2019実践研究報告集NO.1822
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4.2 みちくさ亭の利⽤者の⽴場の特徴⽴場別の割合は概ね⼀定しており,平均して本⼈20.5%,ケアラー13.3%,⼀般56.7%,専⾨職6.6%,その他2.8%である(図4-2)。アクセス⼿段と⽴場の組み合わせで捉え直すと,⾞利⽤は平均して本⼈36.1%,ケアラー75.4%,⼀般77.3%である(図4-3)。つまり,広域からのケアラーや⼀般の中に近隣の本⼈が同席している場⾯が多いこ4)専⾨家との繋がり・専⾨家同⼠のコラボレーション先述の通り,利⽤者の約6%は専⾨家である。看護⼠,ケアマネージャー,⻭医者,作業療法⼠,介護⽤具専⾨家,管理栄養⼠,⾏政書⼠等多岐に渡り,9⼈の専⾨家は年に数回,無償で相談業務も⾏う。布川は専⾨家とのコミュニケーションを通して各々の得意分野等を把握しケアラーへ紹介する等コー般の中に,近隣の本⼈が同席している場⾯が多いことがうかがえる。また,新規利⽤者が毎⽉⼀定数⾒られ,平均して毎⽉の利⽤者延数のうち,本⼈8.9%,ケアラー18.2%,⼀般21.8%である。また数にして,調査した13ヶ⽉間に本⼈58⼈,ケアラー77⼈,⼀般393⼈に上る。つまり,⼀般客やケアラーを中⼼に,適度にメンバーの⼊れ代わりが起こっていることがの得意分野等を把握し,ケアラへ紹介する等コディネートも担う(表4-1)。さらに,カフェで出会った専⾨家同⼠のコラボレーションも⽣まれつつある。カフェでの利⽤者との雑談を通して,元気なうちから⾷事の様⼦をデータベース化し,将来的な⾷⽀援に⽣かす取り組みが試⾏されている。わかる。4.3.ケアラーサポートの内容と効果みちくさ亭でのケアラーサポートの内容,並びに以上に⽰した利⽤者の多様性によって実現できている具体的な効果について,布川をはじめとしたスタッフや利⽤者らへのインタビュー調査に基づいて捉える(表41)5)⼀般利⽤者はランチ・出会い・いざという時の安⼼感⼀般利⽤者は,ランチやマージャン等を楽しみに訪れており,特にケアラーや認知症サポートへの意識が⾼いわけではない。しかしながらここで過ごすうちに⾃然と知識が⼊っており,また「いざという時,何かあったらみちくさにくれば良い」という安⼼感があると話す表4-1サポート内容や効果に関するヒアリング結果捉える(表4-1)。1)ケアラーサポートは傾聴を中⼼に展開するみちくさ亭では,ケアラーの思いに寄り添うことを最重視しており,布川による傾聴講座を受講した7名のスタッフ(ボランティア含む)が,カフェに常駐している。新しい利⽤者が訪れた際には声をかけ,飲⾷をしながらカフェでは⾃然と傾聴が始まる。⼼感があると話す。表41 サポト内容や効果に関するヒアリング結果それを⽿にした⼀般客が加わる時もあれば,希望がある場合は,別室へ移り,傾聴が⾏われる場合もある。2)ケアラーでもあるスタッフの役⽬と効果ケアラーでもあるスタッフAは経験提供や傾聴の役⽬を担うが,同時に⾃分にとって息抜きの場となっていると話す(表41)またボランティアなっていると話す(表4-1)。また,ボランティアスタッフDは,みちくさ亭で相性の良い作業療法⼠と出会い,新たに訪問リハビリサービスを利⽤するに⾄る。厨房を任されているスタッフEは,かつて20代で⼆⼈の⼦を育てながら,同居する⽗⺟の介護をしたダブルケアラーであったが,今ではカフェで傾聴スタッフも担う。3)認知症・若年性認知症本⼈とそのケアラーのサポート毎週訪れる常連客のBは,⼀⼈で通ってくることも頻繁な⾼齢の認知症本⼈である。診断を受けて7年経つが,かつて建具職⼈であった技術を⽣かし,⽇曜⼤⼯や包丁研ぎなど,多様な役⽬を担う。ケアラーである妻とスタッフが連絡を取り合い,⾒守りを⾏っている(表41)を⾏っている(表4-1)。ボランティアスタッフのCは,若年性認知症であり,⼀般客の⼝コミが本⼈やケアラーのサポートに繋がった。⼀般的に若年性認知症本⼈は居場所が少ないが,Cもその⼀⼈であった。⾃ら希望して配膳スタッフとして運営をサポートする。働くケアラーであるCの娘に代わり,みちくさ亭は⽇中の地域との橋渡しも担っている。

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