2019実践研究報告集NO.1821
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⽐較実験②では,J製ワイヤーφ0.9㎜を⽤いて⾏った。ねじることの効果を把握するために,ワイヤー1本とワイヤー2本の試験を⾏った。ねじりの粗さにより,5 ㎝間隔に約20 回ねじったものと,11回ねじった試験体により,ワイヤー1 本及び2 本との⽐較を⾏った。それぞれ3本ずつ合計12 本の試験を⾏った。図27に引張試験①の荷重変形曲線を⽰す最⼤図2̶7に引張試験①の荷重変形曲線を⽰す。最⼤引張強度をみると,φ3.2ではJ製に対してN製の⽅が引張最⼤強度が1割程度,φ2.6,1.6ではN製よりもJ 製の⽅が低かった。またφ3.2,φ1.6のN製には強度が著しく低下するものも⼀部⾒られ,品質にばらつきがあることが考えられる。2.4ワイヤー(亜鉛めっき針⾦)の耐久性⽇本―ネパール製3.2㎜ネパールで斜⾯補強や道路脇のフェンスで使⽤されている蛇篭は,古いもので20年ほど前から使⽤されているが,腐⾷はみられるが強度が著しく劣化しているものは少ない。理由として,通常蛇篭で私⽤されているワイヤー(亜鉛めっき針⾦)は,3㎜径のものが多く,このような⼤径の針⾦は,必要⼗分な亜鉛メッキ量であることが考えられる。ネパル製ワイヤの品質特性を表21に⽰すネパール製ワイヤーの品質特性を表2-1に⽰す。表2-1ネパール製ワイヤーの品質特性試料Aと試料Bのめっき付着量に⼤きな差があるが,⽇本―ネパール製2.6㎜,⽇本のJIS規格(JIS G3547)のめっき付着量155g/m2を満たすものも流通していることがわかる。⽇本のメーカーが⽰しているめっき付着量と耐久性関する計算式を以下に⽰す。•「めっき部分」の耐久性は,めっき付着量が消耗するまでの期間として,めっき付着量とめっき腐⾷度より,次式で表すす。*めっき腐⾷度(g/㎡/年)は,使⽤環境によるが概ね5〜20 g/㎡/年•「鉄線部分」の耐久性は,引張強さ(断⾯積)が1/2腐⾷するまでの期間として鉄線腐⾷しろと鉄線腐⾷度より次式で表図2-7⽇本-ネパール製ワイヤー引張試験(果汁変形曲線⽇本―ネパール製1.6㎜3.耐震性能検証のための実⼤振動台実験(図3̶1)加振実験は,防災科学技術研究所の⼤型耐震実験施設(つくば)を使⽤し,ネパールの⼭間部によく⾒られる整形⽚岩と泥モルタルの組積造を模したノンエンジニアド住宅モデルを2棟製作し,1棟を蛇籠状のメッシを⽤いて耐震補強を施したこの2棟のモデす。上記,めっき部分の耐久性計算式を⽤いて,ネパール製ワイヤ試料Bの耐久年を計算するメッシュを⽤いて耐震補強を施した。この2棟のモデルにおいての⽐較倒壊実験を実施し,耐震性能と挙動特性の把握及び耐震補強⼯法の効果の検証を⾏った。試験体は,図3̶1に⽰すようにセメントレンガと泥モルタルを使⽤し,組積造の建物(3200mm x 3200mm x 2200mm)を2棟建設し,モデルAは壁の内外全⾯を⻲甲メッシュで耐震補強を施し,モデルBは無補強になる。ル製ワイヤー試料Bの耐久年を計算する。・環境の悪い場合,269(g/㎡)/20(g/㎡/年)=12.10年・環境の良い場合,269(g/㎡)/5(g/㎡/年)x 0.9=48.42年となるため,ネパール国内で普及している亜鉛めっき針⾦でも特に粗悪品でなければ⼗分な耐久性を有すると考えられる。

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