2019実践研究報告集NO.1822
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3)内容:ケアラーと本⼈が⼀緒に来れる場・楽しみと悩み相談両⽅必要・表向きは⼀般のカフェとした⽅が良い初めは本⼈もケアラーも⼀緒に訪れることができた⽅が来やすい。慣れて信頼関係ができれば,⼆⼈を分け,それぞれに過ごすことができるようになる。何より⼤切なのは,傾聴,じっくり話を聴けることが公共の窓⼝との⼤きな違いおしゃべりやカラオする⽅法として,住み開きによるお料理教室⽅式や,カフェ等飲⾷店との連携⽅式も有効であろうと考えられる,(表7-1)。開催頻度や活動内容が限定され易い側⾯はあるが,座談会で得られた各主体の連携,ICTツールの活⽤,地域への継続的な周知ができれば,エリア全体ではケアラーにとって選択制のあるケアラーサポートが構築できる可能性がある。が公共の窓⼝との⼤きな違い。おしゃべりやカラオケ等楽しみも必要だが,それのみの場では,悩みは話しづらい。⼀⽅,“認知症カフェ”の名称を掲げると⼊りづらいという声もある。⼀般のカフェになるのが理想的である。7.まとめと考察設定した3つの⽬的別に,⼀連の活動から得られた知⾒,並びにそれに基づき考察できる事項を整理する。7.1ケアラーズカフェ定着への⽅法論と課題・開放型リノベーションや主体的利活⽤は⼀定の表7-1カフェ型で展開可能なケアラーサポートの拠点タイプ図7-1みちくさ亭でのケアラーサポートの内容・開放型リノベーションや主体的利活⽤は⼀定の効果スタッフへのヒアリングを通して,通りとの視線交流が可能になったことで声をかけてくる者が増加したこと,広く明るく使い易くなった等の評価が聞かれた。また実際に,徒歩や⾃転⾞利⽤で,近隣居住者とうかがわれるケアラーや本⼈が,リノベーション直後に増加したことが,利⽤者調査を通して明らかとなった。しかしながら,アクセス⼿段に基づく調査は,気候や移動能⼒の影響を受けやすいことが推測され,本⼿法に基づく居住エリア推測には,限界があると考えられる。・傾聴を中⼼に展開する⻑期的なケアラーサポートみちくさ亭で展開されているケアラサポトは7.2ケアラーサポートを地域の居場所で⾏う意義・多様な利⽤者が同席するみちくさ亭のカフェみちくさ亭で展開されているケアラーサポートは,傾聴を中⼼に図7-1のように整理できる。認知症等認定を受ける前から,介護等を終えた後のグリーフケアの期間まで,また認知症等本⼈の居場所を提供することを通した間接的なサポートにも及ぶ。これらは,医療・介護など公的サービス提供主体ではない,⺠間の常設カフェだからこそ可能な内容であると考察される。・多様な利⽤者が同席するみちくさ亭のカフェタイム利⽤者調査より,みちくさ亭ではケアラーや認知症等本⼈のほか,⼀般50%や,専⾨家6%も同席していること,アクセス⼿段の結果も加えると,⽴場や居住エリアが多様な利⽤者が同席する状態であることを特徴とする・常設カフェ型はケアラーや認知症本⼈が訪れ易いみちくさ亭利⽤者のうち,ケアラーは約1割,認知症等本⼈は約2割であった。このようにケアラーも本⼈も訪れる例は6割に留まり,両者とも無しが2割を超える。両者が訪れる場の特徴として,開催頻度が⾼く中でも常設型,場所はカフェ等の傾向が⾼いことを指摘できた・常設型カフェだから可能な多様性の確保とその効果利⽤者やスタッフらへのヒアリングを通して,次が考察できる。常設のカフェだからこそ⼀般を含む常連ができ,その中からサポートを強く意識せずとも,⾃然に⼊った知識から⼝コミで繋がるサポートの輪がある。また常設だから,ケアラーや本⼈の都合で訪れることができカフェだから(デイサービいことを指摘できた。・常設カフェ型が困難な場合の解決法しかしながら,常設カフェ型は⼈件費や家賃などの固定費回収,また担い⼿の負担の⾯でハードルが⾼いことが,アンケートや座談会を通して明らかとなった。公的補助の拡充が望まれるが,普及に向けてより気軽な⽅法でケアラーズカフェを開設・運営合で訪れることができ,カフェだから(デイサービス利⽤のお客さんや家族会の当事者としてでは無く)多様な役⽬を担うことができる。⽇常とは異なる⾃由な空間だから,ケアラーや本⼈も⼀息つける。またカフェだからこそ雑談の中で,新たな出会いやコラボレーションが⽣まれやすい。

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