2019実践研究報告集NO.1823
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2.4施⼯事例調査:国宝瑞巌寺本堂瑞巌寺本堂の平成の⼤修理は,備後中継表の施⼯経緯の詳細が分かる数少ない事例である⽂3) ⽂11) (図2-3)。2017年に畳の敷き込みが⾏われた。この際に使われた中継六配は,合計232枚(9室)である。2018年9⽉,いくつかの部屋を実測しながら⼨法や施⼯状況を予備調査した。上々段の間の6畳だけは,備後藺草による来⼭淳平⽒の⼿織中継表であるよる来⼭淳平⽒の⼿織中継表である。←↑図2-3 「動⼒織中継六配表」調査と瑞巌寺本堂実測調査3.動⼒中継織機再⽣プロジェクト3.1活動記録と再⽣⼯程本課題の準備期間と予定も含め,主な活動記録と中継織機再⽣⼯程の概略を時系列に沿って表3-1に記す。現場での調査・記録は,研究会の学⽣メンバーが協⼒した。3.2移管・移設プロセス本課題の再⽣ベース機となった「新びんご中継表⾃動織機」は, 2002年度福⼭市⼩規模経営⽀援事業費補助⾦を福⼭商⼯会議所(以下,商⼯会議所)が得て, 地域振興活性化事業として中村機械で2台が開発・製3.3再⽣(修理・復元・改良)仕様今回の再⽣計画策定・実施にあたり,再⽣を修理・復元・改良と定義した。ベースとなる当該織機は,中村機械の中村式NSL(2本芯)型である中継六配同様図3-1 コーディネーターと保管農家にて織機確認地域振興活性化事業として中村機械で2台が開発・製造された。商⼯会議所から広島県藺業協会(以下,藺業協会)へ貸し出され,さらに2⼾の藺草農家へと貸し出されていた⽂6)。本課題実施期間の前半は,動⼒中継織機の移管・移設に向けた交渉と再⽣(修理・復元・改良)計画の⽴案が主であった⽂6)。移管・移設に関する保管農家や関係者との下交渉は3年前から続けていたが難航し,本村機械の中村式NS-L(2本芯)型である。中継六配同様の幅広のNS-LL型フレームに取り換えて改良することもできたが,ベース機の既存部品の再⽣を重視した。フレームが決まるとまず,経⽷の本数を決定した。整経を依頼したのは,⾼級畳表に使⽤される希少な⿇⽷整経でトップシェアのマルヱ株式会社(以下,マルヱ整経)である(図3-2)。マルヱ整経の本社は現在でも福⼭市⾦江町にあり,備後地域発祥企業で,整経⼯場は熊課題の採択をきっかけに本格的に始動することとなった。移管・移設に関する関係者との全ての交渉は,びんご産業⽀援コーディネーターの渡辺幸三⽒の仲介で⾏った(図3-1)。動⼒中継織機の所有者である商⼯会議所,⼀次貸出先である藺業協会,⼆次貸出先である広島県藺草⽣産組合連絡協議会加盟の保管農家の3者との権利関係確認と同意⼿続きが必要であったこれらを順にクリ本県⼋代市にある(図3-3)。認と同意,⼿続きが必要であった。これらを順にクリアしながら,詳細な再⽣計画策定と同時に,受け⼊れ先である学校法⼈福⼭⼤学と寄付⼿続き,学内助成⾦の補正,保管場所確保について協議した。2019年6⽉に藺業協会の会⻑交代などがあり,正式な移管⼿続き開始が予定より2か⽉遅れて7⽉となり,全体計画に影響した。その後の⼭園織機の全⾯協⼒により,10⽉納品を成し遂げることができた。図3-2 マルヱ整経と保管農家にて現場打ち合わせ

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