い地域の⾄宝」と暫定規定して,地域と協働でその保全,継承活動を実践しながら,事例調査を重ねている。ユネスコ無形⽂化遺産に近い考え⽅であり,備後藺草による備後表も地域遺産の1つである⽂9)。1.4備後表継承会2018年4⽉「備後藺草による備後表」の保全と継2018年4⽉,「備後藺草による備後表」の保全と継承を⽬的として,畳表業界や建築関係者らで備後表継承会(以下,継承会)を設⽴し(図1-5),主査が会⻑を務め⽂5),地域協働で活動してきた⼤学主体の研究会を補完する組織でもある⽂10)。研究教育が中⼼の⼤学では限界となる点を補い,地域や企業などが備後表の保全と継承に直接参与できる仕組みを作った。当課題の申請時には,助成終了後の活動の受け⽫を想定していた組織でもあるが,採択前に設⽴した。拙速な感もあったが,備後藺草絶滅の危機が差し迫る中で,地域や業界のリアクションを期待し,設⽴役員7名だけで,器をつくることを優先した。ウェブサイト(https://www.bingo-igusa.com/)を制作し,⽬的と10の事業注3)を掲げているが,その中に本課題と直接関連する,「5.中継表の製織技術継承と織機保全」があるある。本課題における取り組みと,地域や業界との協働実績が評価され,2019年度⽂化庁「ふるさと⽂化財の森システム推進事業」普及啓発事業において,「備後い草の植え付けと備後表製織体験」が採択された(図1-5)。「ふるさと⽂化財の森」に設定された熊野町圃場は,連作障害を避けて休耕していたが,2018年に3年ぶりに藺草植え付けを⾏った。図1-5 圃場にある2つの組織の看板とロゴマーク図1-6 「ふるさと⽂化財の森」普及啓発事業ポスター(JR福⼭駅南⼝のデジタルサイネージなど)デザイン:⼤岩智之(左), 河⽥陽依菜(右)
元のページ ../index.html#4