2019実践研究報告集NO.1822
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5.ケアラーサポートの場の実態とみちくさ亭の位置付け本章では,みちくさ亭での活動を相対化するために実施した,ケアラーサポートの場の実態を捉えるアンケート調査結果の分析を⾏う。先述1.2の通り,介護者⽀援は認知症カフェにも位置付けられている。そこで,⾃治体が公表する認知症カフェ等リストに掲載される場を対象とした中でもみちくさ亭のを活⽤する例が中⼼であると⾔える。みちくさ亭のような飲⾷可能なカフェで開催しているのは,NPO法⼈や任意or共同組織が中⼼であり,住み開きも5件⾒られる。2)開催頻度全国調査では⽉1回が76.8%であるが,今回調査でも6割が⽉1回⽉2回以上は2割にとどまってい掲載される場を対象とした。中でも,みちくさ亭のようにカフェ事業を⾏うサポートの場の特性を捉えるため,コミュニティカフェが盛んな横浜市を主要な対象とし,神奈川県を中⼼に調査票を配布,有効サンプル数は70件である(表5-1)。表5-1アンケート調査の概要でも6割が⽉1回,⽉2回以上は2割にとどまっている。3)運営にかかる主な財源とスタッフへの報酬最も多いのは参加費63.4%,次いで公的補助⾦40.0%であり,全国調査と同程度である(表5-3)。⼀⽅法⼈予算を挙げたのは介護・医療関係の運営主体が中⼼である。5.1 ケアラーサポートの場の運営実態1)運営主体と開催場所の関係全国的な認知症カフェの実態調査によれば(以下,全国調査)注1),運営主体で最も多いのは地域包括⽀援センター33.9%であり,本調査でも11件/70件が該当するこれを含め介護・医療関係施設のスタッフへの報酬があるのは21.4%であり,運営主体別では介護・医療関係では1/4に上るが,これはカフェの運営を業務の⼀つとして位置付けているためである。表5-3運営主体別運営に係る主な財源とスタッフへの報酬件が該当する。これを含め,介護・医療関係施設の運営法⼈が運営主体である例が4割を占めるが,⼀⽅で任意組織や複数組織の共同も48.6%と同程度⾒られる(表5-2)。なお,みちくさ亭のような(介護・医療関係施設の運営主体を除く)NPO法⼈は,みちくさ亭を含め3団体のみであった。開催場所は介護・医療関係が5割で全国調査と同様の傾向であるが,カフェ等飲⾷のできる場でも144)開設費⽤と空き家等活⽤の関係件(19.7%)に上り,全国調査結果6.1%を⼤きく上回った。運営主体との関係を捉えると,運営主体所有の場表5-2運営主体と開催場所の関係開設費⽤“無し”が33件(46.5%)を占める(表5-4)。開催場所によって傾向が異なり,介護・医療関係施設や公共施設にでは“無し”,或いは10万円未満が殆どである。しかしながら,カフェ等では10万円台以上が17件中9件を占めている。その内訳は,30万円台までは家具等の什器,のぼり旗や看板の購⼊が主である(表5-5)。表5-4開催場所と設⽴時費⽤総額表54開催場所と設⽴時費⽤総額表5-5設⽴時費⽤総額10万円以上の費⽤等内訳5.2 利⽤者の内訳と開催場所・頻度の関係ケアラーサポートの場の1⽉あたりの利⽤者に占めるケアラー並びに認知症等本⼈の割合について問うた結果,61件より回答が得られた(表5-6)。組み合わせで5タイプに分けることができ、「④利⽤者ミックス」や「⑤ケアラー中⼼」が、ケアラーサポートを担えていると⾔える。

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