備後中継表の織機再⽣と製織技術継承実践研究報告No.1823 備後中継表の織機再⽣と製織技術継承備後地域の農家に保管されていた,希少な動⼒中継織機を再⽣(修理・復元・改良),動態保存により,備後伝統の中継織りの織機と技術を継承し,現在絶滅の危機に瀕している備後藺草による備後表復興の端緒としたい福⼭⼤学⼯学部建築学科教授/佐藤圭⼀中嶋健明(福⼭⼤学⼈間⽂化学部メディア・映像学科)端緒としたい。この織機の活⽤により,備後表研究は⾶躍的に進む。また再⽣織機の3DCGを制作し,その機構を分かりやすく表現した。藺草栽培や畳表製織の実践活動は備後地域遺産研究会が中⼼となり,備後表継承会が協働した。2018年4⽉に設⽴した備後表継承会は,地域や企業が継承事業に直接参⼊できる枠組みを⽬指したものである。将来的には,再⽣中継織機を備後表⽣産者が使⽤できる仕組みを作り,後継者育成に貢献したい。に貢献したい。1. 活動の背景1.1 建築物省エネ法と「省エネ基準」「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(2015年公布以下建築物省エネ法)にもとづく省(2015年公布,以下,建築物省エネ法)にもとづく省エネルギーのための建築関連の基準(以下,省エネ基準)は,住宅について,国内を8地域に区分し,地域ごとの建築の内外の境界(外⽪)に関する基準値を定め,算定される設計⼀次エネルギー消費量が基準値を上回らないものとしている。本稿執筆時点(2019年10⽉)で,300㎡以上の建築物の新築,増築の際の届出の義務付け,「住宅トップランナー制度」(年間150⼾以上を供給する住宅事業者に遵守を促す)等により「省エネ基準」が推進されている。1.2 沖縄県(8地域)における問題点この省エネ基準はUA値(外⽪平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均⽇射熱取得率)の基準値を地域ごとに定め,基準値を越えないことを求める(以下,外⽪基準注1))沖縄県(省エネ基準の区分の8地域)の外⽪資料1 省エネ基準と沖縄モデルの違いの研究会の活動を通じて沖縄の気候⾵⼟に適応し省エ注1))。沖縄県(省エネ基準の区分の8地域)の外⽪基準は,UA値の基準値はなくηACが3.2以下としている。沖縄県においては,現⾏の外⽪基準が⽰されて以降,沖縄の建築設計者が通常の⽅法と考えている住宅設計の多くが外⽪基準に適合しないことが指摘されるようになった。さらに筆者らは特定⾮営利活動法⼈・蒸暑地域住まいの研究会の活動を通じて,沖縄の気候⾵⼟に適応し省エネネ性能を⾼めた住宅が外⽪基準に適合問題を指摘してきた。また、沖縄県は2017年度に「沖縄らしい気候⾵⼟適応住宅形成事業」を実施し,蒸暑地域住まいの研究会がその作業に関与した。その際,県内の⼀般的な住宅のηACが⼤幅に3.2を越えること,さらには,沖縄県,環境省,国⼟交通省それぞれのモデル事業で環境への適応(熊野町)⽂化庁「ふるさと⽂化財の森」設定圃場
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