通常の引き通し織機の場合,近接スイッチは左右と真ん中の3か所装着されるが,中継織機の場合,左右の短い藺草の両端をそれぞれ感知するため右2か所,左2か所の計4か所装着される⽂8)(図3-10)。左右から2本ずつ計4本の藺草が経⽷間に⼊るとジシメで締めるが,2か所のスイッチが共に感知しない藺抜けの場合,3回空打ちをして,⾃動で元に戻して再開する。さらに空打ちが起こる場合⽚側の藺草供給が無くなったと空打ちが起こる場合,⽚側の藺草供給が無くなったと判断して,もう3回空打ちして停⽌する。いずれか⼀⽅のスイッチに反応しない中留まりの場合,即座に停⽌する。経⽷の間に詰まっている不良の藺草を⼿作業で抜いて再起動すると,元の⼯程に⾃動で戻り再開する。細すぎる藺草はスイッチに反応せず,中留まりと判断される。ほとんど重さのない藺草を機械式のスイッチで感知するという繊細な動きは,間近で体感するとよく分かる。電⼦制御で元の⼯程に⾃動復帰させる回路の開発により,製織作業において⾶躍的に⼈⼿を省⼒化することができる。⾃動再開や即時停⽌によって,不良畳表が織り続けられることを防ぐことができるのである。4.再⽣中継織機による製織・加⼯と製畳4.1搬⼊と試運転熊本から福⼭への輸送は,同経路で織機輸送実績のある,綿⽷整経業の上原経⽷有限会社(岡⼭県総社市)が⾏った。段差のある建築に搬⼊するため,⼭園織機と事前の現場打合せも⾏い,綿密な搬⼊計画を練った(図4-1)。図3-9 3分割されたツムの上下(正面)とその駆動部(背面)搬⼊・設置直後の試運転で,すぐに⿇⽷が切れ,修復作業が必要となったが,⽷の結び⽅が分からず,作業は難航した(図4-2)。切れた⼀本を織り込まずに試運転を続けたが,切れた部分だけ,ジシメの針間隔が異常に狭いことに気づいた。⼭園織機から電話でサポート受けながら,針をペンチで潰して間隔を調整した。し防⽌装置は実装しなかった。また,打ち込みの密度や織り上げ枚数も電⼦制御できるが,⼤量⽣産を前提としないため,今回は実装しなかった。図4-1 積み下ろしとキャスターを活⽤した搬⼊図4-2 試運転で切れた⿇⽷とジシメの針間隔調整)
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