2019実践研究報告集NO.1824
10/12

(4)改修費(各住⼾)合計:504,500円(税抜) ⼯事実施時期:2019年7〜8⽉上記の改修費は⼀住⼾の改修のベース⾦額であり,部屋の状態により必要な修復⼯事が加算される⽅式に大工工事床貼り工事塗装工事畳/襖張替工事50,000円52,000円112,000円100,000円電気工事住設機器工事衛生設備工事工務店経費5,500円70,000円65,000円50,000円部屋の状態により必要な修復⼯事が加算される⽅式になっている。⼀住⼾あたり平均10万円が加算されるので,⼾当たり改修費は約60万円である。(5)共同スペース(コモンハウス)への改修3DK住⼾を居住者の共同スペースにするため,2017年に⼀住⼾を改修した。今年度にもう⼀つ追加する予定である。これまでの⼊居者にヒアリングを実施結床ゴ施した結果,床でゴロッとしたり,リラックスできる空間にしてほしいという要望があり,そうしたニーズも反映しながら新しいコモンスハウスへの改修を計画中である。(写真3-8)(6)今後の課題各部屋の改修は家賃などとの兼ね合いから費⽤を⼯⾯しかつ低コストでの実施が可能であることがわ写真3-10施⼯のようす⾯し,かつ低コストでの実施が可能であることがわかった。しかし,⼀⽅で共⽤部のコモンハウスはある程度の質や魅⼒が求められるうえ,単独では収益化することも難しい。そのため,資⾦繰りや資⾦調達の⽅法に相当程度の⼯夫が必要であり,NPOハローライフの研究に園⽥が加わり検討を続けている。4総括4.総括⼀連の本実践活動を通じた総括は下記の通りである。(1)遊休化する不動産の存在現実に地域に⼊ると,遊休化している空家や空室が相当数ある。賃貸物件では,空家特措法でいう空家の⼀棟全部が空のものは少ないが,⾍⾷い状に空室があるものが多数存在する。特に建築年が古く明らかに写真3-9 改修後の住居の仕組みがあれば,活⽤できる遊休不動産の数は膨⼤である。るものが多数存在する。特に,建築年が古く明らかに耐震性に懸念のある物件では空家が多い。また,接道条件等に問題がある既存不適格物件も改修等の⼿を⼊れられないので空家になっているケースが多い。こうした状況に⾄る背景には,第⼀に⼤家の賃貸アパートに対する経営意欲が全く薄れてしまっていることがある。よく聞かれたのは,「償却が終わった物件にテコ⼊れしてまで貸そうとする⼤家はいない」ことである。(2)事業リスクとリスクテーカー遊休不動産を活⽤しようとした場合,最初にぶつかる壁は⽼朽化した建物全体と専⽤部分の室内に相当程度の改修が必要なことである。箱だけがあっても誰も住みたいとは思わないし,その箱の持ち主の多くは改善意欲を喪失している。しかも,改修には相当の⾦額がかかる今般住宅セテネト制度はバである。宅建業者も,空家過多ではそもそも賃貸借の仲介⾃体がビジネスにならず,住宅セーフティネット制度の登録物件掘り起こしに積極的に関わろうとはしない。家主も宅建業者も空家が多いことは認めるが,それを積極的に活⽤しようとはしない。古いからダメだと建替えに⾛り,他所で空家を増やすという悪循環に陥っている。がかかる。今般の住宅セーフティネット制度では,バリアフリー改修,⽤途変更改修,耐震改修に該当する場合,⼾あたり50〜100万円(国のみ50万円,国+⾃治体100万円上限,1/3補助)の補助があるが,この条件で動く家主はほとんどいない。また,耐震改修等の⼤掛かりなものでなくても,再⽣するには室内の仕上げや住設機器の更新等が不可⽋であるが,この初期費⽤をどのように回収でき収益を⽣むかの筋道が不ている。その⼀⽅で,先代から賃貸アパートを相続したり,相続せざるを得ない⼆世,三世の家主が急速に増えている。彼らの中には,相続物件を積極的に改修整備し,地域貢献的な拠点づくりを含めて再活⽤しようという者があらわれている。世⽥⾕区内のアンディート,笑恵館や,北千住シェアPJのオーナー等である。「住宅改修→客付け→建物と賃借⼈に関する定常的な管理」期費⽤をどのように回収でき収益を⽣むかの筋道が不透明でそれが「事業リスク」と捉えられており,事態は動かない。北千住PJの場合は,その事業リスクをオーナーが取った。ハローライフPJの場合は,⽇本財団や地元企業等の助成を得て資⾦調達している。なぜ,彼らがリスクをとれたのかというと,元の建物の仕⼊れ価格と改修後の建物の賃貸価格に差があり,それで投資コス

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る