2019実践研究報告集NO.1824
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⾏き着いた。空き住宅を⽬的外使⽤にして借受け簡素・簡便なリノベーションを⾏い,住宅と共同スペースを確保した。⽇本財団からの資⾦助成を受け,⼤阪府・四條畷市(清滝住宅のある地元市)・⽇本財団・HELLOlifeの四者で協定を締結して実施している。リノベーションをするにあたって,低コストでありながらデザイン性が保てる⽅法を考えていたところ,モクチン企画の取組を知ったモクチンレシピの活⽤開を図った。利便性の⾼い都⼼エリアは難しいが,⽊密エリアであれば,ある程度の物件調達はできる。空き家となった⼾建て住宅をオーナーがアパートに改修した物件を借上げ,㈱ふるさとが⽣活困窮者へ「家主として直接」転貸することで⾼利回りの不動産商品に⽣まれ変わった事例もある。家主も満⾜している。しかし,こうした事業可能性が数字上は⼤いにあるにも拘わらず実際に供給できる物件は少ない⽣活困窮モクチン企画の取組を知った。モクチンレシピの活⽤と,若者⾃らがDIY的に参加する⽅式で,各⾃の居住スペース(2K・3K)をリノベした。2017年〜18年度末まで12名の若者が⾃⽴した⽣活を実現している。2019年度からは事業のスキームを変更し,⾃⽴を⽬指す若者を住宅のある地元市に拠点をおく企業が雇⽤し,雇⽤者と被雇⽤者が折半して家賃などの費⽤負担をする⽅式を採⽤しモデル事業ス拘わらず,実際に供給できる物件は少ない。⽣活困窮者の住宅確保に関する相談窓⼝は増えているが,それを受け⽌める住宅がない状況だ。◆株式会社アンディート祖⽗から引き継いだ⼟地や⾼経年アパートをどうするかに取り組んできた。地域の不動産は,ある意味,世代間で受け渡されていく<バトン>であり,祖⽗かタート当初の⼾数11⼾を30⼾まで拡⼤中である。ら受け取ったバトンを今の社会で活かし,次の世代に⼿渡していくこと考えなければならない。タガヤセ⼤蔵のプロジェクトは,1階部分をデイサービスセンターに改修し,地域の社会福祉法⼈に貸し出している。2F部分は住居とSOHO(⼦供向け創作アートのアトリエ)がある。デイサービス部分の改修については,⼿すり,電球,コンセント,柱型等の建築的な条件をあらゆる⾓度から検討したが「施設施写真31ハロライフでのヒアリング築的な条件をあらゆる⾓度から検討したが,「施設施設しすぎず,オシャレすぎない」ところに落ち着いた。福祉施設の空間デザインについて,福祉分野の⼈の経験値が優先され空間としての居⼼地の良さが重視されにくい懸念がある。空間をもって,多様な⼈との関係性をデザインする必要がある。外部空間の改修を最近⾏ったが,誰もが座れるベンチを作るなどそれだけで地域との関わり⽅が違ってくる。◆⼤阪府まちづくり部都市居住課住宅セーフティネット制度を⾃治体として具体的に展開する役割を担っている。第⼀に⽬指したのは登録住宅数を増やすことである。⼤阪府では,2019年1⽉末現在7,539⼾と⽇本最多の登録数である。そのうちの6割は旧雇⽤促進住宅の払い下げを受けた⺠間のビレッジハウスでありその他写真3-1ハローライフでのヒアリング事業的には,改修費の初期投資は6年で回収する計画だ。地域に根付いたSPCやREIT等,資⾦調達の仕⽅についてもっと創意⼯夫があってもよい。今後は,保育とコーワーキング機能を兼ね備えた空間などの地域需要は⼤いにある。同じ区内に,オーナー開設の「笑恵館(⾃宅+アパート+パン屋+⼦育てサロン+コーワキング+集会所)」の事例等がある。<バトン>の発想に⽴つオナも潜在的にはいると思うい下げを受けた⺠間のビレッジハウスであり,その他の新規登録は3000⼾程度である。登録住宅が増えない最⼤要因は耐震性が要求されることである。家主はアパートの償却が終わっていれば,⼊居率が5割以下でも構わないと思っている。そこで,第⼆の取組として⼤阪府宅地建物取引業協会と全⽇本不動産協会⼤阪府⽀部と連携して宅建業者の協⼒店を増やすことに注⼒している。現時点での協>の発想に⽴つオーナーも潜在的にはいると思う。◆NPO法⼈ハローライフ雇⽤・労働の領域における課題を解決に導く様々な事業を通じて誰もが⾃分らしい働き⽅・⽣き⽅を実現できる社会をつくることを⽬指している。中でも社会に接続するファーストポイントに⽴つ若者を対象とした⽀援を強化しており,問題先進地域とも呼ばれる⼤⼒店は600店舗である。さらに家主に働きかけるルートづくりを始めている。ただ,⼤阪府内の物件には他県のプロオーナーが少なくなく住宅登録を進めるためには難しい⾯もある。また,アパートの耐震改修をセーフティネット制度の改修補助費50〜100万円/⼾(上限額・1/3補助)で⾏わせることは耐⽤年数や管理⾯から現実的ではないため,家主にとっても宅建の管理業者にとってもインセンティブに中々ならないの阪を社会的実験場としてとらえ,理念的な活動だけではなく,経済界や企業等に対して企画提案を⾏い,若者を⼈材化,⾃⽴化させていくルートを実装した活動を⾏っている。若者就業⽀援の価値を拡充していく場所として,⺠間版の職業安定所「ハローライフ」を開設。⼤阪中⼼部の靭公園近傍に<図書館+職業紹介機能+カフェ>を⼀つにしたような拠点空間を実現したしかし単管理業者にとってもインセンティブに中々ならないのが現状である。第三の取組としては,府下の市町村社会福祉協議会に呼びかけて居住⽀援法⼈を増やしている。地域に根付いた居住⽀援法⼈が拠点的な施設(コミュニティカフェその他の活動拠点)を開設すれば,そこをキーにして地域の空家情報等が集まってくる可能性が⾼い。そこから拡⼤していく⽅策に可能性がありそうだ。を⼀つにしたような拠点空間を実現した。しかし,単に居場所があるだけではだめで,若者が就労し⾃⽴して職場に定着するには,スタート地点に安定的な住まいがいる。そこで,住宅確保に動いた。当初は,空家が多いといわれた⺠間をあたったが⽼朽化が進んでいるなど利⽤するのが意外に難しく,公的主体に働きかけたところ,応募倍率が低く空室の多い⼤阪府営の清滝住宅に

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