2019実践研究報告集NO.1823
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⼭園織機とマルヱ整経との協議で,現状の140本(67配×2+⼩⽬6)⿇シングルの経⽷仕様から,マルヱ⼋代⼯場の通常稼働の最⼤本数である142本まで拡張して織機を改良することになった。これに伴い,現状の⿇シングルのチキリ(⽷巻き器)1段から,2段組の仕様(2段ヤグラ)に変更して,⿇・綿ダブルの仕様に改良した。140本(68配×2+⼩⽬4)の⿇⽷と142本の綿⽷(68配×2+⼩⽬4+⽿2)でそれぞれ整経したチキリは13.4再⽣⼯程2019年1⽉,保管農家から同市内の中村機械に織機を移送して,実機調査を⾏い,最終的な再⽣可能性を検討した。その際に,中継織機の当初開発に携わった中村邦徳相談役(前専務)にも⽴ち会っていただいた(図3-4)。中村機械が2015年に廃業を検討した際に,社名と中村式ブランドを残したまま,⼭園織機が経営統合した中村機械が廃業していれば畳表が消滅してい×2+⼩⽬4+⽿2)でそれぞれ整経した。チキリは,1本は現状のものをマルヱ整経で修理し,1本は中村機械で新規に製作した。⿇・綿ダブルとしたのは,来⼭⽒の⼿織中継や佐野商店の中継六配の⿇ダブルの最⾼級仕様との差別化を図るためと,普及啓発や研究教育⽤という特性から,2種の⽷が畳表に使い分けられることを教⽰するためである。この改良により,⽬幅の少し狭い茶室⽬で,本間幅した。中村機械が廃業していれば,畳表が消滅していた可能性さえある。⼭園織機と打ち合わせを重ね,再⽣計画を精査し,再⽣可能と判断した。16年間更新が続いた商⼯会議所から藺業協会への2年間の貸出契約が2019年3⽉末に切れるタイミングを待って,4⽉に藺業協会へ譲渡された。その後も協議を続け,6⽉に⼭園織機に再移送した(図3-5)。(京間)より広い最⼤980mm(⼩⽬含む)の畳表を製織することができる。中継部分は,裏から⾒て4配,表から⾒て6配が重なる仕様とした。元は裏から⾒て3配が重なる仕様であり,合計67配の奇数⽬であった。佐野商店やマルヱ整経にも助⾔いただき,⼭園織機と協議して,通常と異なりセンター合わせで畳床に付ける中継表のため,施⼯性を考慮して,中央に⾕⽬が来るようツムを改良したセンタ合わせしていない中ようツムを改良した。センター合わせしていない中継表の誤った施⼯事例を確認したこともあり,この点留意した。また,研究教育や展⽰広報⽤織機ということも考慮し,施設内で⽔平移動できるよう耐荷重を考慮した⼤型キャスターを4つ取り付けて,容易に平⾏移動できるように改良した。稼働時に安定性を⽋くため通常は付けないが,設置性よりも可動性を重視した。移動した後は,ハンドリフトで持ち上げてキャスターを浮かし,桟⽊の下に詰め物をして固定して安定性を確保するという⼿間がかかる。図3-4保管農家からの引き取りと中村機械への搬⼊当初は,⼯場の繁忙期を避け,6⽉中に再⽣を終える予定であったが,先述の通り,藺業協会会⻑の交代などもあり,寄付⼿続きが遅れることになった。藺草の刈り取り時期である7〜8⽉の農繁期は,織機メンテナンスで⼭園織機は繁忙期となる。この間,寄付⼿続きを図3-3 チキリ旋盤修理と整経(⿇と綿)マルヱ⼋代⼯場図34 保管農家からの引き取りと中村機械への搬⼊

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