8割を占め,経済状況は⽣活保護6割,ぎりぎり2割,それ以外が2割である。需要者は多いが紹介できる住宅が圧倒的に不⾜している家主には貸す不安が⼤きく特に償却済借りられない⼈が案外に多く需要がある。R65が直接に仲介する物件数は,⽉当たり10件程度で家賃6〜8万円程度を希望する⾼齢者が多い。経済的に問題がない⼈も多く,それよりも保証⼈がいないことで住宅を借りられない⼈が多い。今後は,仲介業務よりも⾼齢者が⼊居できる賃貸住宅に関するポータルサイトを充実させていく⽅向を考えている。それと同時に,地域に⼊ると住宅以外の遊⾜している。家主には貸す不安が⼤きく,特に償却済のオーナーは難しい⼈に貸す意欲はない。また,⼀⽅で賃借⼈の要望とあわず成約できないケースも多い。賃貸住宅の供給過多・需要縮⼩の⼤きな流れは明らかで,賃貸借の仲介業務だけで宅建業は成り⽴ち難い。その収⼊基盤は管理業務(賃料の3〜5%)にシフトしており空き室が増えると収⼊も減ってしまう。宅建業者として,社会貢献でもあり居住⽀援を拡⼤したい。えている。それと同時に,地域に⼊ると住宅以外の遊休物件(店舗,その他)があるので,そうしたものを活⽤した新たな展開を考えている。,その⼀⽅,トラブルが多いのも事実である。⾒守り孤⽴・孤独死の問題,残置物処理等の問題が⼭積している。宅建業と居住⽀援法⼈との接点はほとんどなく住宅セーフティネット制度にどうコミットできるのか不明な点も多い。まだ,これからだと捉えている。3.2レシピ開発(1)開発の⽅法「住みたい」と思ってもらえる空間的設えや魅⼒が,⼀般的な賃貸と同じように重要だということがわかった。そういう観点から,既存のモクチンレシピの活⽤・展開は⼗分期待できる。(3)既存アイディアの棚卸し表3-1に整理したように,既存のモクチンレシピに(1)開発の⽅法地域善隣事業に適したモクチンレシピの開発は以下の3つの視点から⾏った。①3-1で実施したヒアリングやインタビューを通して得られた課題を整理し,本研究実践に必要な視点を定めてアイディアを考案すること,②既存のモクチンレシピを分析し,今回の研究実践において応⽤できるものを棚卸しし,改善が必要かどう表31に整理したように,既存のモクチンレシピに対して,⽣活困窮者という視点から本研究実践に応⽤できるものを評価・選定する棚卸作業を最初に⾏った。築古物件の利活⽤という観点ではどのアイディアも有効であるが,中でもヒアリングから得られた視点から「外部空間に共有部や交流を⽣み出す<外部交流>レシピ」や「間取りや広さの調整に関する<間取り調整>レシピ」,そして「⽣活がしやすくな<⽣活機能向上>レシピ」が有効であると評価され選定された,か判定し必要ならさらに改良を加えること,③既存のレシピに当てはまらない課題に対しては,園⽥研究室およびモクチン企画の今までの研究や実践の蓄積を元に新しいアイディアを考案すること。以上の3つのアプローチから地域善隣版レシピのパッケージ化・とりまとめを⾏った。(2)ヒアリングに基づくレシピ開発の条件整理上>レシピ」が有効であると評価され,選定された。例えば,「井⼾端デッキ(IBD)」というレシピは,<外部交流>を促進する効果が期待されるので採⽤し,さらに⾼齢者に配慮した⼨法や素材などに調整し直した。このレシピは,実物件で計画しており,2019年11⽉中旬に着⼯予定である。(4)新アイディアの開発(2)ヒアリングに基づくレシピ開発の条件整理レシピを開発する際に,当初は段差を解消することや⼿すりをつけるなどいわゆる「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」の観点が強かったが,ヒアリングから以下の2つの視点が明らかになり⽅向修正を⾏った。⼀つ⽬は,住⼈同⼠の交流やコミュニケーションがとれる場所が重要であること。閉鎖的な個室で閉じこ(4)新アイディアの開発園⽥研究室が⻑年蓄積したバリアフリーデザインに関するアイディアを整理し,⽊造アパートや⽊造の⼾建に応⽤できそうな視点でレシピ化を試みた。また,モクチン企画からは,以前に⾏った⾼齢者施設の改修プロジェクトで得た視点や改修⽅法を整理し,こうした両者の視点から新しいレシピ開発を実施した。もってしまうこと⾃体がケアをする側にとってはコストやリスクになる。そのため,住⼈同⼠の交流が多少とも⽣まれ,インフォーマルなかたちでの安否確認や状況把握がしやすい空間が求められていることがわかった。こうしたことから,レシピ開発においても,外部空間の活⽤や,住⼈同⼠の関係を創出しやすくなる⼯夫を⼼がけた。⼆つ⽬は⾒た⽬や居⼼地の良さが⼤事であるとい⼆つ⽬は,⾒た⽬や居⼼地の良さが⼤事であるということ。⽣活困窮者向けの住まいを確保する際に,いくつかの団体が物件のサブリースを実施していたが,想定する⼊居者は「個⼈では借りにくいから,住めればどこでもいい」というマインドではなく,⽀援団体が勧める物件の⼊居を断るというケースも多い。家があってもマッチングが必ずしも成功するわけではない。⽀援団体や物件所有者の空室リスクを低減するには,

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