2019実践研究報告集NO.1822
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⼀⽅,空き部屋活⽤の住み開きでカフェ等を始めた例では,100〜200万円台を要している。飲⾷店営業許可をとるための厨房改修,あるいは駐⾞場を改修して駄菓⼦屋を営むなどの改修⼯事を⾏ったためである。さらに,介護医療関係施設の運営法⼈やNPO法⼈による改修においては1000万円台を要しているが,多くの補助⾦等を受けている。そして,100万円台以上の6件はいずれも週に4⽇以上の常表6-1座談会の概要100万円台以上の6件は,いずれも週に4⽇以上の常設型でカフェ等を営んでいる。5.2 利⽤者の内訳と開催場所・頻度の関係ケアラーサポートの場の1⽉あたりの利⽤者に占めるケアラー並びに認知症等本⼈の割合について問うた結果,61件より回答が得られた(表5-6)。組み合わせで5タイプに分けることができ、「④利⽤者ミックス」や「⑤ケアラー中⼼」が、ケアラーサポートを担えていると⾔える。これらは開催場所と頻度によって分布が異なる(図5-1)。全体の23.0%(14/61件)が「①ケアラー・認知症等本⼈無し」であるが,場所別では介護医療施設,公共施設等の順に多く,特に前者は約1/3が「①無し」である。⼀⽅,カフェ等には相対的にケアラ本⼈そして⼀般が「④ミックス」的にケアラー,本⼈,そして般が「④ミックス」した利⽤が多いのが特徴である。また,ケアラーが70%以上を占めるタイプ⑤4件のうち2件も,カフェ等に該当する。6.2 座談会のテーマと得られた知⾒座談会は5グループに分かれて実施した。⼀連の実践とアンケート調査を通して得た問題点を座談会テーマとして設定し(表6-1),90分間のグループ表5-6ケアラー・認知症等本⼈の利⽤者に占める割合5.3 みちくさ亭の位置付けまず,介護・医療関係の事業を営んでいないNPO法⼈が,ケアラーズカフェ・認知症カフェのみの事業で継続していること⾃体が,特殊であるようだ。その要因として図2の通り⼈件費や家賃に対してワークの後に課題や対応策のまとめを代表者1名が発表する形式とした。1)場所:多様な場所を活⽤・近いことがベストでない場合もある・存在の周知も必要駅近が良い,なるべく⽣活圏にあるのが良い。しかし,近すぎない距離も⼤切。遠いところが良いのは初期の⼈やケアラー重い⼈は近く徒歩圏内が良その要因として図2の通り,⼈件費や家賃に対して,公的補助のある点が極めて⼤きいと⾔えよう。ケアラーサポートの場として,少なくともケアラーの利⽤があるのは全体の2/3,中でも利⽤者がミックスしている状態は全体の6割であり,みちくさ亭はこれを実現できている中の1事例である。は初期の⼈やケアラ,重い⼈は近く徒歩圏内が良い。図書館,おしゃれなカフェ,保育園や幼稚園,銀⾏,図書館が理想。また,カフェやデイサービスと併⽤・混在の⽅が,いろんな⼈がいて偶然性も期待できる。⽴地よりも場所の必要性を理解してもらうことが先。まずは⽇常⽣活圏で周知することが重要だろう。6.座談会「地域で担うケアラー・認知症サポート」6.1 実施概要公共ではない,市⺠による⾝近なコミュニティカフェだからこそ実現できるケアラー・認知症サポートについて議論することを⽬的に企画した。そのため,コミュニティカフェが盛んな横浜市で開催することとした募集は(表51)のアンケト配布2)頻度:担い⼿の負担考慮の必要・他カフェと連携でカバーする・サポート体制があれば常設でなくても良いエリア内に点在していることが周知されること,そしてこれらの開催⽇がずれると,エリア全体としては⽉に数回開催されていることになる。担い⼿の負担も考慮する必要があり,継続のためには⽉1回が現実的であることとした。募集は,(表5-1)のアンケート配布と同時に⾏い,参加条件として「ケアラーや認知症の⽅のサポートを⾏なっている⽅,或いは今後⾏なっていきたいと考えている⽅」とした。当⽇は台⾵15号上陸間際であり,開催も危ぶまれたが,26名が参加,ファシリテータ4名を含め,全30名の運営者による座談会を開催することができた(表6-1)。が現実的である。常設でなくても良い,ケアラーや本⼈とのつながりが確保できれば良いので,インターネット等相談できるツール等があれば良い場合も。ただし,緊急時・24時間体制では担い⼿もきつい。公的機関へ繋げることも必要。

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